著者
杉島 優子 上野 栄一
出版者
富山大学看護学会編集委員会
雑誌
富山大学看護学会誌 (ISSN:1882191X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.159-171, 2014-12

本研究ではアルツハイマー型認知症の妻を介護しながら,パーキンソン病で胃瘻造設を行った実母を介護する男性介護者のケースに着目する.この二者の介護を行う男性介護者が胃瘻管理を含め介護を前向きに取り組んでいる要因は何かを検討し,その要因を抽出することを目的とした.本研究では面接調査方法を用い,半構造化インタビューによりデータ収集を行った.その後,「KHCoder」を使用し内容分析を行った.今回は共起ネットワーク分析と対応分析により質的データを可視化した.結果,①介護と死を自分も含めた人間の通る道としての受容.②被介護者への感謝の思いや経済的基盤の安定.③制度の利用に加え,医療従事者との関わりの多さ.④被介護者の状態が落ち着いていること.⑤自分の殻に閉じこもらず,自ら他者に働きかけていく介護者の特性.以上5要因が抽出できた.これらの結果から,医療者には介護者が孤立しない配慮が必要である.