著者
木庭 顕 両角 吉晃 松原 健太郎 原田 央 桑原 朝子 森田 果 金子 敬明 加毛 明 滝澤 紗矢子 岩原 紳作 神作 裕之 太田 匡彦 齋藤 哲志 川村 力
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近代のヨーロッパ・アメリカのみならずギリシャ・ローマ、イスラム、中国、日本の専門家が借財・土地担保・金融等々の社会史的分析をもちより、同時にこれらを(同じく歴史的に多様な)法的な枠組との間の緊張関係にもたらした。そしてそれらをめぐって比較の観点から激しい討論を行った。その結果、現代の信用問題を見る眼と信用問題の歴史を見る眼が共有する或る視座の限界が明らかになった。これは新しい視座の構築方向を示唆する。
著者
木庭 顕 桑原 朝子 松原 健太郎 中林 真幸 山本 隆司 加毛 明 金子 敬明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

昨年度に予告したとおり本年度は公共団体の問題に活動を集中した。その集大成は3月にKinch HoekstraとLuca Ioriを迎えて行われた「ホッブズとトゥーキュディデス」に関する研究会であり、事実上の締めくくりとなるに相応しい濃厚な二日間であった。つまり古典古代と近代をまたぎ、また国際間の衝突もテーマであったから国家間の問題、近代国家共存体制外の地域の問題、をも視野に入れた。ホッブズはまさに枢要な交点である。そのポイントで、公共団体立ち上げの条件を探った。ゲスト二人の報告は或る雑誌に翻訳して発表の予定である。また、研究代表者自身、この研究会に至る中で同時並行して一本の論文をまとめ、『国家学会雑誌』に発表した。後者は、このプロジェクトが深くかかわってきた法人理論がホッブズにとって有した意義をも論ずるものである。また、ともに、自生的な団体と深く関係するメカニズムである互酬性を、そのメカニズムの極限的なフェイズをホッブズがいかに利用しつつ克服するか、を追跡した。こうした考えをホッブズはトゥーキュディデス読解を通じて獲得した。彼が同じく翻訳したホメーロスを含め、ギリシャの社会人類学的洞察をバネにしたことになる。こうした見通しは、本研究会が遂行してきた広い比較史的視野を有して初めて持つことが可能になる。その意味では、今回の成果は、公共団体をターゲットとしてきた本年度の活動のみならず、全期間の活動の凝縮点である。付言すれば、教育目的ながら野心的な内容を含む拙著『現代日本公法の基礎を問う』も同一の軌道を回る惑星である。
著者
木庭 顕
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

11-12世紀にローマから占有慨念が受け継がれた後も、西ヨーロッパではこの概念は十分には定着せず、そもそもその正確な概念内容が理解されるためには15-6世紀の人文主義を要した。しかるにこの概念こそ、およそ法学的概念体系、特に民事法、民事訴訟、の発展のために鍵を握るものであった。この研究の基本的なねらいは、人文主義における概念の正確な把握の過程と、実務における概念の定着を、必ずしも矛盾無しではない画像としてギャップを描くことに存した。つまり単なる乖離ではなく、相互作用や相互克服の試行錯誤として把握するということである。人文主義つまり学識法の側においては、従来の学説史ではあきたらず、概念の掘り起こしのための思考や装備の問題に焦点をあてて再考することを目指し、一定の成果を得た。つまり人文主義ローマ法学のみならず、人文主義一般のテクスト解釈メカニズムに立ち入り、占有概念の古典的形姿を再発掘する様を分析しようと試みた。特に、16世紀フランスの人文主義法学にも固有の限界が認められ、これが社会の真の問題に鋭いイムパクトを与え得ない結果を将来するのではないかとの見通しを得た。しかしながら、このことを実務法学の側の悪戦苦闘、ディレンマ、の描き出しによって裏付ける作業は、緒に就いたばかりであり、かつ後続の研究計画が認められなかったため、一旦ここで終結せざるをえない。とはいえ、若干の文献に触れた限りにおいて言うならば、確かに一旦正確な占有訴訟の原則は理解されたとはいえ、従来考えられていたように、直ちに占有概念は十全な形で定着したのではなく、特におそらく17世紀に入って行くに従って、よく機能し始めた占有訴訟自体が、一方では単純な物の取り戻しのために、他方では凡そ平和秩序維持のために、使われ、再度混乱に向かっていくのではないかと考えられる。確かにそうでなければ、19世紀になってのサヴィニーによる大整理は必要なかったであろう。
著者
木庭 顕
出版者
國家學會事務所
雑誌
國家學會雑誌 (ISSN:00232793)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.p119-145, 1982-04
著者
木庭 顕
出版者
國家學會事務所
雑誌
國家學會雑誌 (ISSN:00232793)
巻号頁・発行日
vol.111, no.7, pp.731-763, 1998-08
著者
蟻川 恒正 木庭 顕 樋口 陽一
出版者
日本評論社
雑誌
法律時報 (ISSN:03873420)
巻号頁・発行日
vol.90, no.5, pp.56-82, 2018-05
著者
木庭顕著
出版者
勁草書房
巻号頁・発行日
2017