著者
國枝 洋太 三木 啓嗣 今井 智也 新田 收 星野 晴彦
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11036, (Released:2015-12-03)
参考文献数
36

【目的】急性期脳梗塞患者の転帰先をより早期かつ正確に予測するために,自宅退院可否に関連する因子を抽出しその影響度を検討した。【方法】急性期脳梗塞患者58名を自宅退院群と転院群に割りつけた。検討因子は診療録より後方視的に調査し,2群間にて比較検討した。また2群間比較にて有意差を認めた項目で多重ロジスティック回帰分析を行った。【結果】自宅退院可否と関連を認めたのは,性別,入院時血清アルブミン(以下,Alb)値,入院時血清総蛋白(TP)値,入院時NIHSS,入院から1週後の藤島式嚥下グレード(嚥下Gr),高次脳機能障害であり,多重ロジスティック回帰分析では,高次脳機能障害とAlb値が選択された。ROC曲線の結果から,転帰を判別する入院時Alb値のカットオフ値は3.95 g/dl であった。【結論】急性期病院搬送直後の高次脳機能障害の有無とAlb値は,転帰予測因子としての可能性が示唆された。
著者
松田 雅弘 新田 收 宮島 恵樹 塩田 琴美 高梨 晃 野北 好春 川田 教平
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.129-133, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
13
被引用文献数
6 1

〔目的〕軽度発達障害児の立位バランス能力を重心動揺計にて定量的に評価した.〔対象〕対象は軽度発達障害児群17名(平均5.4歳),健常児群17名(平均5.4歳)の児童を対象とした.研究の対象者と対象者の親に対して,事前に本研究の目的と方法を説明し,研究協力の同意を得た.〔方法〕被験者は重心動揺計(ANIMA社製)の上で,開眼・閉眼,各30秒間静止立位保持をサンプリング周波数20 Hzにて計測を行った.〔結果〕開眼・閉眼時とも軽度発達障害児群において健常児群よりも有意に重心動揺・動揺速度が大きかった.〔結語〕幼児の静止立位の重心動揺の評価を行ったが,健常児群と比較して軽度発達障害児群で動揺が大きく,姿勢制御能力の未熟さのあることが考えられる.
著者
廣島 拓也 新田 收
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.86-91, 2016 (Released:2018-10-06)
参考文献数
8

片側股関節屈曲制限症例の座位において,左右骨盤に高低差が観察される。しかし,片側股関節屈曲制限と座位時の左右骨盤の高低差の関係について述べられた報告はほとんどない。そこで片側股関節屈曲制限を有する症例の座位における,股関節角度と左右骨盤の高低差の関係を検証した。対象は,片側THA 術後症例9 名とした。対象者には採型器上に座らせ,前額面から静止画を撮影し,rysis(座位姿勢計測用ソフトウェア)を用い骨盤側方傾斜角度を計測した。計測した値より,ASIS 高低差を算出した[ASIS 高低差= ASIS 間距離× sin(骨盤側方傾斜角度)]。80 ─制限側股関節屈曲角度とASIS 高低差の2変量を,相関分析にて検討した結果,2 変量間に強い相関が示された(r = 0.86,p < 0.05)。片側股関節屈曲制限角度が大きい症例ほど,制限側骨盤の挙上が大きいことが示唆され, 片側坐骨部分の座圧集中が生じる座位となる可能性が示唆された。
著者
平野 恵健 西尾 大祐 池田 誠 新田 收 宮崎 泰広 皆川 知也 高橋 秀寿 木川 浩志
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.115-119, 2015-04-01 (Released:2016-04-15)
参考文献数
23
被引用文献数
3

本研究の目的は,回復期リハビリテーション(リハ)病棟に入院した脳卒中重度片麻痺患者に対して,入院時の身体機能から退院時の歩行能力を予測することの可否を検討することである.対象は,回復期リハ病棟に入院した脳卒中患者のうち,入院時に重度片麻痺を有し,長下肢装具を処方された49名とした.方法は,対象者を退院時の歩行能力から歩行可能群と歩行不能群の2群に分類し,入院時の患者属性,神経症候,高次脳機能障害,運動機能を単変量解析した.さらに,有意差を認めた評価項目を用いて,退院時の歩行能力を従属変数とした判別分析を行った.その結果,単変量解析では,年齢,神経症候,高次脳機能障害,体幹機能,非麻痺側膝伸展筋力において有意差が認められた(p < 0.05).また,判別分析では,年齢,体幹機能,非麻痺側膝伸展筋力が選択された.以上より,回復期リハ病棟に入院した脳卒中重度片麻痺患者の退院時の歩行能力は,入院時の年齢,体幹機能,非麻痺側膝伸展筋力を用いることにより予測することができると考えられた.
著者
中丸 宏二 相澤 純也 小山 貴之 新田 收
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.414-420, 2014-12-20 (Released:2017-06-13)
被引用文献数
2

【目的】日本語版Lower Extremity Functional Scale(以下,LEFS)の信頼性・妥当性・反応性を検討する。【方法】対象は下肢症状を訴える外来患者112名とした。初回に日本語版LEFSとThe Short Form Health Survey(SF-36),1週間後と4週間後にThe patient's global impression of change(以下,PGIC)と日本語版LEFSに回答してもらった。内的整合性を見るためにクロンバックα係数を算出し,再現性は1週間後に安定群を対象に級内相関係数(intraclass correlation coefficient:以下,ICC)を算出した。収束的妥当性は日本語版LEFSとSF-36の下位尺度との相関をPearsonの相関係数を用いて検討した。反応性は,4週間後の安定群と改善群における日本語版LEFSの点数変化を対応のないt検定で検討し,最小可検変化量(minimal detectable change:以下,MDC)を算出した。【結果】クロンバックα係数は0.96,ICCは0.92であった。収束的妥当性は身体機能にかなり強い相関(r=0.75)が認められた。反応性は4週間後における安定群と改善群に有意な差が認められた(p=0.02)。MDCは8.14点であった。【結論】外来患者における日本語版LEFSの高い信頼性,妥当性,反応性が認められた。
著者
松田 雅弘 新田 收 古谷 槇子 楠本 泰士 小山 貴之
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.248-255, 2018 (Released:2018-08-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2

【目的】発達障害児はコミュニケーションと学習の障害以外にも,運動協調性や筋緊張の低下が指摘され,幼少期の感覚入力問題は運動協調性の低下の原因のひとつだと考えられる。本研究は幼児の運動の協調性と感覚との関連性の一端を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は定型発達の幼児39 名(平均年齢5.0 歳)とした。対象の保護者に対して,過去から現在の感覚と運動に関するアンケートを実施した。運動の協調性はボールの投球,捕球,蹴る動作の25 項目,80 点満点の評価を行った。5,6 歳児へのアンケート結果で,特に感覚の問題が多かった項目で「はい」と「いいえ」と回答した群に分けて比較した。【結果】「砂場で遊ぶことを嫌がることがあった。手足に砂がつくことを嫌がった」の項目で,「はい」と回答した群で有意に運動の協調性の総合点が低かった。【結論】過去から現在で表在感覚の一部に問題を示す児童は,児童期に運動の協調性が低い傾向がみられた。
著者
楠本 泰士 松田 雅弘 高木 健志 新田 收
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.82-88, 2018 (Released:2019-03-25)
参考文献数
20

【目的】青年期軽度発達障害児と健常児の静的・動的バランスの特徴を明らかにすることとした。 【方法】対象は軽度発達障害児24 名(15 ~ 16 歳),健常児29 名(15 ~ 16 歳)とし,膝伸展トルクと重心動揺検査を対応の無いt 検定,線上歩行の失敗の有無をχ2 検定にて検討した。また,発達障害児における線上歩行の踏み外しの有無で2 群にわけ,各パラメータを対応の無いt 検定にて検討した。 【結果】発達障害児は健常児と比べて,重心動揺が多くの項目で開眼・閉眼ともに発達障害児の値が大きく,ロンベルグ率に差はなかった。線上歩行の踏み外しは発達障害児が多かった。線上歩行を踏み外した発達障害児は,閉眼での左右軌跡長が長かった。 【結論】青年期軽度発達障害児は健常児と比べ下肢筋力や静的・動的バランスが低下していた。線上歩行を踏み外した発達障害児は,踏み外さなかった発達障害児と比べて静的バランスが低下している可能性が示唆された。
著者
楠本 泰士 藤井 香菜子 林 寛人 高木 健志 網本 さつき 松田 雅弘 新田 收
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.181-188, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
21

【目的】痙直型脳性麻痺患者における日本語版Trunk Impairment Scale(以下,TIS)の信頼性と構成概念妥当性を検証することを目的とした。【方法】完成した日本語版TIS を用いて検者内,検者間信頼性は20 名で検討した。構成概念妥当性は69 名に対して,TIS と粗大運動能力分類システム(以下,GMFCS)との相関関係を調査した。【結果】検者内,検者間ともに級内相関係数は0.90 ~0.99 だった。検者内の最小可検変化量(以下,MDC)は,静的,動的座位バランス,協調動作,合計点の順に0.44,1.35,0.44,0.96だった。検者間のMDC は1.54,1.97,1.15,2.37 だった。GMFCS との相関係数は–0.63,–0.76,–0.30,–0.74 だった。【結論】痙直型脳性麻痺患者における体幹機能検査として,日本語版TIS は良好な信頼性があり,構成概念妥当性が支持された。
著者
松尾 達彦 新田 收 信太 奈美 古川 順光
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>心拍数調節は,交感神経と副交感神経の二重支配を受け,運動強度に比例して増加する。しかし,心臓への交感神経支配に障害のある頸髄損傷患者は心拍数の上限が低いことが知られている。そこで,激しい運動量が求められる車椅子スポーツにおいて,脊髄の損傷レベルによる心拍数変化の違いを明らかにすることを目的とした。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>1.対象</p><p></p><p>対象は,車椅子ラグビー選手9名(頸髄損傷,以下頸髄群),車椅子バスケットボール選手14名(胸腰髄損傷,以下胸腰髄群)とした。男性のみで,頸髄群の平均年齢(SD)[歳]は26.3(3.8)歳,胸腰髄群は26.4(4.0)歳だった。</p><p></p><p>2.方法</p><p></p><p>心拍センサーPolar Team Pro(ポラール・エレクトロ・ジャパン株式会社)を装着させ,体育館内で平均約4時間,試合形式の練習をさせ,1秒毎の心拍数(SD)[回/分]を測定した。安静時1分間の心拍数の平均値を安静時心拍数,練習中で最も高い心拍数を最大心拍数とした。</p><p></p><p>統計解析は,最大心拍数を従属変数,頸髄群・胸腰髄群の2群を対応の無い要因,安静時・練習中を対応のある要因とし,二元配置分散分析およびBonferroni法による単純主効果の検定を行った。解析はIBMSPSSver22を用いた。有意水準を5%とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>I.分散分析結果</p><p></p><p>群間比較では,安静時心拍数と最大心拍数は,どちらも頸髄群が有意に低値を示した。前後比較では,頸髄群と胸腰髄群は,どちらも練習中に有意に高値を示した。さらに交互作用が有意であり,練習による心拍数変化が,頸髄群,胸腰髄群で有意に異なることが示された。</p><p></p><p>II.単純主効果の検定</p><p></p><p>単純主効果においては,安静時・練習中,および頸髄群・胸腰髄群の全ての組み合わせにおいて有意差が示された。頸髄群の安静時心拍数の平均値は78.78(10.23)回/分,胸腰髄群は89.43(6.82)回/分であった。頸髄群の最大心拍数の平均値は141.00(19.22)回/分,胸腰髄群は181.36(7.15)回/分であった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>最大心拍数は,頸髄群が有意に低値を示した。心拍数は,Th1-Th4の高さにある交感神経の興奮によって増加するが,頸髄群は中枢から心臓への神経が頸髄で障害されている。しかし,副交感神経による抑制を解くことで,心拍数が120回/分前後まで増加することが報告されている。そのため,頸髄群は胸腰髄群より低値だが,競技中に心拍数を増加させることができたと考えた。</p><p></p><p>一方,安静時心拍数も頸髄群が低値を示した。これは,残存している筋の差により頸髄群の方が必要なエネルギーが少なくて済むのではないかと考えた。また,神経性調節による心拍数コントロールに限界がある頸髄群は,液性調節による心拍数コントロールを優先している可能性があると考えた。</p>
著者
櫻井 瑞紀 新田 收 松田 雅弘 妹尾 淳史
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11312, (Released:2018-04-18)
参考文献数
32
被引用文献数
1

【目的】非特異的腰痛(以下,NLBP)では深部筋機能不全やサイドブリッジ持久力テスト(以下,SBET)保持時間低下が報告されているが,その際の深部筋疲労についての報告はない。本研究の目的は,NLBP 者におけるSBET 実施時の体幹深部筋疲労を,T2 値を指標として明らかにすることである。【方法】対象は腰痛のない対照群とNLBP 群の2 群とした。測定項目はSBET 保持時間と,SBET 前後の深部筋T2 値とした。統計解析はSBET 前後と腰痛の有無を独立変数,深部筋T2 値を従属変数とした2 元配置分散分析および単純主効果の検定を実施した。【結果】SBET 保持時間はNLBP 群が有意に低値を示した。深部筋T2 値においてSBET 前後・腰痛経験の主効果および交互作用が示された。単純主効果の検定ではNLBP 群のPost でT2 値は有意に高値を示した。【結論】NLBP 者では体幹筋等尺性持久力低下とSBET における体幹深部筋易疲労性を認めた。
著者
小山 貴之 中丸 宏二 相澤 純也 新田 收
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101210, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】アメリカンフットボールでは頭頸部外傷が高率に発生するが、その多くがタックルやブロックの際の衝突によるものであり、頸部周囲筋の筋力強化やタックル・ブロックの技術向上、防具の使用などが予防的に勧められている。頭頸部外傷のなかでも、脳震盪や重症頭部外傷を除くと、頸椎捻挫とバーナー症候群がその代表的な外傷として挙げられる。これらは発症しても練習や試合参加を中止する選手が少なく、頸部障害を有しながらも競技を続けている場合が多い。そのため、練習を中止しリハビリテーション期間をとることが少なく、メディカルスタッフによる医学的管理が不十分になりやすい。頸椎捻挫またはバーナー症候群によってどの程度の頸部障害を有し、競技に支障を来たしているかを知ることは、アメリカンフットボールにおいて外傷管理をするうえで極めて重要であるが、競技シーズン中の頸部障害の程度に関する報告は少ない。そこで本研究は、頸部既往によって主観的アウトカムにどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした。【方法】対象は大学アメリカンフットボール選手109名とした。選手は秋季シーズン終了時点で自己記入式の質問紙票に回答した。質問紙票は、秋季シーズン前の合宿開始時点からシーズン終了までの間、1)ヒットなどで首に強い痛みが出たか、またはその後首の最終可動域で痛みが出たか、2)ヒットなどで肩から腕に電気が走るようなしびれや脱力感が生じたか、についての有無を回答し、1)を頸椎捻挫、2)をバーナー症候群の症状としてそれぞれ扱った。1)2)について経験ありと回答した者に対して、痛みの程度、競技能力への影響、フルコンタクト時の恐怖感について、それぞれ痛みが出現していた時期における程度を100mm visual analog scaleで回答し、1)2)を理由とした練習中止の有無を回答した。また頸部障害の程度を知るために、日本語版Neck Disability Index(NDI-J)を回答させ、50点満点に換算した。分析は、回答者を既往の有無から頸椎捻挫のみの発症(頸椎捻挫群)、バーナー症候群のみの発症(バーナー症候群)、頸椎捻挫・バーナー症候群の合併(合併群)の3群に分類し、痛み、競技能力への影響、恐怖感はBonferroni法による多重比較検定、NDI-JスコアはBonferroni法の不等式を用いたMan-Whitney検定により、各群間差の比較を行った。【倫理的配慮、説明と同意】研究調査目的と内容および個人情報保護に関する説明文を質問紙票とともに配布し、同意の得られた選手のみ回収した。質問紙票には匿名で記入させ、配布・回収は研究代表者以外の者が行った。【結果】自己記入式質問紙票は122名に配布し、109名から回収した(回収率89.3%)。109名中、頸椎捻挫群が8名、バーナー症候群が21名、合併群が17名おり、計46名(全体の42.2%)がいずれかの症状を経験していた。練習を中止した選手は、合併群の2名(4.3%)のみであった。各項目の記述統計値は、頸椎捻挫・バーナー症候群・合併群の順に、痛みの平均値(標準偏差)が56.0(28.5)mm・55.4(18.2)mm・65.8(19.8)mm、競技能力への影響が24.8(26.0)mm・35.9(22.0)mm・48.4(32.0)mm、恐怖感が38.0(34.6)mm・56.9(24.5)mm・60.7(32.8)mm、NDI-Jの中央値は3.3・1.1・5.6だった。各群間差は、痛み・競技能力への影響・恐怖感には有意差を認めず、NDI-Jは合併群がバーナー症候群よりも有意に高かった。【考察】質問紙票による頸部既往の調査の結果、約4割の選手がシーズン中に発症しており、うち練習を中止した選手は46名中2名とわずかであった。また痛みや恐怖感は中等度の訴えがあった。高い発症率であるのに加えて、ほとんどの選手が中等度の痛みや恐怖感を抱えながら競技をそのまま継続していることが分かった。NDI-Jは日常生活活動の10項目における症状の程度から頸部障害を把握するための評価であり、5点以上で軽度の頸部障害とされる。今回の結果では、3群間に痛みの程度で差は認めなかったが、NDI-Jスコアは合併群がバーナー症候群よりも有意に高かったことから、頸部既往に伴う症状の把握には痛みの評価だけでなくNDI-Jを用いることの有用性が示唆された。また、頸椎捻挫とバーナー症候群を合併することでNDI-Jの中央値が軽度障害のレベルとなることから、合併した選手に対してはさらに重点的なリハビリテーションが必要であることが考えられた。【理学療法学研究としての意義】頸椎捻挫およびバーナー症候群は発症率が高いうえに競技を中止することが極めて少なく、合併すると日常生活活動上の頸部障害も引き起こしていた。これらの結果は、一般的に練習や試合を1日以上中止した場合に記録される傷害統計には反映されないため、継続的に調査することで外傷の管理およびその予防の観点から重要な示唆を得ることができる。
著者
高橋 彰子 福原 一郎 高木 伸輔 井手 麻衣子 新田 收 根津 敦夫 松田 雅弘 花井 丈夫 山田 里美 入岡 直美 杉山 亮子 長谷川 大和 新井 麻衣子 加藤 貴子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100455, 2013

【はじめに、目的】重症心身障害児者(以下;重身者)は,異常筋緊張など多様で重層した原因で症候性側弯が発症進行する.側弯の進行予防に対して理学療法が施行されるが,それ以外にも日常生活で使用する側弯装具が処方される場合も多い.今までは,ボストン型装具や硬性コルセットなどが広く使用されているが,大きく,通気性も悪く,服が着にくい,また痛みを訴えるなどのデメリットもあった.近年,3点固定を軸に側弯進行を予防し,装着感がよく,通気性なども改善された動的脊柱装具(DSB 通称プレイリーくん)が開発された.開発者の梶浦らは,多様な利点で,重身者の症候性側弯に有効であると述べている.しかし,親の子に対する装具装着の満足度や,理学療法士による効果判定などの関連性や,装具装着による変化に関しての報告は少ない.そこで,動的脊柱装具を処方された重身者の主たる介護者の親と担当理学療法士にアンケート形式で満足度と装具の効果について検討することを目的とした.【方法】対象は当院の外来患者で動的脊柱装具を作成した側弯のある児童または成人17名と,担当理学療法士6名とした.対象患者の平均年齢15.9歳(3~22歳),GMFCS平均4.7(3~5),Cobb角平均82.46(SD31.62)°の側弯を有していた.装具に対する満足度や効果の実感に関するアンケートを主たる介護者の親と担当理学療法士と分けて,アンケートを2通り作成した.親へのアンケートは,装具装着の見た目,着けやすさ,姿勢保持のしやすさ,皮膚トラブル,装着時間,総合的な満足度などの装具使用に関する項目に関して,20項目の質問を紙面上で答えさせた.理学療法士には姿勢変化,治療的効果などの評価の4項目に関して紙面上で記載させた.その他,装具装着前後でのCobb角を算出した.統計処理はSPSS ver20.0を用いて,質問紙に関しては満足度合を従属変数とし,その他の項目を独立変数として重回帰分析を実施し,関連性についてはpearsonの相関を用いた.理学療法士の効果判定に関係する因子の検討では理学療法士の評価を従属変数として,効果に対する要因,Cobb角を独立変数として多重ロジスティック解析を実施した.各質問紙項目内による検討に関してはカイ二乗検定を用いた.また,Cobb角の変化に関しては対応のあるt検定を用いた.危険率は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】全対象者と全対象者の親に対して,事前に本研究の目的と方法を説明し,研究協力の同意を得た.【結果】Cobb角は動的脊柱装具作成装着前後で有意に改善した.動的脊柱装具に関する親の満足度と関連する項目はCobb角の変化ではなく,体に装具があっていると感じている,装具の着けやすさ,装具を装着したときの見た目と関連していた.満足度と装着時間とは正の相関をしており,満足度が高い人ほど装着時間も長かった.理学療法士の評価は満足感と関連していなく,姿勢保持のしやすさ,Cobb角と関連していた.【考察】今回GMFCSレベル4~5のADLで全介助を要し,側弯の進行の危険性が高い方を対象としており,親の関心や理学療法士の治療選択も側弯予防は重要な目標の1つである.重身者の親の満足度は主に子どもの装着に関係する項目と最も関連していた.理学療法士の効果検討としてはCobb角,姿勢保持と関連していた.動的脊柱装具装着の前後で側弯に改善がみられることは,梶浦らの報告とも同様で,この体幹装具が側弯に対して長期的な効果の可能性も示唆された.その装具に関する理学療法士の効果判定はCobb角と関連が強く姿勢の変化を捉えている傾向にあった.親の満足度は最も快適に使用できる項目であり,満足しているほど装着時間が延長することが考えられる.今回のアンケートより,装具に対する親への感想を聴取することで生活状況の確認となり,満足度を高めるように作成することが可能となると示唆された.【理学療法学研究としての意義】重身者にとって側弯は内臓・呼吸器疾患と直接的に結びつきやすく側弯の進行予防は生命予後に関しても重要である.側弯進行予防の理学療法を効果的にするためにも,使いやすい側弯装具は重要な日常生活器機である.新たに開発された動的脊柱装具の満足度と効果についてアンケート調査を行った.親が実際の装具使用を肯定的に感じているほど,装着時間も長く,親の満足度に関連する因子として,装着しての見た目や,子の過ごしやすさも重要な因子であることが今回示唆された.
著者
二瓶 篤史 戸井田 麻理乃 吉永 亮太 松田 雅弘 新田 收 小山 貴之 久保田 直行 勝又 泰貴 泉 良太 網本 和 坂村 雄介
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Bd1462, 2012

【目的】 脳卒中治療ガイドライン2009で脳卒中後の半側空間無視(USN;Unilateral Spatial Neglect)に対し、根拠がある方法が紹介されているが、十分科学的な報告は少ない。現在のUSNの治療法の多くは、左空間を意識させる、頚部への電気刺激、無視側への体幹の回旋、プリズム眼鏡の利用などが挙げられる。その中で、視覚探索訓練はエビデンスレベルBを得ている。今回、近年普及しているタブレット型コンピューターのipadで新規に治療も可能なアプリケーションを作成した。これは科学的に認められている視覚探索訓練をもとに作成し、ゲーム感覚に実施できることが特徴である。また、ipadのため持ち運びが可能であり、病室でも自主練習が可能である。そこで今回、USN患者の新しい治療法となるかを検討すべく、ipadでの治療前、直後での即時効果を検討した。本研究は理学療法士協会の研究助成の一部を用いて行った。【方法】 対象は脳血管障害により左片麻痺・半側空間無視を呈した右利き7名(年齢58~88歳;70.7歳;男性5名,女性2名)、平均発症日数94.7(SD76.2:27-209日)、平均FIM64.6(SD8.2)、平均MMSE20.2(SD1.3)であり、治療アプリケーションが使用できる症例であった。ipadの治療アプリケーションは、左右端から5つの円(円列)が毎秒100mm以下のゆっくりした速さで青色の円が画面に現れるように設定した。画面を横切る5つの円のうち1つが途中で赤色に1施行中2回変化させた。円列は左右からランダムに10回モニターを横切り、どの位置でどの円の色が変更されるかはランダムとした。検査者は対象者に「色が変化したら、その円を画面上でタッチしてください」と指示した。ipadの治療前、直後で線分末梢試験と線分二等分試験を実施した。線分末梢試験は末梢した本数、線分二等分試験は中央をより偏位した距離を右に偏位するほど正の値で算出した。統計処理はSPSS 19.0 for Windowsを用い、ipadでの治療前後の線分二等分試験と線分末梢試験の数値をウィルコクソンの符号付順位和検定にて分析を行い、なお有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 全対象者に対して、事前に本研究の目的と方法を説明し、研究協力の同意を得た。本研究は首都大学東京荒川キャンパス倫理審査委員会の承認を得た。【結果】 ipadにおける治療前の線分二等分試験は中央より右に23.86±22.52mm偏位していたのが、治療直後の線分二等分試験は中央より右に12.43±22.50mm偏位しており、有意に中央に偏位した。(p<0.05)ipadにおける治療前の線分末梢試験は22.86±15.53本消去したのが、治療直後の線分末梢試験は26.57±12.91本消去し、有意に消去する本数が増加した。(p<0.05)【考察】 視覚探索訓練は科学的に推奨される治療法の1つである。今回、簡易的に持ち運べるipadを利用して、治療ソフトの開発を行い治療前、直後の即時効果を検討した。治療効果の検討には現在までに使用されている線分二等分試験と線分末梢試験を適応した結果、両方の試験において治療前、直後で有意な差があった。現在までの多い報告では、右より左に動き光や動く物を目で追わせることでUSNが改善したものが多い。今回も色の変化を右または左から動く円を注視させるために、注意を促すことが可能であり、左への注意が改善したことが考えられる。また、右からだけではなく、左から移動する円にも注意を払わなければならず、右からの追走以外にも左から移動するものにも注意することで空間注意が即時的に改善したと考えられる。【理学療法学研究としての意義】 近年普及しているタブレット型コンピューターのipadを利用して、視覚探索訓練のアプリケーションを作成した。即時効果の検討を行った結果、治療効果が認められた。また、今学会にて同時に信頼性と妥当性の検討も行った。持ち運び可能で、本人のペースで実行可能であり、ゲーム感覚があるために取り組みやすい。今後は効果の継続や、対照群を設定することで効果の更なる検証が必要だと考えられる。さらに即時効果の影響や、長期的な影響の結果がADLに対する影響を詳細に検討することで、科学的に効果のあるリハビリテーション手段として確立することが可能になるのではないかと考えられる。
著者
渡邊 彩美 新田 收 松田 雅弘 櫻井 瑞紀
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0240, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】腰痛は大多数の日本人が経験する最も多い症状の一つである。腰痛の既往があることは,腹横筋の筋活動低下による筋厚減少および表在筋の過剰な筋活動による筋厚増大と関連することが報告されている。内腹斜筋は体幹深部筋群に含まれ,インナーユニットとして体幹の安定性に寄与するとの報告がある。筋肉量の評価方法としてMRIのT2強調像を用いた方法が挙げられる。MRIの組織分解能は現在存在する検査機器の中で最も精度が高い。腰痛者において腹横筋の筋厚減少は報告されているが,表在および深部筋,筋断面積比についての検討はない。本研究の目的は,腰痛者における深部筋の筋断面積を健常者および表在筋と比較することである。【方法】対象は半年以上腰痛のない成人男性10名(27.6±3.7歳,168.4±4.9cm,58.8±5.8kg)を健常群(A群),疼痛誘発テストで陽性かつ半年に1回以上の頻度で右側に腰痛を生じる成人男性10名(26.1±3.8歳,169.5±5.3cm,61.0±9.0kg)を腰痛群(B群)とした。神経学的・整形外科的疾患を有する者,測定日に腰痛を有する者,心因性疼痛の要素がある者は除外した。測定項目は第3・4腰椎間高位水平断の左右の表在筋(外腹斜筋)と深部筋(腹横筋+内腹斜筋)の面積[mm2]とした。T2強調像はPhilips社製MRI(Achieva 3.0T Quasar-dual)を使用した。撮像肢位は両上肢拳上の背臥位とした。ImageJ(1.48v)を使用し筋断面積を計測した。統計解析は筋断面積を従属変数,腰痛経験の有無と表在筋か深部筋かの2要因を独立変数とした二元配置分散分析を行い,交互作用があった場合には単純主効果の検定をボンフェローニ法により行った。統計ソフトはIBM spss ver19を用い,本研究の有意水準は10%とした。【結果】ICC(1,3)の結果は0.971であり,高い信頼性を認めた。筋断面積[mm2]は右側では表在筋がA群1849.2±373.7,B群2324.5±790.3,深部筋がA群1825.1±526.4,B群1560.1±611.7で交互作用を認めた。単純主効果の検定ではB群の表在筋と深部筋間に有意差を認めた。左側では表在筋はA群2291.1±407.1,B群2458.7±594.5,深部筋はA群1776.9±520.0,B群1714.5±549.9で交互作用は認められなかった。【結論】腰痛群では疼痛部位と同側の表在筋と深部筋の筋断面積の差が健常群に比べて大きくなっていた。先行研究同様に表在筋の筋断面積増大と深部筋の筋断面積減少を認め,腰痛経験が表在筋の筋厚増大に関連していることが明らかとなり,内腹斜筋を含めた深部筋の筋厚減少が示唆された。
著者
三木 啓嗣 新田 收
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.282-289, 2014-08-20 (Released:2017-06-27)

【目的】寝返り動作はベッド上での移動性スキルの重要な要素で,理学療法評価や治療に用いられる。しかし,起立や歩行など他の基本動作とは異なり,定量的データに基づいた正常動作の運動学的特性はあきらかにされていない。そこで,本研究の目的は寝返り動作を定量的データに基づき類型化し,各動作パターンの特徴をあきらかにすることとした。【方法】対象は健常男性30名とし,各3試行の寝返り動作を三次元動作解析装置にて計測した。3試行目の各1試行を測定値として体幹の関節角度を算出した後,クラスター分析を用いて動作パターンを類型化し,各類型の特徴を統計学的にあきらかにした。【結果】寝返り動作を3群に類型化し,体幹の回旋と屈曲伸展の特徴を定量的にあきらかにすることができた。【結論】寝返り動作において体幹の動きを分析することによって,定量的な大分類が困難であった寝返り動作において動作パターンの大分類が可能となり,さらに各動作パターンにおいて抽出された運動学的指標により正常運動を示すことができた。
著者
内尾 優 長谷川 三希子 猪飼 哲夫 内山 温 楠田 聡 藤本 泰成 新田 收
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.347-357, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
33

【目的】超低出生体重児の自発運動の特徴と新生児枕による即時的影響を明らかにすることである。【方法】対象は,神経学的異常のみられない超低出生体重児群8 名(平均出生体重729 ± 144 g,平均在胎期間24.6 ± 2.0 週),正期産児群8 名とした。評価時期は,修正月齢1 ヵ月に行った。評価機器は,乳児自発運動評価を目的に開発された小型の三次元動作計測システムを用い,児の自然な自発運動を新生児枕有無の2 条件で記録した。得られた三次元座標データより自発運動の平均速度,対称性,流暢性,突発性を算出し,比較した。【結果】超低出生体重児の自発運動は,正期産児と同様の平均速度,流暢性,突発性を示したが,正期産児と比較し非対称性を示した。また,新生児枕の使用により即時的に非対称性が軽減した。【結論】神経学的異常のみられない超低出生体重児の自発運動の特徴は,非対称性であり,新生児枕の使用により軽減できる可能性が示唆された。
著者
松田 雅弘 楠本 泰士 酒井 弘美 伊藤 公一 田上 未来 阿部 紀之 関 亮祐 本藤 伸男 山﨑 友豊 赤池 優也 二瓶 篤史 新田 收
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.495-499, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
10

〔目的〕マイクロビーズ製クッション上での臥位が,関節可動域と筋緊張に及ぼす影響を通常のベッド上臥位と比較して明らかにすることとした.〔対象と方法〕回復期脳卒中後片麻痺患者9名(52~84歳)とした.同一対象者に20分の臥床をクッション(クッション条件),およびベッド上背臥位で(臥位条件)行わせ,前後でのROMt,筋緊張(MAS),僧帽筋上部線維の筋硬度の変化と変化量を対応のあるt検定により統計学的に解析し,その違いを条件間で比較した.〔結果〕クッション条件では介入前後で,麻痺側肘屈曲,頸部左回旋角度に有意差がみられた.筋緊張,筋硬度も軽減している症例が多かった.〔結語〕マイクロビーズ製クッションが,脳卒中患者に対して筋緊張の軽減と関節可動域の増大に効果をもたらすことが示唆される.
著者
楠本 泰士 菅原 仁 松田 雅弘 高木 健志 新田 收
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.168-173, 2019 (Released:2019-06-20)
参考文献数
15

【目的】本研究の目的は,痙直型脳性麻痺(以下,CP)者における安静時と足関節等尺性背屈時のH 波の振幅値変化の違いを明らかにすることとした。【方法】対象は粗大運動能力分類システムにてレベルⅠ,Ⅱ,ⅢのCP 群14 名と健常者である対照群14 名とした。CP 群では下肢随意性検査を行い,利き足を決定した。両群で利き足でのヒラメ筋のH 波最大振幅値を安静時と等尺性背屈時とで比較した。【結果】対照群は等尺性背屈時にH 波最大振幅値が有意に低下したが,CP 群は振幅値が低下した者が8 名,上昇した者が6 名であり,全体としては変化がなかった。【結論】CP 者は足関節等尺性背屈時にヒラメ筋への相反抑制がかからない者がおり,健常者と比べて脊髄前角細胞の興奮性が十分に制御されていなかった。CP 者の腓腹筋やヒラメ筋のストレッチでは,背屈時のH 波振幅値の上昇と低下に合わせて,相反抑制の効果を組み合わせるか判断する必要性が示唆された。