著者
村松 憲
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.274_3-274_3, 2016

<p> テニスにおいては「強い」ボールが打てることが競技力が高いことの一つの条件であると考えられる。本研究において「強い」ボールとは、ボールの速度-回転量グラフにおいてより「右上」(村松ほか2015)に位置するボール、すなわち同じ速度であればより大きな回転量、同じ回転量であればより大きな速度を持つボールのことであると定義する。「弱い」ボールはその逆とする。本研究は、強いボールが相手のショットを弱める効果があるのかどうか、という点について大学トップクラス男子学生テニス選手(1名)を被験者として検討した。ボールマシンから2種類の強さのボールを出し、それに対してフォアハンドグラウンドストロークで打球した。ボールマシンから出たボールと選手が打つボールの速度と回転量を、それぞれスピードガンと高速度カメラ(2000fps)で計測した。その結果、ボールマシンから出たボールが強いと、選手が打つボールが弱くなる傾向が明らかとなった。この原因について考察する。</p>

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著者
村松 憲一
出版者
名古屋地学会
雑誌
名古屋地学 (ISSN:13450514)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.6-14, 2019 (Released:2019-03-21)
参考文献数
80
著者
上村 孝司 村松 憲
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1789, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】普段行われているジャンプ動作など,反動を利用する動作を目的として筋収縮を行う際には,拮抗筋条件収縮(Antagonist Conditioning Contraction:ACC)が行われている。促通手技の一つでもあるACCは,主動作筋の収縮前に拮抗筋を収縮させるものであり,拮抗筋の収縮後に主動作筋出力が増強することが報告されている(Kamimura et al., 2009)。等尺性収縮によるACCでは,拮抗筋のゴルジ腱器官からのIb抑制により拮抗筋を抑制し,主動作筋を興奮させることで主動作筋の最大筋出力が向上する(Gabriel DA et al. 2001)。また,最大努力での等尺性または等速性による事前の拮抗筋収縮により,主動作筋活動が増加されることが報告されている(Kamimura and Takenaka, 2007)。等尺性収縮による拮抗筋条件収縮後の主動筋活性は,先行研究ではゴルジ腱器官のIb抑制の効果であると仮定されている(Kabat, 1952)。このような拮抗筋の条件付け活動は主動作筋に対して,脊髄からの興奮性の水準を高めるのに役立つ可能性があり,ACCを包含することにより筋力トレーニングの効果は増加する可能性がある。そこで本研究は,拮抗筋条件収縮における筋出力初期の増強を,特に神経的要因から検討することを目的とした。【方法】健常な被験者8名を対象に,足関節90度にて背屈および底屈の最大随意収縮(MVC)の測定した。その後,等尺性収縮による100%MVCでの背屈を1秒間行わせた後,直ちに最大努力での底屈を3秒間行わせた。筋活動電位(EMG)はヒラメ筋から導出した。底屈のみと拮抗筋条件収縮後の底屈時における25%MVCまでトルクが上昇した時点において,脛骨神経を電気刺激することによりヒラメ筋のH波を導出した。得られたデータから,最大トルク,筋電図積分値(iEMG),力の立ち上がり速度(RFD),EMGの発揮勾配(RED),H波の振幅を解析した。RFDは筋出力発揮を微分し,足関節底屈相での最初のピークとした。REDを算出するために区分周波数4Hzのガウシアンフィルターを用いて,筋電図信号を平滑化した。平滑化した信号を微分し,最初のピーク振幅をREDとした。測定値は平均値±標準誤差で示した。各測定条件における相関関係はピアソンの相関係数を用いて求めた。2群間の差の検定は対応のあるt検定を用いた。危険率はすべて5%とした。【結果】ACCの底屈のピークトルクは,底屈のみと比較して有意な差は認められなかったが,RFDおよびREDはACC条件においてに有意に高い値を示した。また,底屈のみのH波と比較してACC後の底屈時のH波は有意に高い値を示した。【考察】底屈のみとACC後の底屈時のピークトルクやiEMGにおいて,有意な差は認められなかった。しかし,ACC後のRFD及びRREは有意に高い値を示した。またACC後の主動筋収縮時のH波は,主動筋収縮のみのH波と比較し有意に上昇した。このことから主動筋収縮前にACCを行うことで,筋出力の初期に増強が起こることが明らかとなった。先行研究ではダイナミックなACC後の主動筋のRFDの増加は,筋腱複合体の弾性エネルギーによる可能性であることが示唆されている(Gabriel DA et al., 2001)。しかし,本研究では等尺性収縮を用いたことにより,弾性エネルギーの影響によるRFDの増加は考えにくい。拮抗筋条件収縮後のRFDが上昇した要因としては,神経系の活動が関与したと考えられる。それを支持するものとして,REDの増加が挙げられる。REDは神経的要因を反映しており,RFDと相関することが報告されている(上村ほか., 2011)。また,ACC後の主動作筋収縮時のH波の振幅が有意に増加していることから,底屈のみの際には動員されていなかったα運動ニューロンが新たに動員されていることが考えられた。このことから,RFD及びREDの有意な増加はREDの増加及びH波の増加から,神経的要因が深く関与していることを明らかにしている。先行研究において,等尺性収縮によるACC後の主動筋活動増強は,GTOのIb抑制の効果であると仮定されている(kabat, 1952)。Ib抑制は主動筋を抑制し,拮抗筋を興奮させる。先行研究ではIb抑制が最も大きくなるのは,収縮開始から1秒程度までであるという報告がある(Moore and Kukulka, 1991)。本研究では等尺性でACCを1秒間行っていることから,拮抗筋に対してIb抑制が働き,主動筋に対して興奮性のインパルスが伝達されていると考えられる。したがって,主動筋収縮前にACCを行うことで筋出力増加が得られるのではないかと考える。【理学療法学研究としての意義】今回明らかになったメカニズムを利用できるような訓練方法を考案することで,臨床場面における筋力増強訓練をより効果的に実施することができるようになるのではないかと考える。
著者
澤田 誠 村松 憲 深澤 雄希 石黒 友康
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.D3O2176, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】臨床的に糖尿病患者において、四肢の末端を優位に感覚障害を呈する事が知られている。この感覚障害は糖尿病性神経障害に起因するものと考えられている。臨床で用いられる神経の機能評価の一つとして、感覚神経伝導速度(sensory nerve conduction velocity、以下:SCV)が挙げられるが、kimuraらの報告によれば健常成人の正中神経のSCVが61.9±4.2m/secであるのに対し、感覚障害を呈した糖尿病性神経障害患者の正中神経のSCVの平均が53.2m/secと大きく低下している。よって、SCVの低下により表在感覚の低下が引き起こされていると考えられてきた。しかし、本当にSCVの低下によって表在感覚の低下が生じるのかSCVと表在感覚の関係を詳細に解析した研究は殆どない。そこで、私たちは正中神経の経皮的冷却によって引き起こされる一過性の伝導速度の低下を用いて、支配領域である第2指から触覚・2点識別覚を測定し、SCVと表在感覚の関連性について検討した。【方法】対象は、健常成人10例(男性5名・女性5名・年齢21.4±0.8歳、体重59.1±9.5kg、身長168.8±10.3cm)とした。正中神経の冷却については、手関節腹側にコールドパックを置き、神経線維を経皮的に冷却した。SCVの計測は第3指末節腹側に刺激電極、手関節腹側、肘関節腹側に記録電極を設置し、第3指末節腹側の電気刺激をトリガーに記録を200回以上加算平均して計測した。また、触覚(定量知覚計、semmes-Weinstein Monofilaments)・2点識別覚(スピアマン式触覚計)は第2指末節腹側部にて行い、測定間隔は、安静時、冷却開始3分後、6分後、9分後とした。冷却によって皮膚温が7度以下に冷却すると凍傷が生じる可能性が存在するため、皮膚温が7度以下にならないように非接触デジタル温度計を用い、皮膚温が7度以下となった場合には直ちに実験を中止した。【説明と同意】本研究は、ヘルシンキ宣言に従って、研究に対する十分な説明を行い、同意を得られた被験者にのみ行った。また、健康科学大学実験倫理委員会の承認を得ている。【結果】経皮的に正中神経を冷却することによって正中神経のSCVは冷却前69±6.71m/secに対し、冷却9分後では57.8±4.2m/secと統計学的有意差を持って低下した(p<0.01)。しかし、定量知覚計、スピアマン式触覚計を用いた皮膚感覚検査では、冷却前後の測定値に変化は観察されなかった。さらに1g以下の微細な触覚についてsemmes-Weinstein Monofilamentsにて測定を行ったが、同様に感覚閾値の変化は観察されなかった。【考察】正中神経の経皮的な冷却によってSCVの低下が生じたにも関わらず、正中神経支配領域の触覚・2点識別覚の低下は観察されなかった。このような結果は神経伝導速度の低下が不足していたことに起因する可能性が考えられるが、藤村らの報告によると感覚障害を呈する糖尿病患者の正中神経のSCVは平均53.2 m/secであり、本実験で観察された冷却後の神経伝導速度57.8±4.2m/secと近似するものであるため上記の伝導速度低下の不足が原因であるとは考え難い。従って、本研究は臨床的に感覚障害が生じる可能性が高いと考えられている神経伝導速度だけでは糖尿病の感覚障害を説明し得ないことを示唆している。なぜ、臨床所見と本研究結果に乖離が生じてしまったかという点については、実際の糖尿病では神経線維そのものの障害だけでなく、感覚受容器や皮膚自身の変性等も生じることが予測される一方、本研究が冷却を用いて神経線維のみの機能を選択的に障害したことに起因すると考えられる。恐らく、「糖尿病性神経障害に伴う感覚障害」とされている病態は神経線維、感覚受容器、皮膚の変性などの複合的な要因によって生じるものである可能性が高い。少なくとも本研究において50 m/sec程度の神経伝導速度だけでは表在感覚の障害は生じないことが明らかにされたので、今後は神経伝導速度低下以外の何が表在感覚の低下に関与しているのか検討を進める目的で糖尿病患者の感覚受容器の機能や皮膚の性状などを調査していく必要があると考えた。【理学療法学研究としての意義】糖尿病診療ガイドラインに於いて運動療法が推進されており、今まで以上に理学療法士が糖尿病治療に対し、積極的に参加していく事が予想される。今回の研究では、SCVの低下と表在感覚の低下の関連性の低さを明らかにし、受容器の機能低下などの他の要因との関連性の再検討の必要性を示した。今後本研究が発展し感覚障害の原因究明が進むことで、感覚障害の予防に必要な要素を明らかにできると考えている。
著者
清水 肇 村松 憲仁 石川 貴嗣 宮部 学 山崎 寛仁
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

粒子の質量はヒッグス粒子によって創成されると考えられているが、その質量は非常に小さく、実質的に物質の質量を創る機構が他に必要である。南部陽一郎は、強い相互作用における自発的対称性の破れによって物質はその質量を獲得すると説明した。しかし、そのことを証明した実験はまだない。本研究はこの壮大なテーマに挑み、そのために必要な実験手段を開拓した。世界最高エネルギーのレーザー電子光ビームLEPS2を新たに開設し、1GeV領域の光子に対して世界最高エネルギー分解能を持つ電磁カロリメータBGOeggを完成した。この2つを組合わせることによって、計画通りのクォーク核物理研究環境を構築し、データ収集を行っている。