著者
林 純 柏木 征三郎 野村 秀幸 梶山 渉 池松 秀之 青山 俊雄 与儀 洋和
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.315-320, 1985
被引用文献数
1 1

B型肝炎ウイルスは家族内感染以外, 医療行為や性行為で伝播する事は良く知られているが, その他にHBsAg carrierが使用した歯ブラシやカミソリなどを介しての伝播の可能性も考えられている.著者らはcarrierとカミソリを共用したため, 劇症B型肝炎に罹患した1例を経験したので報告する.<BR>症例は沖縄県石垣市の中学校女子生徒 (14歳) で, 昭和58年1月HBsAg陽性の急性肝炎を発症し, その後意識障害の出現などから劇症B型肝炎と診断されたが, 血漿交換などにより治癒した.<BR>患者が通っていた中学校の全生徒341名のHBsAg陽性率は4.1%, anti-HBsは13.8%, anti-HBcは18.2%で, 当地区における一般住民の陽性率よりやや低い成績であった.この患者の感染経路を検討したところ, 発症2ヵ月前の修学旅行にて, 患者はHBsAg carrier (HBeAg陽性) の女生徒が美容のため下肢の剃毛に使用したカミソリをそのまま借用し, 同様に剃毛を行ったため感染したものと考えられた.<BR>HBsAg carrierへの対策として, 肝機能の面からだけでなく, 感染源としての指導, 教育を行う必要があると考えられた.
著者
林 純 柏木 征三郎 野村 秀幸 梶山 渉 池松 秀之 青山 俊雄 与儀 洋和
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.315-320, 1985-03-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1 2

B型肝炎ウイルスは家族内感染以外, 医療行為や性行為で伝播する事は良く知られているが, その他にHBsAg carrierが使用した歯ブラシやカミソリなどを介しての伝播の可能性も考えられている.著者らはcarrierとカミソリを共用したため, 劇症B型肝炎に罹患した1例を経験したので報告する.症例は沖縄県石垣市の中学校女子生徒 (14歳) で, 昭和58年1月HBsAg陽性の急性肝炎を発症し, その後意識障害の出現などから劇症B型肝炎と診断されたが, 血漿交換などにより治癒した.患者が通っていた中学校の全生徒341名のHBsAg陽性率は4.1%, anti-HBsは13.8%, anti-HBcは18.2%で, 当地区における一般住民の陽性率よりやや低い成績であった.この患者の感染経路を検討したところ, 発症2ヵ月前の修学旅行にて, 患者はHBsAg carrier (HBeAg陽性) の女生徒が美容のため下肢の剃毛に使用したカミソリをそのまま借用し, 同様に剃毛を行ったため感染したものと考えられた.HBsAg carrierへの対策として, 肝機能の面からだけでなく, 感染源としての指導, 教育を行う必要があると考えられた.
著者
平野 勝也 森 孝宏 奥村 雄三 林 純 野村 秀幸 宮永 修 吉松 博信 石橋 大海 柏木 征三郎 稲葉 頌一
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.388-392, 1988-04-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
14

27歳の健康な女性がB型肝炎ウイルスによる劇症肝炎を発症したが, 血漿交換を含む治療により救命し得た. 患者の過去3回の献血時の検査ではHBs抗原は陰性で, 輸血歴およびキャリアーの家族歴はないが, HBe抗原陽性のB型慢性肝炎患者の婚約者と発症2ヵ月前から親密な交際があったことから, 婚約者が感染源と考えられた.性行為に伴うB型急性肝炎の発症の報告はみられるが, 劇症肝炎の報告は稀であり, 将来も本例のような劇症肝炎の発症をみることが予想される. B型肝炎の予防対策の一環としてのキャリアーに対する教育上示唆に富む症例と思われたので報告する.
著者
柏木 征三郎 工藤 翔二 渡辺 彰 吉村 功
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.74, no.12, pp.1044-1061, 2000-12-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
25
被引用文献数
27 29

リン酸オセルタミビル (Ro64-0796) は, A型およびB型インフルエンザウイルスの増殖に必須の酵素であるノイラミニダーゼ (NA) に対する強力で選択的な阻害剤オセルタミビル・カルボン酸 (Ro64-0802) のプロドラッグで, 経口投与後速やかにRo64-0802に変換される. 今回, 我々は, 16歳以上のインフルエンザウイルス感染症患者を対象に, リン酸オセルタミビル (Ro64-0796) 1日2回朝・夕食後5日間経口投与時の本剤の有効性および安全性を検討する目的で, プラセボを対照とした第III相二重盲検並行群間比較試験を実施した. 本試験に登録された患者数は316例で, プラセボ投与群162例, Ro64-0796投与群154例であった. このうち治験薬が投与され, かつインフルエンザウイルスの感染が確認された症例 (ITTI: Intent-to-treat infected population) は, プラセボ投与群130例, Ro64-0796投与群122例の計252例であった.その結果, Ro64-0796は, 有効性の主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間を約1日 (23.3時間) 短縮させ (p=0.0216, 一般化ウイルコクソン検定), 投与3日目の鼻・咽頭ぬぐい液中のウイルス力価を有意に低下させた (p=0.0009, 共分散分析). さらに, 平熱までの回復時間 (36.9℃以下になるまでの期間) をプラセボに比べ約45%短縮させ, インフルエンザ症状の改善に要する時間の短縮ならびに症状の重症度軽減をもたらした. 一方, 安全性については, 有害事象として, 嘔気, 嘔吐, 腹痛などの胃腸障害が多くみられたが, 副作用の発現率は, プラセボ投与群40.9%, Ro64-0796投与群33.1%と, 両群で有意な差は認められず (p=0.155, x2検定), 臨床的に問題となる臨床検査値異常変動およびバイタルサインの異常も認められなかった.以上の成績から, Ro64-0796は, 臨床的に有効かつ安全な経口インフルエンザ治療薬であると考えられた.
著者
江田 邦夫 大田黒 滋 松嶋 喬 品川 敦彦 池松 秀之 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.274-281, 2012-05-20 (Released:2013-04-12)
参考文献数
12
被引用文献数
3 3

長崎県壱岐市(人口約30,000 人の島)におけるA(H1N1)pdm09 の流行状況を調査した.流行は,2009 年8 月に始まり2010 年3 月に終ったが,流行が始まる以前より市医師会では対策委員会を立ち上げていた.流行開始後各医療機関ではインフルエンザと診断した患者について,その日のうちに保健所にFax で連絡した.保健所はその報告患者数を毎日集計し,流行状況により医師会は学校長及び教育委員会と協議し,学級・学年閉鎖,休園・休校を行った.本市での流行は,ピークが分散し2 峰性となったが,これらの措置が迅速かつ徹底して行われたためと考えられた. A(H1N1)pdm09 ウイルスの罹患者は2,024 例で全人口の6.6%であった.年齢群別の人口における罹患率は10~19 歳が最も高く849 例(26.8%),ついで0~9 歳の594 例(21.3%)で,19 歳以下が全罹患者の71.3%を占めた.60 歳以上の高齢者の罹患率はきわめて低かった.A(H1N1)pdm09 ウイルスの抗体保有状況をみるため,流行終息後の2010 年9 月21 日~11 月15 日までに一般住民358 例の採血を行い,A(H1N1)pdm 09 ウイルスのHI 価を測定した.HI 価≧1 : 40 は全体の57.3%で,7~49 歳までが約70%と高率であった.これらのHI 価≧1 : 40 の要因を検討したが,最も多いのはワクチン接種,次いでA(H1N1)pdm09 罹患で,不顕性感染は11.7%と低かった. 以上から,壱岐市でのA(H1N1)pdm09 の流行について, 1.罹患率は全人口の6.6%であった. 2.罹患者の71.3%は19 歳以下であり,高齢者の罹患率はきわめて低かった. 3.流行に対して学級・学年閉鎖,休園・休校が有効であり,2 峰性となった.
著者
諸藤 美樹 梶山 渉 中島 孝哉 野口 晶教 林 純 柏木 征三郎 隅田 郁男 花田 基典
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.1013-1018, 1990-08-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
21

九州地方は, HTLV-IのEndemicareaとされているが, その中でも佐賀県は, 比較的陽性率の低い地域と報告されていた.今回, 佐賀県北部の唐津, 東松浦地区における抗ATLA抗体陽性率を検討するため, 1985年9月から10月にかけ唐津赤十字病院を受診した患者757例を対象とし, 抗ATLA抗体をEIA法により測定した.1. 全患者の抗ATLA抗体陽性率は, 13.7%(757例中104例) で陽性率は加齢と共に上昇し, 60~69歳で最高の21.1%に達した.2. 性別の陽性率は, 男性9.6%, 女性17.8%と有意に女性が高率であった (p<0.001).3. 悪性腫瘍患者を除く患者の居住地別陽性率は, 玄海灘に面する鎮西町, 肥前町, 浜玉町が高く, 沿岸部と山間部の比較では, 有意に沿岸部が高かった (p<0.001).4. 疾患別では, 新生物が26.1%と最も高率で, ATLが100%, ATL以外の悪性腫瘍でも, 25.9%と高く, HTLV-I感染がATLのみならず, 他臓器癌とも関わっていることが示唆された.
著者
廣津 伸夫 長谷川 貴大 税所 優 村手 純子 池松 秀之 岩城 紀男 河合 直樹 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.117-125, 2014-01-20 (Released:2016-09-27)
参考文献数
15

発熱疾患の鑑別には末梢血検査が行われ,細菌感染においてその診断および治療効果の判定に有用な手段となっているが,ウイルス感染においてはその検討は少なく,明確な見解はない.このたび,2004/05 年度から2009/10 年度に至る発熱疾患に対するルーチンの末梢血検査(白血球数とその分画およびCRP)の蓄積を後ろ向きに検討した結果,季節性インフルエンザA 型(H3N2 及びH1N1 を含む,以下季節性A 型)614 例と2009/10 年のパンデミックインフルエンザ(H1N1)2009(以下,A/H1N1/pdm09)548 例の述べ1,162 例からインフルエンザの特徴的な所見が示され両者の違いも明らかとなった. 検討に当たっては,白血球とその分画は年齢により異なるため,全症例を一般化加法モデル(GAM,generalized additive model)を用いて年齢調整を行い,解析を実施した.インフルエンザの感染初期には顆粒球の増加,リンパ球の減少が確認され,その後顆粒球は減少,リンパ球は増加に転じることが観察された.顆粒球数では,季節性A 型に対してA/H1N1/pdm09 は,治療開始前は0.93 倍,治療後は0.82 倍とそれぞれで統計的に有意に低く推移していた.リンパ球数の比率は,治療開始前,治療後のいずれも,1.12~1.30 倍であり,統計的に有意に高い推移であった.CRP は発症後24 時間から36 時間にピークを迎え,その平均値はA/H1N1/pdm09 で0.88mg/dL,季節性A 型で1.53mg/dL であった. 末梢血は疾病の時間的経過,合併症の併発,治療による修飾,治療薬の副次作用等によって変動する.このようなインフルエンザ本来の末梢血の白血球分画の変化・動態を知ることは,診断時(特に迅速診断の要否の判断),経過中の合併症や副作用の出現を把握するために重要と考え報告する.
著者
柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.811-816, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5

トリインフルエンザA(H5N1)の感染はアジアからヨーロッパまで拡がり,2007年1月には宮崎県にまで達している.このようなトリインフルエンザの拡がりは,ヒトからヒトへと感染するウイルスへと変化する機会が多くなると考えられる.現在のA(H5N1)のヒトに対する死亡率がパンデミックの際にも同様と考えるときわめて大きな被害となるものと考えられる.これに対しては,抗ウイルス薬の備蓄,パンデミックへの進展の阻止,ワクチン技術の開発など種々の対策が必要であろう.新型ウイルスが登場した場合は,1918年のスペインかぜの事例から学ぶことも多い.幸い,1918年のウイルスの感染実験もなされるようになり,その成績が待たれる.
著者
矢永 勝彦 西崎 隆 副島 雄二 吉住 朋晴 内山 秀昭 杉山 圭蔵 森本 修充 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.903-906, 1996-04-01

死体肝移植の施設特定を受けた本学での患者13人の登録と現況を呈示し, わが国における死体肝移植離陸への条件を述べる. 登録13人中5人が待機中に死亡, 3人が海外渡航し, 1人は飲酒再開にて登録抹消した. C 型肝硬変症の1人は27か月の待機の後, 多臓器不全への移行期に本学で血液型不適合移植を行うも, 術後73日目に死亡した. 肝細胞癌合併患者では待機中の quality of life が明らかに不良であった. 現在3人が待機中で, うち2人は counseling が精神面の管理に効果的であった. わが国の現状では死体肝移植の登録は患者に精神的余裕がある時期に行うのが良く, 肝細胞癌合併例では Stage l でコントロール可能な場合に限ると考えられる. また, 精神科医の治療への参加は極めて有用である. さらには病状の終末化, 癌進展, 飲酒再開などに備え, 登録抹消基準の明確化が重要である.
著者
池松 秀之 鍋島 篤子 鄭 湧 林 純 後藤 修郎 岡 徹也 原 寛 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.17-23, 2000-01-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
20
被引用文献数
4 5

高齢者において, 1996/97年インフルエンザ流行期における不活化インフルエンザワクチンの予防効果及び接種回数とワクチン効果との関連について検討した. 対象は60歳以上のワクチン未接種者104名, 接種者166名の計270名で, ワクチン接種者中, 前年度接種を受けた患者104名中56名は今回1回, 58名は今回2回接種を受けた. 前年度接種を受けていない52名は, 今回2回接種を受けた.流行後のHI抗体価の4倍以上の上昇よりインフルエンザ感染と診断された患者の率は, 未接種者ではA/H3N2が16.3%, Bが8.7%であった. ワクチン接種者のインフルエンザ感染率は, A/H3N2が3.0%, Bが0.6%であり, 未接種者に比し有意に低かった (p<0.001, p<0.01). ワクチン接種者中, 前年度ワクチン未接種者にはインフルエンザ感染者は見られなかった.前年度ワクチン接種をうけ, 今回1回接種者および今回2回接種者のインフルエンザ感染率は, A/H3N2がそれぞれ5.2%および3.0%で, Bが0%および1.8%であり, 前年度ワクチン接種者においても, インフルエンザ感染率は, 未接種者に比し低く, 1回接種と2回接種に, 有意の差は認められなかった.以上の成績より, 不活化インフルエンザワクチンは, 高齢者のインフルエンザ予防に有効と考えられた. 高齢者において, インフルエンザワクチンの毎年の接種が勧められ, 1回接種も, 感染予防に有効であると考えられた.
著者
江田 邦夫 大田黒 滋 松嶋 喬 品川 敦彦 池松 秀之 柏木 征三郎
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 : 日本伝染病学会機関誌 : the journal of the Japanese Association for Infectious Diseases (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.274-281, 2012-05-20
参考文献数
12
被引用文献数
3

長崎県壱岐市(人口約30,000 人の島)におけるA(H1N1)pdm09 の流行状況を調査した.流行は,2009 年8 月に始まり2010 年3 月に終ったが,流行が始まる以前より市医師会では対策委員会を立ち上げていた.流行開始後各医療機関ではインフルエンザと診断した患者について,その日のうちに保健所にFax で連絡した.保健所はその報告患者数を毎日集計し,流行状況により医師会は学校長及び教育委員会と協議し,学級・学年閉鎖,休園・休校を行った.本市での流行は,ピークが分散し2 峰性となったが,これらの措置が迅速かつ徹底して行われたためと考えられた. <BR> A(H1N1)pdm09 ウイルスの罹患者は2,024 例で全人口の6.6%であった.年齢群別の人口における罹患率は10~19 歳が最も高く849 例(26.8%),ついで0~9 歳の594 例(21.3%)で,19 歳以下が全罹患者の71.3%を占めた.60 歳以上の高齢者の罹患率はきわめて低かった.A(H1N1)pdm09 ウイルスの抗体保有状況をみるため,流行終息後の2010 年9 月21 日~11 月15 日までに一般住民358 例の採血を行い,A(H1N1)pdm 09 ウイルスのHI 価を測定した.HI 価≧1 : 40 は全体の57.3%で,7~49 歳までが約70%と高率であった.これらのHI 価≧1 : 40 の要因を検討したが,最も多いのはワクチン接種,次いでA(H1N1)pdm09 罹患で,不顕性感染は11.7%と低かった. <BR> 以上から,壱岐市でのA(H1N1)pdm09 の流行について, <BR> 1.罹患率は全人口の6.6%であった. <BR> 2.罹患者の71.3%は19 歳以下であり,高齢者の罹患率はきわめて低かった. <BR> 3.流行に対して学級・学年閉鎖,休園・休校が有効であり,2 峰性となった.
著者
小野 慶治 柏木 征三郎
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.189-193, 1990-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
20

免疫不全状態にある透析患者のB型肝炎ワクチンに対する不良な抗体産生が従来からの筋注法を皮内接種に変える事によって改善されるのか検討した。HBs抗原・抗体陰性の透析患者35名を三群に分け, 第I群 (14名) には組換えワクチン5μgを隔週に皮内接種し, 第II群 (13名) はワクチン2.5μgを隔週に5回, 続いて毎週皮内に接種した. 第III群の残り8例は10μgを4週毎に三角筋に5回注射し, 続いて5μgを隔週に皮内注射した. これらのワクチンは抗体陽転化まで与えた.第III群での筋肉注射後の抗体産生はきわめて悪く, 16週目でわずか37.5%の抗体陽性率しか得られなかった. しかし, 皮内接種へ変更後抗体陽転率は著しく高くなった. 一方ワクチン5μgが皮内接種された第I群の成績は良く, 更に第II群でも2.5μgの投与間隔を半分に短縮することにより良好な抗体産生が得られた. つまり. 少量のワクチンを皮内に接種する事により対象の透析患者全例で26週 (6か月) 以内に抗体陽転が認められた. これは透析患者に対するB型肝炎ワクチン接種後100%の抗体産生を得た世界最初の報告である.しかし, 最高抗体値は全般に低く予防効果を示す10mIU/mlよりは高いものの, ワクチン接種中止後抗体価の低下してくる例もあり, 今後, 経時的に抗体価を測定しワクチンを再接種する配慮も必要である.
著者
志村 秀彦 柏木 征三郎
出版者
大道学館出版部
雑誌
臨牀と研究 (ISSN:00214965)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.p1846-1854, 1990-06
著者
池松 秀之 鍋島 篤子 角田 恭治 山路 浩三郎 林 純 後藤 修郎 岡 徹也 白井 洸 山家 滋 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.1051-1058, 1997-10-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
18
被引用文献数
1

高齢者におけるインフルエンザワクチン接種時の, 前年度のワクチン接種の影響について検討した.福岡市内のH病院の65歳以上の入院患者163名に, 1993年12月にインフルエンザワクチン接種を行った. 163名中57名は, 1992年ワクチン未接種者 (未接種群) であった.106名は1992年ワクチン接種者で, 52名はCold-adapted vaccine接種者 (生ワク群), 54名は不活化ワクチン接種者 (不活化群) で, あった. 1993年ワクチン接種前後で, ワクチン株であるA/Yamagata (H1N1), A/Kitakyusyu (H3N2), B/Bangkok (B) に対する血清HI抗体価を測定した.1993年度ワクチン接種前の, H1N1, H3N2, Bに対するHI抗体価は, 前年度不活化群が, 生ワク群, 未接種群に比し高値であり, 前年度のワクチン接種のHI抗体価に対する残存は, 不活化群に顕著であった. 1993年度ワクチン接種後のHI抗体価は不活化群, 生ワク群が, 未接種群に比し高値であった. 1993年度接種前のHI抗体価は, 生ワク群では, 不活化群に比し低かったが, 接種後はそれと同等であり, インフルエンザ生ワクチンの細胞生免疫などに対する効果が示唆された. 不活化ワクチン接種後のHI抗体価が, 27以上の割合は, 不活化群, 生ワク群では, 未接種群に比し高率であった. 以上の成績より, 前年度インフルエンザワクチン接種は, 不活化ワクチン接種によるHI抗体価の上昇を抑制せず, むしろ促進することが期待され, 高齢者に対する継続的なインフルエンザワクチン接種の有用性が示唆された.
著者
小野 慶治 柏木 征三郎
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.189-193, 1990

免疫不全状態にある透析患者のB型肝炎ワクチンに対する不良な抗体産生が従来からの筋注法を皮内接種に変える事によって改善されるのか検討した。<br>HBs抗原・抗体陰性の透析患者35名を三群に分け, 第I群 (14名) には組換えワクチン5μgを隔週に皮内接種し, 第II群 (13名) はワクチン2.5μgを隔週に5回, 続いて毎週皮内に接種した. 第III群の残り8例は10μgを4週毎に三角筋に5回注射し, 続いて5μgを隔週に皮内注射した. これらのワクチンは抗体陽転化まで与えた.<br>第III群での筋肉注射後の抗体産生はきわめて悪く, 16週目でわずか37.5%の抗体陽性率しか得られなかった. しかし, 皮内接種へ変更後抗体陽転率は著しく高くなった. 一方ワクチン5μgが皮内接種された第I群の成績は良く, 更に第II群でも2.5μgの投与間隔を半分に短縮することにより良好な抗体産生が得られた. つまり. 少量のワクチンを皮内に接種する事により対象の透析患者全例で26週 (6か月) 以内に抗体陽転が認められた. これは透析患者に対するB型肝炎ワクチン接種後100%の抗体産生を得た世界最初の報告である.<br>しかし, 最高抗体値は全般に低く予防効果を示す10mIU/m<i>l</i>よりは高いものの, ワクチン接種中止後抗体価の低下してくる例もあり, 今後, 経時的に抗体価を測定しワクチンを再接種する配慮も必要である.
著者
柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.811-816, 2007

トリインフルエンザA(H5N1)の感染はアジアからヨーロッパまで拡がり,2007年1月には宮崎県にまで達している.このようなトリインフルエンザの拡がりは,ヒトからヒトへと感染するウイルスへと変化する機会が多くなると考えられる.現在のA(H5N1)のヒトに対する死亡率がパンデミックの際にも同様と考えるときわめて大きな被害となるものと考えられる.これに対しては,抗ウイルス薬の備蓄,パンデミックへの進展の阻止,ワクチン技術の開発など種々の対策が必要であろう.新型ウイルスが登場した場合は,1918年のスペインかぜの事例から学ぶことも多い.幸い,1918年のウイルスの感染実験もなされるようになり,その成績が待たれる.<br>
著者
奥田 敬一 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.696-700, 1995

院内感染防止対策の一つとして, 現在市販されている抗菌繊維と抗菌壁剤のMethicillin resistant <I>Staphylococcus aureus</I>および緑膿菌に対する抗菌活性を調査した.<BR>抗菌活性は, 各試料上に35.0℃, 18時間培養後の菌の減少率で判定した.<BR>供試した緑膿菌50株の血清群はE群, G群, B群, I群, A群, MRSA50株のコアグラーゼ壁はVII型, II型, III型, IV型の順で, 全国の病院で多く検出された血清群, コアグラービ型に一致していた.<BR>4種の抗菌繊維のうち2種はMRSAに99%以上の減少率を示したが, 他の2種は少しも減少しなかった.また, 3種は緑膿菌を減少しなかったが, 1種のみ軽度の減少を示した.抗菌壁剤は両菌種に対して良好な減少率を示した.<BR>これらの結果から, 抗菌繊維を白衣, 手術着に用い, また, 抗菌壁剤の使用は病院環境の浄化に関与することが示唆された
著者
池松 秀之 鍋島 篤子 山路 浩三郎 角田 恭治 李 文 林 純 後藤 修郎 岡 徹也 白井 洸 山家 滋 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.905-911, 1998-09-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

高齢者における不活化インフルエンザワクチンの連続接種の際の, ワクチン接種回数とワクチン効果との関連について, 血清HI抗体価より検討した.60歳以上の長期入院患者146名 (男性28名, 女性118名, 平均年齢82.4歳) に不活化インフルエンザワクチンを接種した.69名は前年度インフルエンザワクチンの接種を受けており, 77名は前年度未接種者であった.2年連続ワクチン接種者中, 35名が今回1回のみ, 34名が今回2回, ワクチン接種を受けた.接種前, 1回接種後, 2回接種後, 流行後のInfluenza A/H1N1, A/H3N2, 及びBに対する血清HI抗体価を測定した.各インフルエンザウイルスに対するワクチン接種前のHI抗体価は, 2年連続接種者が前年度未接種者より有意に高かった.ワクチン接種後のHI抗体価は, 2年連続接種者で今回2回接種を受けた群が最も高かったが, 3群間に統計学的な有意差は検出されなかった.ワクチン接種後に, HI抗体価の4倍以上の上昇が見られる率は, 2年連続接種者で低かったが, これはワクチン接種前のHI抗体価が高いためと考えられた.ワクチン接種後のHI抗体価128倍以上の割合は, 2年連続接種者で今回2回接種を受けた群が他の群より高かったが, 3群間に統計学的な有意差は認められなかった.2年連続接種者では, 2回目接種により, HI抗体価が128倍未満から128倍以上に上昇した者は認められなかった.以上の成績より, 高齢者では, 不活化インフルエンザワクチンに対する抗体反応は, 前年度接種の有無に係らず良好で, 連続接種の際には, 接種回数1回でも2回接種と同等の予防効果が期待できると考えられた.
著者
池松 秀之 鍋島 篤子 角田 恭治 山路 浩三郎 林 純 後藤 修郎 岡 徹也 白井 洸 山家 滋 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.60-66, 1998-01-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
12
被引用文献数
4 4

高齢入院患者におけるインフルエンザ流行の影響とインフルエンザワクチンの予防効果について, 1995年インフルエンザ流行時について検討した.院内感染対策の一環として発熱患者の発生について継続調査を行っている対象病院において, 1994年と1995年の週間発熱患者発生数で, 1995年第3週と第8週の発熱件数が, 他の週に比し著しく上昇しており, インフルエンザ流行は発熱の原因として大きな因子であると考えられた.Aホンコン型, Aソ連型, B型のいずれか一つにでも罹患した患者は, 60歳以上のインフルエンザワクチン非接種者において, 48.7%と高率であった.インフルエンザウイルスに対する流行前のHI抗体価が, 32倍以下の入院患者には多数の罹患者が見られたが, 128倍以上の患者には, いずれの型のインフルエンザに関しても罹患者が見られなかった.発熱患者の発生頻度は, インフルエンザワクチン接種者86人では32.6%で, 非接種者123人における49.6%に比し表有意に低かった (p<0.05).9カ月間の調査で, インフルエンザワクチン接種者における死亡者は4例 (4.9%) で, 非接種者では12例 (9.8%) であった.以上の成績より, インフルエンザ流行は, 高齢者において重要な問題であり, インフルエンザワクチン接種は罹患予防に有効であると考えられた.インフルエンザワクチンには, 罹患予防効果と共に, 死亡予防効果も期待され, 高齢者には積極的に接種を行うべきであると思われた.
著者
河合 直樹 池松 秀之 柏木 征三郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経メディカル (ISSN:03851699)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.137-139, 2009-01

抗インフルエンザ薬として、1998年にアマンタジン塩酸塩(商品名シンメトレルなど)がA型に、2001年にノイラミニダーゼ阻害薬のリン酸オセルタミビル(タミフル)とザナミビル水和物(リレンザ)がA型またはB型に保険適用となり、インフルエンザ治療は一変した。その後、日本では抗インフルエンザ薬はオセルタミビル一辺倒という時期があったが、06/07年シーズン途中から異常行動との…