著者
後藤 隆史 東野 哲也 中西 悠 松田 圭二 我那覇 章 鈴木 幹男
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.11, pp.1214-1219, 2013-11-20 (Released:2014-01-16)
参考文献数
10

外耳道外骨腫は, 古くより潜漁夫やサーファー, 特により寒冷な地域でより長い冷水刺激に暴露された者ほど発症率が高く骨増殖も大きいとされている. 今回われわれは, 15年間にわたりサウナに通い, サウナに入った直後の冷水浴を習慣としていた3症例5耳の外骨腫に対して手術を行った. サウナ習慣者の冷水刺激に対する暴露時間は, 職業的に潜水する人やマリンスポーツをする人に比べればはるかに短いと考えられるが, 極端な高温・冷水刺激の反復が外骨腫の発生にかかわった可能性が示唆された.
著者
長井 慎成 東野 哲也 松田 圭二 外山 勝浩 河野 浩万 小玉 隆男
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.110, no.11, pp.707-712, 2007-11-20 (Released:2008-12-25)
参考文献数
15
被引用文献数
4 3

【はじめに】中耳真珠腫の画像診断にはCTが第一選択として用いられるが, 軟部陰影を質的に鑑別するためにはMRIが有用である. 当院では2002年よりMRI撮像に加え, 拡散強調法による撮像を用い真珠腫診断を行っている. これまでに当院にてMRI拡散強調画像で病態評価を行った中耳炎症例を用い, 本撮像法の有用性について検討したのでその結果を報告する.【対象と方法】2002年10月から2006年7月に, 当院で拡散強調画像を加えた側頭骨MRI検査を行った56例を対象とした. 男性35名, 女性21名, 年齢は3歳~76歳で, 平均42.8歳であった.【結果】真珠腫診断における拡散強調像の感度は85.4% (41/48), 特異度は100% (8/8), 陽性的中率は100% (41/41), 陰性的中率は53.3% (8/15) であった. 拡散強調像にて真珠腫を同定できた症例の画像におけるサイズは, 5mmから40mmであり, 4mmの先天性真珠腫は評価困難であった.【考察】今回の検討から, 本撮像法の中耳真珠腫診断における有用性が確認された. 今後本撮像法の分解能が向上することにより, 中耳真珠腫診断におけるMRI検査の位置づけがさらに高まるものと期待される.
著者
土屋 剛史 八木 貴博 塚本 充雄 福島 慶久 島田 竜 岡本 耕一 藤井 正一 野澤 慶次郎 松田 圭二 石田 剛 斉藤 光次 橋口 陽二郎
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.374-378, 2016 (Released:2016-06-24)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

症例は50歳,女性.検診で上部消化管造影検査施行後7日目に,急激な腹痛が出現した.前医に緊急入院となったが,排便なく,貧血の進行も認めたため,当院へ転院となった.腹部CT検査で,S状結腸周囲に腹腔内遊離ガス像と,腸管外へのバリウムの漏出を認めた.また,骨盤底には強いアーチファクトを引く巨大なバリウム陰影を認めた.下部消化管穿孔疑いにて,同日緊急手術を施行した.術中所見では,S状結腸の腸間膜側へ穿孔を起こしており,同部では壊死性の変化を伴っていた.また,直腸内には鶏卵大の硬い異物を触知した.ハルトマン手術,腹腔ドレナージを施行した.直腸内異物を用手的に肛門から排出させると,バリウム塊であった.標本上は,34mm大の穿孔部を認めた以外,憩室や腫瘍性病変は指摘できなかった.バリウムによる上部消化管造影検査後の大腸穿孔はまれであるが,重篤な転帰をとる場合もあるため,若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
松田 圭二 岩堀 恵祐
出版者
日本水処理生物学会
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.19-29, 2016 (Released:2018-03-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

し尿、浄化槽汚泥の性状は、し尿処理プラントの建設や運転管理における重要なファクターである。しかし、近年の性状実態を包括的に捉えた報告はみられず、適切な頻度の分析作業も困難な状況と推察される。本研究では、し尿、浄化槽汚泥に関する標準的な性状の抽出と分析作業の効率化を目的として、アンケート調査で得られた性状データ(検討項目:BOD、COD、SS、T-N、T-P、塩化物イオン)をもとに、し尿・浄化槽汚泥の性状に関する解析と検討を行った。性状データの分布は、いずれの検討項目も、正規または対数正規による非超過確率分布によく適合しており、解析で得られた非超過確率値が、し尿、浄化槽汚泥の性状設定で利用可能と判断された。また、検討項目間の相関関係から、比較的簡単に分析できるCODあるいはSSのいずれかと塩化物イオンの濃度を測定することで、他の検討項目の濃度も把握できることが示唆された。
著者
田中 千恵 水野 樹 西村 潤一 松田 圭二 村田 幸平 岡 志郎 吉田 好雄 吉田 陽一郎
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.391-400, 2021 (Released:2021-06-29)
参考文献数
90
被引用文献数
1

本稿では,プレフレイル高齢大腸がん患者に対する外科治療について述べる.高齢大腸がん患者に対して外科治療を行う際は適切な術前評価と術中評価が重要である.術前の身体機能低下・認知機能低下・低栄養・併存症・多剤併用・骨格筋量の低下は術後合併症や死亡のリスク要因となる.術中は輸液量制限や目標思考型輸液管理に基づいた輸液管理と脳波モニタリングによる厳密な麻酔深度管理を行い,低体温症や皮膚,筋肉,神経,循環障害を予防することが術後合併症の低減につながる.しかし,リスク因子の程度と術後合併症の関連に関する質の高い論文は存在しない.またプレフレイル患者に対して標準治療が困難である場合,手術侵襲の減弱により手術治療が許容されるかどうかに寄与するデータも存在しない.これらの問題点を解決するためには,網羅的な高齢者総合的機能評価のデータの蓄積と解析が必要である.
著者
八木 貴博 松田 圭二 橋口 陽二郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.746-748, 2019-06-20

【ポイント】◆肛門異物の多くは性的嗜好によるものである.羞恥心があるため自身での申告や経緯は曖昧なことが多く,挿入異物の種類,サイズは多岐にわたる.◆X線やCTなどの画像検査で穿孔の有無,異物のサイズ,局在を確認する.穿孔があれば緊急での開腹手術となる.◆穿孔が確認されなければ用指的,内視鏡的除去を試みる.除去困難であれば麻酔下に除去を試みる.開腹手術による除去が必要となる可能性もある.
著者
松田 圭二 牛迫 泰明 春田 厚 東野 哲也 安達 裕一郎 深江 陽子 堀之内 謙一 森満 保
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.187-192, 1992
被引用文献数
1

騒音レベル80-100dB (A), 中心周波数250Hz-4kHzの某新聞社輪転機室就業員24人の聴力レベルの変動を8年間にわたり追跡した。 24人中21人は聴力レベルに大きな変化なく, 年齢による生理的聴力損失にほぼ添う経過であった。 3人にc<sup>5</sup> dipがみられたが, 難聴の発現, 進展時期に関しては個人差が大きく, 一定の傾向はなかった。 4kHzと8kHzの聴力レベルは, c<sup>5</sup> dipのある者で各年ごとのばらつきが大きく, 聴力正常な者ではばらつきが小さかった。 また, 2例にc<sup>5</sup> dipの深さに左右差があった。 これらはこの個体が 「c<sup>5</sup> dipが始まり固定するまでの期間内」 にあること, 言い換えれば内耳損傷がなお現在進行していることを示すものと思われた。 また, 耳栓使用で騒音性難聴発生が抑制できることが改めて確認できた。