著者
森丘 保典 杉田 正明 松尾 彰文 岡田 英孝 阿江 通良 小林 寛道
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.414-421, 2000-05-10 (Released:2017-09-27)
被引用文献数
1

This study was conducted to clarify the relationship between features of change in velocity and performance of world class athletes in the men's 400-m hurdle race(400mH).Nine final races of 400mH were videotaped with several video cameras panning from the start to the finish at 60 fields/s.After the time indication had been superimposed on each field of the VTR images, the time at touchdown immediately after hurdling was obtained.Using the flash of the starter's gun recorded on the VTR image, each hurdle touchdown time from the start, and each section thme(from each hurdle to the next)was obtained.The results of regression analysis showed a significantly high correlation (r=0.90, p<0.001)between 400mH performance and mean section velocity from the 5th to the 8th hurdle(H5-8), and a significant correlation(r=-0.61, p<0.05)between 400mH performance and te rate of deceleration in H5-8.These results indicate that in 400mH it is important to avoid decreasing velocity and to maintain a high velocity in H5-8 of the race in order to attain a high performance.
著者
杉田 正明
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は低酸素(高地)トレーニングの効果を高める至適条件を検討するために運動時の酸素飽和度に着目して幾つかのトレーニング実験を行った。高度や運動強度に関わらず運動中の酸素飽和度を90%以下になるように負荷強度を設定し、1回30分間、一定期間(週2回、4週間)の自転車駆動トレーニング実施によって、有意な持久能力の向上が認められた。したがって低酸素環境における持久能力のトレーニング効果を高める条件としては酸素飽和度が90%以下の水準になるような負荷強度を選択することが重要であるといえよう。
著者
伊藤 章 小林 寛道 阿江 通良 飯干 明 藤井 範久 榎本 靖士 深代 千之 杉田 正明
出版者
大阪体育大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

第11回世界陸上競技選手権大会(大阪,2007)に出場した各種種目の世界一流選手と日本選手の動作分析とタイム分析をおこなった.これらの分析結果とこれまで蓄積してきたデータとを比較し,今回出場した世界一流選手たちの技術の特徴を明らかにするとともに,日本選手の技術の長所や改善すべき点を洗い出すことが出来た.多くのデータを収集できた種目に関しては,記録との相関関係をもとに普遍的ともいえる合理的技術を示すことが出来た.
著者
土屋 裕睦 秋葉 茂季 衣笠 泰介 杉田 正明
出版者
独立行政法人 日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
Journal of High Performance Sport (ISSN:24347299)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.13-22, 2021 (Released:2021-08-25)
参考文献数
13

The Intelligence and Scientific Support team of the Japanese Olympic Committee (JOC) surveyed all JOC-Athletes Targeted for Olympic High Performance (n=995) on the impact of the COVID-19 pandemic in August 2020. The athletes responded to a web-based questionnaire. This study analyzed psychological stress responses and communication status from questionnaire data collected from identical participants using similar methods to the JOC Athlete Survey Part-1 (Sugita et al., 2021). Results indicated that summer sports athletes had significantly higher stress responses than winter sports athletes. Moreover, the Kessler Psychological Distress Scale (K6) score suggested that the proportion of summer sports athletes suffering from psychological distress (K6≧13) exceeded 10%. Mental health of summer sports athletes might have deteriorated due to the psychological impact of postponing the Tokyo 2020 Games. The stress response and mental health scores were positively correlated with stressors and negatively correlated with stress coping ability (Sense of Coherence: SOC). We speculate that reducing stressors associated with self-restraint and improving individual athletes' SOC might reduce stress responses and maintain or improve their mental health. Furthermore, the lack of communication between the athletes and their teammates and the coaches was indicated, especially during the state of emergency. Therefore, more holistic support activities for providing psychological support to Japanese elite athletes with mental health concerns using communication technologies, including videos and web conferences, might be required in the future.
著者
河村 亜希 杉田 正明
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.199-205, 2020 (Released:2020-10-19)
参考文献数
32

スポーツ現場におけるn-3系脂肪酸摂取の有用性が示唆されているが, スポーツ選手を対象とした先行報告は極めて少ない。本研究は, n-3系脂肪酸であるエイコサペンタエン酸 (EPA) およびドコサヘキサエン酸 (DHA) の24か月間の摂取が女子長距離選手における血中脂肪酸濃度の変化に及ぼす影響を知ることを目的とした。12名の選手に対してEPA 664 mg, DHA 284 mgを24か月間毎日摂取させ, 1か月に1回の血液検査を実施した。その結果, 血中EPA濃度は介入前と比較し3か月後に126% (p<0.01) 増加し, 血中アラキドン酸 (AA) 濃度は1か月後に17% (p<0.05) 減少した。EPA/AA比は介入前 (0.41±0.04) と比較し3か月後 (0.86±0.05) に110% (p<0.01) 増加し, その後0.67‐0.98の範囲で推移した (p<0.05, p<0.01) 。一方, DHAの血中濃度に変化は見られなかった。従って, 女子長距離選手におけるEPAおよびDHAの日常的な摂取は, 血中EPA濃度を増加させ, 血中AA濃度を低下させることで長期的にEPA/AA比を高めることが確認された。
著者
野村 由実 荒木 智子 吉岡 マコ 杉田 正明
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.153-164, 2021 (Released:2021-12-02)
参考文献数
27

【目的】本研究は,新型コロナウイルス感染症流行下における産後女性の健康増進を目的としたオンラインプログラムについて精神的・身体的側面から効果検証を行った.【方法】産後セルフケアオンライン教室に参加する産後1年未満の女性のうち研究同意が得られた研究参加者142人の中で,4回のプログラムおよび4回のアンケート調査を完遂した71人を対象とした.プログラムはストレッチ・筋力トレーニング・参加者間の対話・セルフケアで構成された.オンラインビデオ会議システムを介して週1回75分,4回行い,母親と乳児は自宅から参加した.評価指標は身体症状,セルフケアの行動変容,主観的健康感(WHO Subjective Well-being Inventory)に関する23項目を設定し,プログラム実施前(ベースライン),実施直後,終了後1カ月,終了後3カ月の4時点でwebアンケート調査を行った.【結果】身体症状(慢性的な疲労を感じる,肩がこる,腰が痛い),主観的健康感(陽性感情,陰性感情,自信,至福感,精神的コントロール感,身体的不健康感),セルフケアの行動変容(セルフケア実施頻度,腰や関節の痛みへの自覚,疲労の予測,肩や体のこりに対する予防・調整,腰や関節への痛みに対する予防・調整,疲労に対する予防・調整)において経時的変化が認められた.陽性感情はベースライン(41.6±5.9)から1カ月後(43.5±6.2)まで有意に高まり(p=0.002),3カ月後(41.4±6.8)にはベースラインの水準に戻っていた(p=0.000).陰性感情はベースライン(49.7±5.8)から3カ月後(53.8±6.4)にかけて有意に低下した(p=0.000).【考察】運動と対話で構成されたオンラインプログラムは,身体症状の改善,主観的健康感の向上,セルフケアの継続,健康への意識や取組の変化など,母親の心身の健康増進に寄与した.
著者
石崎 太一 黒田 素央 杉田 正明
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.225-228, 2006-04-15 (Released:2007-05-15)
参考文献数
11
被引用文献数
19 17

プラセボ食群を対照とした,シングルブラインドの2群並行試験により,中高年の気分・感情状態に対する鰹だし継続摂取の影響について調査を行った.全被験者を対象とした解析の結果,鰹だし摂取により「眼の疲れ」,POMSの「抑うつ-落込み」得点が有意に低下(改善)することが示された.疲労感を自覚している被験者を対象とした解析の結果,気分アンケートの「疲労感」,「集中力」の項目において,鰹だし群は摂取時に有意に低下(改善)した.また,POMSについて,鰹だし群は「緊張-不安」において有意に低下し,また,TMD(総合感情障害指標)変化量において鰹だし群はプラセボ群よりも有意に低値を示した.すなわち,鰹だし群はプラセボ群と比較して有意にTMDが改善することが示唆された.これらの結果から,味噌汁形態で鰹だしを摂取した時に,気分・感情状態が改善する可能性が示唆された.
著者
杉田 正明 西村 明展 加藤 公 福田 亜紀 松田 和道 須藤 啓広
出版者
Society for Science and Technology
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.31-34, 2013

高地で行われるスポーツ競技会に対し、平地と同様のパフォーマンスが発揮できるよう「高地順化」が求められる。しかし、高地にまとまった期間、滞在しトレーニングを行うには経済的、時間的にも負担が大きく、さらに高地でのトレーニングではトレーニングの強度や量の低下が心配される。2010年に開催されたワールドカップ南アフリカ大会のサッカー男子日本代表は、事前に平地(国内)で安静時に低酸素を吸入し、高地順化を促進する取り組みを行い、ある一定の成果を収めることができたとされている。しかし、特殊なツールを用いた安静時での低酸素吸入に関しては、不明な部分も多く、トレーニングの順序性を考える上で、安静時の低酸素吸入がその直後に行うトレーニングへ悪影響を及ぼす可能性が危惧されるところである。そこで、本研究の目的は、低酸素吸入後にオールアウトまでの運動を行い、通常環境(常酸素)で行った運動と比較して、生体への負担度や運動能力に影響が生じないかどうかを検討することである。8名の健常な男性を対象とし、安静時に低酸素吸入ツールを用いて低酸素吸入(SpO2 88~92 %;1時間のプログラム)をさせ、安静(常酸素)30分後にハンドエルゴメーターを用いて多段階漸増負荷法でトレーニングをさせた。また、低酸素吸入をしない環境(常酸素)でも同様のことを行わせた。各負荷での心拍数、血中乳酸濃度および主観的運動強度(RPE)の値は負荷が上がることに上昇したが、各測定項目の最大値も含めて低酸素吸入の有無による差は認められず、運動継続時間についても有意な差は認められなかった。本研究の結果より、平地で安静時に低酸素吸入をさせても、30分後の平地での通常の運動トレーニングには悪影響を及ぼさないと考えられた。
著者
山中 亮 松林 武生 佐伯 徹郎 榎本 靖士 山崎 一彦 杉田 正明
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.307-313, 2016-06-01 (Released:2016-05-14)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

The purpose of this study was to examine the relationships between running performance and the cross–sectional area of the psoas major, peak oxygen uptake, and running economy in male junior long–distance runners. The subjects were 37 male junior athletes who achieved good records in interscholastic athletic competition during 5 years (2011–2015). Their seasonal best times in a 5,000 m race (5,000m–SB) were 14:04.11 ± 0:07.25 (13:53.64–14:16.15). In a multiple regression analysis, 5,000m–SB was statistical significantly correlated with the cross–sectional area of psoas major (16.0 ± 1.7 cm2) measured on magnetic resonance imaging and peak oxygen uptake (4.25 ± 0.36 l min-1 [76.9 ± 5.8 ml min-1 kg-1]) during a lactate curve test comprising five stages. However, 5,000m–SB was not related to oxygen uptake at the work–load which was less than the load at the lactate threshold estimated by using the lactate curve test results. These results suggest that a high volume of the psoas major, the largest hip–flexor muscle, and peak oxygen uptake are among the important factors for junior long–distance runner performance.
著者
杉田 正明 西村 明展 加藤 公 福田 亜紀 松田 和道 須藤 啓広
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.31-34, 2013 (Released:2013-07-04)
参考文献数
14

高地で行われるスポーツ競技会に対し、平地と同様のパフォーマンスが発揮できるよう「高地順化」が求められる。しかし、高地にまとまった期間、滞在しトレーニングを行うには経済的、時間的にも負担が大きく、さらに高地でのトレーニングではトレーニングの強度や量の低下が心配される。2010年に開催されたワールドカップ南アフリカ大会のサッカー男子日本代表は、事前に平地(国内)で安静時に低酸素を吸入し、高地順化を促進する取り組みを行い、ある一定の成果を収めることができたとされている。しかし、特殊なツールを用いた安静時での低酸素吸入に関しては、不明な部分も多く、トレーニングの順序性を考える上で、安静時の低酸素吸入がその直後に行うトレーニングへ悪影響を及ぼす可能性が危惧されるところである。そこで、本研究の目的は、低酸素吸入後にオールアウトまでの運動を行い、通常環境(常酸素)で行った運動と比較して、生体への負担度や運動能力に影響が生じないかどうかを検討することである。8名の健常な男性を対象とし、安静時に低酸素吸入ツールを用いて低酸素吸入(SpO2 88~92 %;1時間のプログラム)をさせ、安静(常酸素)30分後にハンドエルゴメーターを用いて多段階漸増負荷法でトレーニングをさせた。また、低酸素吸入をしない環境(常酸素)でも同様のことを行わせた。各負荷での心拍数、血中乳酸濃度および主観的運動強度(RPE)の値は負荷が上がることに上昇したが、各測定項目の最大値も含めて低酸素吸入の有無による差は認められず、運動継続時間についても有意な差は認められなかった。本研究の結果より、平地で安静時に低酸素吸入をさせても、30分後の平地での通常の運動トレーニングには悪影響を及ぼさないと考えられた。
著者
森丘 保典 杉田 正明 松尾 彰文 岡田 英孝 阿江 通良 小林 寛道
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.414-421, 2000-05-10
被引用文献数
1

This study was conducted to clarify the relationship between features of change in velocity and performance of world class athletes in the men's 400-m hurdle race(400mH).Nine final races of 400mH were videotaped with several video cameras panning from the start to the finish at 60 fields/s.After the time indication had been superimposed on each field of the VTR images, the time at touchdown immediately after hurdling was obtained.Using the flash of the starter's gun recorded on the VTR image, each hurdle touchdown time from the start, and each section thme(from each hurdle to the next)was obtained.The results of regression analysis showed a significantly high correlation (r=0.90, p<0.001)between 400mH performance and mean section velocity from the 5th to the 8th hurdle(H5-8), and a significant correlation(r=-0.61, p<0.05)between 400mH performance and te rate of deceleration in H5-8.These results indicate that in 400mH it is important to avoid decreasing velocity and to maintain a high velocity in H5-8 of the race in order to attain a high performance.
著者
石崎 太一 黒田 素央 杉田 正明
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.225-228, 2006-04-15
被引用文献数
6 17

プラセボ食群を対照とした,シングルブラインドの2群並行試験により,中高年の気分・感情状態に対する鰹だし継続摂取の影響について調査を行った.全被験者を対象とした解析の結果,鰹だし摂取により「眼の疲れ」,POMSの「抑うつ-落込み」得点が有意に低下(改善)することが示された.疲労感を自覚している被験者を対象とした解析の結果,気分アンケートの「疲労感」,「集中力」の項目において,鰹だし群は摂取時に有意に低下(改善)した.また,POMSについて,鰹だし群は「緊張-不安」において有意に低下し,また,TMD(総合感情障害指標)変化量において鰹だし群はプラセボ群よりも有意に低値を示した.すなわち,鰹だし群はプラセボ群と比較して有意にTMDが改善することが示唆された.これらの結果から,味噌汁形態で鰹だしを摂取した時に,気分・感情状態が改善する可能性が示唆された.