著者
森 友則 朝香 卓也 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.286, pp.87-92, 2008-11-06
被引用文献数
3

近年,インターネット上においてユーザがユーザ自身が作成した動画を投稿し,任意の時間に視聴することができる動画共有型VoDサービスが人気を博している.これらのサービスでは,ユーザ数の増加やコンテンツリクエスト数の急増にともない配信サーバへの負荷が非常に高くなる.そこで,動画共有サービスにおけるコンテンツのリクエストパターンの特性を分析することにより,動画共有サービスのシステム設計を適切に行うことが期待できる.本稿では実際の動画共有サイトの実測データを利用して,単位時間あたりの新規発生コンテンツ数,人気度の時系列推移について分析,評価を行った.また,本稿では分析に基づいた人気度変動モデルの構築についての議論を行った.
著者
森 真誠 深井 貴明 山本 啓二 広渕 崇宏 朝香 卓也
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2022-OS-157, no.7, pp.1-8, 2022-09-06

近年,爆発的に増加するデータを処理するために,多くのソフトウェアが利用されている.これらを共用 HPC システム上で利用する需要はあるものの,現在の共用 HPC システムはユーザが管理者権限を使用 (以後,root 化) できず,これらソフトウェアの導入に多くの労力を要する.また,システムレベルの最適化も root 化ができないため共用 HPC 環境では困難である.一方で共用 HPC 環境で単に root 化を許可すると,ハードウェアへの恒久的な変更などセキュリティや運用上で問題ある操作を防げない.また,ユーザのジョブがシステムの設定を変更できるため,ジョブの実行毎に設定変更の影響を取り除くためのマシン再起動が必要となるものの,再起動処理には多くの時間を要する.仮想計算機を用いるとこれらを解決できるものの,仮想化処理による性能劣化があり HPC システムには適さない.本研究では,上記課題を解決しユーザの root 化を可能とするシステムを提案する.提案システムは軽量なハイパバイザによって (1) ハードウェアの恒久的な変更を防ぐ機能と (2) ジョブ実行後マシンの再起動なしにシステムを既定の状態へ戻す機能を提供する.本手法を富岳と同系統システムで評価するため,Arm プロセッサで動作する軽量ハイパバイザ MilvusVisor と上記 2 つの機能を設計および実装した.本実装による実験の結果,メモリ性能における性能劣化について 2% 以下で上記機能を実現できることを確認した.
著者
森 真誠 深井 貴明 山本 啓二 広渕 崇宏 朝香 卓也
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-59, no.7, pp.1-8, 2022-09-06

近年,爆発的に増加するデータを処理するために,多くのソフトウェアが利用されている.これらを共用 HPC システム上で利用する需要はあるものの,現在の共用 HPC システムはユーザが管理者権限を使用 (以後,root 化) できず,これらソフトウェアの導入に多くの労力を要する.また,システムレベルの最適化も root 化ができないため共用 HPC 環境では困難である.一方で共用 HPC 環境で単に root 化を許可すると,ハードウェアへの恒久的な変更などセキュリティや運用上で問題ある操作を防げない.また,ユーザのジョブがシステムの設定を変更できるため,ジョブの実行毎に設定変更の影響を取り除くためのマシン再起動が必要となるものの,再起動処理には多くの時間を要する.仮想計算機を用いるとこれらを解決できるものの,仮想化処理による性能劣化があり HPC システムには適さない.本研究では,上記課題を解決しユーザの root 化を可能とするシステムを提案する.提案システムは軽量なハイパバイザによって (1) ハードウェアの恒久的な変更を防ぐ機能と (2) ジョブ実行後マシンの再起動なしにシステムを既定の状態へ戻す機能を提供する.本手法を富岳と同系統システムで評価するため,Arm プロセッサで動作する軽量ハイパバイザ MilvusVisor と上記 2 つの機能を設計および実装した.本実装による実験の結果,メモリ性能における性能劣化について 2% 以下で上記機能を実現できることを確認した.
著者
大林 功実 朝香 卓也 高橋 達郎 佐々木 純 品川 準輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.720-733, 2007-08-01
被引用文献数
9

ファイル共有などで主に利用されているUnstructured型P2Pネットワークでは,べき乗別に従うトポロジーが形成される傾向がある.またコンテンツの人気度の分布にも同様の性質が見られる.そのため隣接ピア数の多いピアにかかる負荷が著しく大きくなり,更に稀少コンテンツを発見できないことによるネットワーク全体のヒット率が不十分であるという問題がある.そこで本論文ではこれら二つの問題を同時に解決する各ピアによる自律分散的なキャッシュ置換え方式を提案する.本論文で提案する方式は各ピアの隣接ピア数に応じたキャッシュ置換えを行うことで,隣接ピア数の多いピアへの過負荷を低減し,同時にネットワーク全体のヒット率を向上させる.またシミュレーションによる評価を行い,提案方式の有効性を示す.
著者
中河 隆仁 森 友則 朝香 卓也 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.457, pp.411-416, 2009-02-24
被引用文献数
3

Unstructured型P2Pネットワークにおいて,コンテンツごとに人気度が異なり,コンテンツのリクエスト数分布やコンテンツのネットワーク上の存在数分布がべき乗側に近い性質を持っていることが報告されている.これにより,フラッディングを用いてコンテンツの検索を行うと,人気度の高いコンテンツは発見しやすいが,人気度の低いコンテンツは発見しにくいという問題がある.さらに,人気度の高いコンテンツを検索する際に無駄なメッセージが多く発生するという問題が生じる.そこで,本稿では,コンテンツの人気度に応じて検索時のTTL(Time To Live)を制御する方式を提案する.本方式では,コンテンツの人気度を過去にそのコンテンツを検索したメッセージが通過した回数で計算し,人気度の高いコンテンツを検索する際には,TTLを小さく設定し,人気度の低いコンテンツを検索する際には,TTLを大きく設定する.これにより,人気度の高いコンテンツを検索する際に,高いヒット率を維持しながら無駄なメッセージが減少し,かつ人気度の低いコンテンツのヒット率が向上する.結果として,P2Pネットワーク全体で高いヒット率を維持させながら,メッセージ数を減少させる効果が期待できる.また,本稿では,シミュレーションによる評価を行い,提案方式の有効性を示す.
著者
丹波 健 横田 健治 朝香 卓也 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.126, pp.47-52, 2010-07-08
参考文献数
16

近年,UGC(User Generated Content)が人気を獲得しており,様々なUGCを配信するサービスが提供されている.その一つとして,ニコニコ動画というサービスが挙げられる.ニコニコ動画では,利用者が動画を見ながらコメントを投稿することができ,他の利用者がその動画を視聴したときにそれが動画上に表示される.本サービスで,コメントは動画への付加情報と位置づけることができる.ユーザから付与される付加情報は,将来的に大容量化する可能性がある.その際に問題となるのは,クライアント-サーバ方式を用いた通信では,トラヒック量の増大に伴い,配信ウェブサーバの負荷が高くなることである.したがって,P2P(Peer to Peer)ネットワークを利用して,大容量化した付加情報をピア間で共有し,ウェブサーバ負荷を減少させるシステムの構築が必要である.本稿では,情報追加型UGCにおける付加情報をP2Pネットワークを利用してピア間で共有するECTI(Effectively Collect with Time Information)方式を提案する.ECTI方式は,クエリに時刻情報を記録してフラッディングさせることで,記録された時刻よりも後に投稿された付加情報だけを選択的に発見し,収集の際のトラヒック量を削減する.本稿では,計算機シミュレーションによって,ECTI方式の評価を行い,その有効性を示す.
著者
中河 隆仁 森 友則 朝香 卓也 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.230-241, 2010-02-01

Unstructured型P2Pネットワークにおいて,ユーザの嗜好性を考慮し,嗜好の近いピアをオーバレイネットワーク上で近くに配置するセマンティックP2Pネットワークの研究が盛んに行われている.しかし,従来のセマンティックP2Pネットワークでは,同じ内容のクエリを何度も同じピアに転送するクリッピング現象が生じるため,ヒット率の点において課題が残されている.そこで,本論文では,クリッピングの影響を抑える新たなセマンティックP2Pネットワークの構築法を提案する.本方式では,各ピアが保持しているコンテンツのジャンルの比率とピアが保持しているコンテンツ数を用いて,他ピアとの嗜好の近さを計算し,検索の際に嗜好の近いピアだけでなく嗜好の異なるピアにもクエリを転送することにより,クリッピングの影響を抑える.これにより,検索範囲を広くできヒット率を高めることができる.また,本論文では,シミュレーションによる評価を行い,提案方式の有効性を示す.更に,より実際のネットワークに近い条件下での評価を行うためにmixiの解析を行い,これにより得られたデータをシミュレーションモデルに組み込んで提案方式の評価を行う.
著者
森 友則 朝香 卓也 高橋 達郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J92-B, no.1, pp.54-68, 2009-01-01

Unstructured型P2Pネットワークでは,オーバレイネットワークの隣接ピア数(次数)分布やコンテンツのリクエスト数分布がべき乗則に近い性質をもつことが報告されている.このUnstructured型P2Pネットワークでは,高次数ピアに負荷が著しくかかってしまうこと,低人気コンテンツがネットワーク上から消滅してしまうため,ネットワーク全体のヒット率が低下してしまうといった問題がある.これらの問題に対し,キャッシュ置換えや複製配置の観点から解決を図った方式等が提案されている.しかし,キャッシュ置換えでは素早くコンテンツを広めることができない,複製配置では高負荷がかかるといった問題がある.本論文では,このような問題点を解決するためキャッシュ置換えと複製配置を組み合わせた,新たな複製配置の方式を提案する.本方式では隣接ピア数に応じて各ピアがそれぞれ異なる複製配置を行うことで,P2Pネットワーク全体としてヒット率を向上させながら隣接ピア数の多いピアにかかる過剰な負荷を隣接ピア数の少ないピアへ分散させることができる.また,本論文ではシミュレーションによる評価を行い,提案方式の有効性を示す.