著者
松本 洋輔
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.599-607, 2021 (Released:2021-10-01)
参考文献数
9

LGBTQ+と呼ばれるセクシュアルマイノリティのメンタルヘルスは損なわれやすいことがさまざまな研究で明らかになっている.筆者は主にトランスジェンダーの生活史を多数聴取しているが,メンタルヘルスの問題はLGBTQ+に共通するものがあると考えている.それは社会との間で抱える問題であり,LGBTQ+本人の中にはない.学校における種々のジェンダーの規範はトランスジェンダーを苦しめる.学校教育などの中でセクシュアリティの多様性に関して肯定的な情報の提供は乏しい一方,LBGTQ+を揶揄するような否定的な情報はさまざまな場面で繰り返され,それが問題であることもほとんど指摘されることはない.LGBTQ+の割合は20~30人に1人とされ,医療機関受診者にも多数混じっている.彼らのメンタルヘルスを守るためには,医療者が無自覚にもっているスティグマに気づく必要がある.