著者
國武 加奈 林 大輔 竹田 一則
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.41-49, 2022-03-31 (Released:2022-10-01)
参考文献数
18

食物アレルギー児の母親における育児ストレスと食物アレルギー情報の利用状況を調査し、インターネット上の食物アレルギー情報を活用した育児支援の方法を検討した。X病院に来院した0~12歳の食物アレルギー患者の母親に質問紙を配布し、77名から回答を得た。統計分析には一元配置分散分析とSpearmanの相関分析を用いた。0 ~3 歳の食物アレルギー児をもつ母親の育児ストレス得点において、44.8%の母親が80パーセンタイル以上の高スコアを示し、育児ストレスが高いことが示唆された。また、インターネット上の食物アレルギー情報の満足度と育児ストレスにおいて有意な負の相関が見られ、食物アレルギー情報の満足度が高いほど育児ストレスが低いことが明らかになった。インターネット上の食物アレルギー情報を充実させることによって、食物アレルギー児の母親の満足度を増加させ、育児ストレスを軽減することができる可能性があると考えられる。
著者
小林 大輔 小山 侑 清水 博之 杉山 健太郎
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.19-25, 2016-12-25 (Released:2017-04-12)
参考文献数
22
被引用文献数
1

目的:三叉神経痛の治療法はカルバマゼピン(以下CBZ)の投与である程度確立されているが,副作用で服用の中断を余儀なくされる症例や,抵抗性を示す症例に遭遇することがある.そのような症例の臨床的特徴が明らかになれば治療の一助となると考え,三叉神経痛患者の臨床的検討を行った.方法:2010年4月から2015年3月に東京都立多摩総合医療センター歯科口腔外科を受診した三叉神経痛患者48例について年齢,性別,罹患部位,頭部MRI所見,治療法,副作用について調査を行った.結果:初診時年齢は29~96歳で平均年齢は67.9歳であった.性別は男性が11例(22.9%),女性が37例(77.1%)であった.罹患部位は第Ⅱ枝が25例(52.1%)と半数以上を占めた.頭部MRI撮影を行った44例において18例(40.9%)で原因血管の同定が可能であり,うち上小脳動脈が9例(50.0%)と最も多かった.3例(6.8%)に脳腫瘍を認め,3例の内訳は聴神経腫瘍および髄膜腫,類上皮腫であった.CBZを投与した45例のうち,34例(75.6%)で症状が寛解したが,11例(24.4%)についてはCBZの内服のみでは症状は寛解せず,追加の治療を必要とした.CBZの奏効量は200mgが19例(55.9%)と最も多かった.副作用は14例(31.1%)に認め,最も多い副作用はふらつきで6例であった.結語:今回われわれは三叉神経痛患者48例について臨床的検討を行った.しかしCBZに副作用,抵抗性を示す症例に明らかな臨床的特徴は見出すことができなかった.
著者
林 大輔 青木 健 柴田 瑠美子 市川 邦男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1628-1633, 2010-12-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
10

症例は6歳男児.現在までにアサリ以外は貝類を含む食物のアレルギーはない.2歳よりアサリ摂取後に嘔吐を繰り返しているため近医を受診したが,アサリ特異的IgEが陰性であり,精査のため当院に紹介された.アサリ特異的IgEは1.04UA/mlでスキンプリックテストは膨疹径4mmであった.生アサリによるパッチテストは陽性,リンパ球刺激試験も陽性(5305cpm,SI=1211%)であった.ゆでたアサリによる経口負荷試験では摂取2時間後に腹痛と嘔吐が出現,末梢血好中球数も負荷前の2924/μlから負荷6時間後に16082/μlまで増加した.これらの検査所見よりアサリによるFood protein enterocolitis syndrome(FPEIS)と診断した.現在まで貝類によるFPIESの報告はなく,本報告が初となる.
著者
鎌内 宏光 佐藤 修一 林 大輔 岡部 芳彦 勝山 智憲 福島 慶太郎 吉岡 歩 佐藤 拓哉 徳地 直子 仲岡 雅裕
出版者
京都大学フィールド科学教育研究センター森林生物圏部門
雑誌
森林研究 = Forest research, Kyoto (ISSN:13444174)
巻号頁・発行日
no.78, pp.81-87, 2012-09

高緯度域では遡河性魚類によって河川に輸送される海洋由来栄養塩 (Marine derived nutrient : MDN)が河川内および河畔域の生物群集に影響を与えているとされる. 本研究では北海道東部の森林河川上流部において初冬にシロザケ死骸 (ホッチャレ)を約800kg 散布し, ホッチャレの消費者を明らかにした. 散布した死骸は10日間でほとんどすべて消費された. 自動撮影された画像から, 消費者はカラス類が優占しており, トビおよびオオワシを含めて鳥類が96% を占めた. カラス類は近隣の牧場で越冬している個体が移動したと思われた. 自動撮影された画像では, カラス類の摂食は少なくともホッチャレの一部が水面上に露出した場合に限られていたのに対して, オオワシは水面下のホッチャレも摂食した. 集水域の周囲の土地利用や河川の水深および河道形状がホッチャレの消費者組成に影響することが示唆された. 鳥類は, 秋にMDN を輸送するクマとは行動範囲や摂食パターンが異なるため, 初冬にシロザケが遡上する河川では, MDNの散布距離や散布量が秋とは異なることが考えられる.Marine derived nutrient (MDN), which is carried to stream by anadromous animals, affects stream and riparian ecosystems at high latitudes. To clarify the consumer of salmon carcasses during early winter of Eastern Hokkaido, we carried out a field experiment on spreading out carcasses (ca. 800 kg) at a woodland stream. Almost all of carcasses were consumed during 10 days. Crows was dominant, and birds abundance including black kite and Steller's sea eagle occupied 96 % of photo-trapping data. Crows were thought as immigrant from ranches surrounding experimental watershed. From the photo-trapping data, although crows fed only if, at least, a part of carcass was exposed over the water surface, Steller's sea eagle fed carcass even if it submerged. It suggests that land use of surrounding the watershed, channel morphology or depth of stream would affect the composition of carcasses consumer. Because of unique behavior (e.g. migration distance, feeding pattern) by bird, spreading distance and amount of MDN would show different pattern against autumn in streams that salmon runs in early winter.
著者
大科 枝里 小林 正典 金城 美幸 中川 美奈 大塚 和朗 赤星 径一 田邉 稔 松木 裕子 小林 大輔 岡本 隆一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.119, no.7, pp.683-691, 2022-07-10 (Released:2022-07-11)
参考文献数
24

52歳,女性.胆道閉鎖症にて生後120日で胆囊十二指腸吻合術が行われた.反復する胆管炎に対して内視鏡治療を行った際の胆汁細胞診でClass Vが検出された.マッピング生検で胆囊管肝管合流部に癌を確認し,肝外胆管切除術,胆管空腸吻合術を行った.胆管癌はBilIN-3までの粘膜内癌でR0切除であった.胆道閉鎖症に対する胆囊十二指腸吻合術はまれで,術後長期の胆管癌合併の報告はなく,文献的考察を加えて報告する.
著者
林 大輔 青木 健 柴田 瑠美子 市川 邦男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1628-1633, 2010

症例は6歳男児.現在までにアサリ以外は貝類を含む食物のアレルギーはない.2歳よりアサリ摂取後に嘔吐を繰り返しているため近医を受診したが,アサリ特異的IgEが陰性であり,精査のため当院に紹介された.アサリ特異的IgEは1.04UA/mlでスキンプリックテストは膨疹径4mmであった.生アサリによるパッチテストは陽性,リンパ球刺激試験も陽性(5305cpm,SI=1211%)であった.ゆでたアサリによる経口負荷試験では摂取2時間後に腹痛と嘔吐が出現,末梢血好中球数も負荷前の2924/μlから負荷6時間後に16082/μlまで増加した.これらの検査所見よりアサリによるFood protein enterocolitis syndrome(FPEIS)と診断した.現在まで貝類によるFPIESの報告はなく,本報告が初となる.
著者
岩下 明生 小林 大輔 太田 季絵 小川 博 安藤 元一
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.209-217, 2014-12-15

神奈川県内の哺乳類の生息状況が異なる2つの緑地においてスタンプ板を用いた足跡トラップの有効性を検証するために,スタンプ板と自動撮影カメラを「けもの道」に設置して両者の調査効率を比較した。両手法におけるタヌキやアライグマなどの中型食肉目の出現頻度には正の相関が得られた。しかし,その値自体はスタンプ板調査よりも自動撮影調査の方が4-5倍高かった。動物のスタンプ板に対する反応をみると,アライグマとイエネコでは他種よりもスタンプ板の上を通過する割合が1.5-1.7倍高かったのに対し,アナグマでは他種よりも板の脇をすり抜ける割合が2-3倍高く,スタンプ板への反応には種間差が存在した。すなわち,スタンプ板調査は自動撮影調査よりも動物の検出力に劣るが,主要な中型食肉目の生息確認のような定性的な調査には十分な能力を有していた。さらにスタンプ板調査では低価格で盗難の可能性も低く,取り扱いが容易であるという利点があった。スタンプ板調査における実用的な方法の長短所を議論した。
著者
挾間 章博 三宅 将生 小林 大輔 勝田 新一郎
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

セシウムの臓器蓄積モデルとしてHeLa細胞を使用した。HeLa細胞に対してCsが増殖抑制効果を示すことを明らかにし、学術論文(FEBS Lett. 2017 Mar;591(5):718-727)として発表した。本研究で細胞内へのCsの流入が実際に起きていることが示され、Csにより解糖系酵素の発現抑制や機能抑制が起きている可能性が示された。HeLa細胞と他の細胞株のCs感受性の違いからCsの透過経路となる遺伝子を調べたところ、TRPC1、TRPM7がCsの透過経路と予想できた。
著者
本間 元康 栗林 大輔 長田 佳久 栗山 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.393, pp.11-14, 2012-01-13
参考文献数
21

視線一致(アイコンタクト)は対人交流を促進する上で重要であるが,アイコンタクトの知覚精度に関する研究は乏しい.本研究では,対面する二者におけるアイコンタクトの知覚範囲体積および瞳孔径を測定し,個人特性との関連を調べた.アイコンタクトの知覚範囲は非常に広く,アイコンタクトへの注意は瞳孔径を拡大させることが明らかとなった.さらにその知覚範囲は性格の外向性および社交性不安障害傾向と関連が認められ,外向性が低く社交性不安障害傾向が高い個人ほどより広い範囲で視線が一致したと過大視する傾向があることを示唆した.
著者
國武 加奈 松岡 早紀 深澤 美華恵 林 大輔 竹田 一則
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.99-109, 2020-03-31 (Released:2020-09-30)
参考文献数
17

本研究では、特別支援学校教員を志望する学生の食物アレルギーに関する知識および意識の実態と講義による効果について調査した。特別支援学校教員を志望する学生39名を対象とし、食物アレルギーに関する講義前後にそれぞれ質問紙の回答を求めた。 その結果、知識の実態では、エピペン® 等の薬に関する知識がその他の知識に比べて有意に低く、知識を補完する必要性が示唆された。また、講義後は食物アレルギーに関する知識が有意に上昇した。さらに、エピペン® トレーナーを用いた実技訓練によって、講義後、エピペン® の使用に対する恐怖心が有意に低下し、自信が有意に上昇した。 一方で、講義後に食物アレルギーへの不安が有意に上昇したが、食物アレルギー対応への危機感の高まりとして意義があると考えられる。また、学校教員が食物アレルギーの適切な知識と緊急時対応の技能を身につけるには、教員養成段階から定期的かつ反復的な研修が必要と思われた。
著者
金子 信博 中森 泰三 田中 陽一郎 黄 垚 大久保 達弘 飯塚 和也 逢沢 峰昭 齋藤 雅典 石井 秀樹 大手 信人 小林 大輔 金指 努 竹中 千里 恩田 裕一 野中 昌法
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第124回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.394, 2013 (Released:2013-08-20)

福島原発事故により汚染した森林の除染には、伐採や落葉除去だけでは十分でなく、処理した木材と落葉の処分も問題である。森林土壌から、安全に放射セシウムを除去する方法を提案する。落葉分解試験を、二本松市のコナラ林で2011年12月から2012年12月まで行った。6月には、落葉の放射性セシウム濃度は土壌の2倍から3倍となり、土壌の約12-18%が上方向に落葉へと移動した。この移動は、糸状菌が有機物上で生育する際に土壌からセシウムを取り込むためと考えた。落葉の代わりに伐採した樹木をウッドチップ化し、土壌のセシウムを糸状菌によってチップに集める方法を考案した。汚染地域の木材中の放射性セシウム濃度はまだ高くないので、森林を伐採し、現地で幹材をウッドチップ化しメッシュバッグに入れ、隙間なく置いて半年後に回収することで、低コストで安全に除染が可能である。半年程度経過したウッドチップはまだ分解が進んでいないので、安全な施設で燃焼し、灰を最終処分する。単に伐採して放置するのでなく、この方法で森林施業を積極的に継続しつつ、汚染木材をバイオ燃料として活用し、復興に活用することが可能である。
著者
塚本 学 小林 大輔 岩城 俊雄 和田野 晃
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.374, 2003

シアノバクテリアは,無機炭素濃縮機構(CCM)を持ち効率良く光合成を行っている.この CCM の構成要素としてカルボキシゾームが挙げられる.現在までに様々なカルボキシゾーム変異株が報告され,これらは High CO<SUB>2</SUB> 要求性を示す. 本研究では,このような High CO<SUB>2</SUB> 要求性株に対して外来 Ribulose 1,5-bisphosphate carboxylase/oxgenase (RuBisCO)を導入し,High CO<SUB>2</SUB>要求性の改善を検討した.<br><I>Synechococcus</I> PCC7942においてカルボキシゾームレスミュータント(CL)を作成した.CLは High CO<SUB>2</SUB> 要求性,CO<SUB>2</SUB> 親和性の低下,0.5% CO<SUB>2</SUB> 環境下における顕著な生育阻害という3つの特徴が見られた.この変異株に外来 RuBisCO を導入するため発現ベクターを作成した.プロモーターとして 6803psbAII promoter を,外来 RuBisCO として <I>Chromatium vinosum</I> RuBisCO を用いた.これらが導入された CL(CL-AX)で,RuBisCO 活性が約5倍増加し,最大光合成速度は約 2.5 倍に増加した.さらに CL-AX では,0.5% CO<SUB>2</SUB>条件下において生育阻害が緩和された.
著者
三浦 勝 森 隆太郎 高橋 徹也 小尾 芳郎 山中 研 阿部 哲夫 小林 大輔 中村 恭一
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.159-164, 2004
被引用文献数
2

内分泌細胞癌は悪性カルチノイド腫瘍ともいわれ, 従来の古典的カルチノイドとは区別されている. 今回, まれな十二指腸Vater乳頭部原発の内分泌細胞癌を経験したので報告する. 症例は66歳の女性で, 発熱, 腹痛を主訴に来院し, 血中アミラーゼ高値および肝機能異常を認めた. CT膵頭部に腫瘤形成を呈し, 上部消化管内視鏡ではVater乳頭部に, 中心に陥凹を有する隆起性病変を認め, 生検でVater乳頭部未分化癌または内分泌細胞癌の診断にて, 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 術後病理学的にグリメリウス染色およびクロモグラニン染色陽性で, 内分泌細胞癌と診断した.術後早期にリンパ節再発, 肝転移を認め, 術後75病日に死亡した. Vater乳頭部原発の内分泌細胞癌は会議録を含め本邦報告17例とまれであるが, 予後は極めて不良とされている. 本症例も腫瘍部でのKi-67染色が約50%陽性と, 高頻度の細胞増殖を認め, 内分泌細胞癌の悪性度を裏付ける症例であった.
著者
林 大輔
出版者
慶應義塾大学大学院法学研究科
雑誌
法学政治学論究 : 法律・政治・社会 (ISSN:0916278X)
巻号頁・発行日
no.92, pp.133-165, 2012

一 問題の所在二 大戦期における帝国支配と脱植民地化をめぐる英米の立場三 英中不平等条約撤廃交渉と新界租借地問題、一九四二年―四三年四 イギリス政府内の香港政策―外務省・植民地省・香港計画局、一九四二年―四五年五 ローズヴェルトの香港「自由港」構想と脱植民地化の限界、一九四三年―四五年六 香港における降伏受理をめぐる英米中関係、一九四五年七 結 論
著者
小林 大輔 清水 博之 杉崎 正志 重松 司朗
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.232-239, 2016-12-20 (Released:2017-02-13)
参考文献数
23

顎関節症発症に関与する因子は多因子性であり睡眠障害もその一因とされているが,その因果関係についての研究は少なく十分に解明されていない点も多い。顎関節症患者,特に咀嚼筋痛障害を有する患者に対し睡眠障害との関連性について質問票を用いて検討を行った。対象は,2015年4月1日より2016年3月31日までに当科を受診した,咀嚼筋痛障害を有する顎関節症女性患者40名とし,顎関節症症状のない女性30名を対照群とした。睡眠障害に関してはピッツバーグ睡眠質問票日本語版(以下PSQI-J)を用いて評価した。患者群に対する調査項目は咬筋部圧痛,開口時咬筋部痛,無痛自力最大開口量,日常生活支障度とした。2群を比較した結果,PSQI-Jスコアは有意に患者群のほうが高かった。またPSQI-Jの各項目と各症状との関連を調べた結果では,<睡眠の質>では咬筋部圧痛(p=0.036),<入眠時間>では咬筋部圧痛(p=0.009),<睡眠時間>では日常生活支障度(p=0.021),<眠剤の使用>では開口時咬筋部痛(p=0.026),および咬筋部圧痛(p=0.024)が有意な関連を認めた。また患者群におけるPSQI-J合計スコアと咬筋部圧痛に有意な関連を認めた(p=0.003)。睡眠障害が顎関節症,特に咀嚼筋痛障害の発症に関連をもつことが改めて示唆された。
著者
只野 喜一 磯辺 智範 佐藤 英介 武居 秀行 小林 大輔 森 祐太郎 富田 哲也 榮 武二
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.148-150, 2016 (Released:2017-04-24)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Treatment planning systems with highly accurate dose calculation algorithms such as Monte-Carlo method and linear Boltzmann transport equation are becoming popular thanks to a development of the computer technology. These algorithms use new concepts, dose-to-medium and dose-to-water. However, introducing these concepts can cause confusion in clinical sites. Basic knowledges about Monte-Carlo simulation and other corresponding algorithms were explained in this article such as the principles, the parameters and words of caution.