著者
斎藤 諦
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.454-457, 1960

スギ,ヒノキ,ヒバなどの&ldquo;とびくされ&rdquo;に関係のあるカミキリムシとして,スギノアカネトラカミキリ,トゲヒゲトラカミキリ,スギカミキリの3種都認められる。前の2種の新しい加害樹種を今回さらに数種明らかにした。またトゲヒゲトラカミキリの加害はスギノアカネトラカミキジにくらベ一般に少ないし,軽微である。これは本種が枝材性昆虫で加害枝が限られていることと老熟幼虫が枯枝のなかを多く食害するからであらう。<br> スギカミキリの加害も一般に少ないけれども,スギノアカネトラカミキリが枝に加害しさらにその本幹部の下方に現われ後に腐朽菌が侵入して,よく似た現象をおこすこともある。このような点から考えるとスギ,ヒノキ,ヒバなどの&ldquo;とびくされ&rdquo;と最も深い関係が認められるカミキリムシは,スギノアカネトラカミキリであるといえる。このことは山形県内の主要な木材業者の取り扱うこれらの製品の&ldquo;とびくされ&rdquo;の大郎分がスギノアカネトラカミキリの幼虫の加害であるという事実ともよく一致するようである。