著者
岩見 恭子 小林 さやか 柴田 康行 山崎 剛史 尾崎 清明
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.63-69, 2015 (Released:2015-04-28)
参考文献数
19

福島第一原子力発電所の事故によって放出された放射性物質による鳥類の巣の汚染状況を把握するため,2011年に繁殖したツバメの巣を日本全国から採集し,巣材に含まれる放射性セシウム(Cs-134およびCs137)を測定した.全国21都道府県から集められた197巣のうち182巣について測定した結果,1都12県の巣から福島第一原子力発電所由来の放射性セシウムが検出された.福島県内のすべての巣から放射性セシウムが検出され,Cs-134とCs-137の合計の濃度が最も高いものでは90,000 Bq/kgで低いものでは33 Bq/kgであった.巣の放射性セシウム濃度は土壌中の放射性セシウム濃度が高い地域ほど高かったが,地域内で巣のセシウム濃度にはばらつきがみられた.
著者
堀口 敏宏 趙 顯書 白石 寛明 柴田 康行 森田 昌敏 清水 誠 陸 明 山崎 素直
出版者
日本海洋学会沿岸海洋研究部会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.7-13, 2000-02
被引用文献数
6

船底塗料などとして使用されてきた有機スズ化合物(トリブチルスズ(TBT)及びトリフェニルスズ(TPT))によって,ごく低濃度で特異的に誘導される腹足類のインポセックスのわが国における経年変化と現状の概略を種々の野外調査結果などに基づいて記述した.1990~1991年の汚染レベルに比べると近年の海水中の有機スズ濃度は低減したと見られるものの,イボニシの体内有機スズ濃度の低減率は海水中のそれよりも緩やかであり,またその低減率が海域により異なっていた.また環境中の有機スズ濃度の相対的な減少が観察されるものの,イボニシのインポセックス発症閾値をなお上回る水準であるため,インポセックス症状については全国的に見ても,また定点(神奈川県・油壺)観察による経年変化として見ても,十分な改善が認められなかった.この背景には,国際的には大型船舶を中心になお有機スズ含有塗料の使用が継続していることとともに,底泥からの再溶出の可能性及びイボニシの有機スズに対する感受性の高さなどが関連していると推察された.
著者
堀内 一穂 柴田 康行 米田 穣 大山 幹成 松崎 浩之 箕浦 幸治
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

年縞堆積物中のベリリウム10を分析し, 同一の堆積物から得られた既存の炭素14記録や, 本研究にて新たに分析されたアイスコアのベリリウム10記録と比較することで, 最終退氷期の太陽活動変動曲線を抽出することに成功した.その結果, 太陽活動は退氷期の古気候変動を支配するものではないが, 気候変動イベントのトリガーには成り得ることが分かった.また, 古木から単年分解能で効率的に炭素14 を分析する手法や, 年縞堆積物から単年分解能でベリリウム10を分析する手法が確立された
著者
西野 貴裕 上野 孝司 高橋 明宏 高澤 嘉一 柴田 康行 仲摩 翔太 北野 大
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.177-186, 2013 (Released:2014-06-20)
参考文献数
36
被引用文献数
2 1

13 kind of Perfluorinated compounds (PFCs) in the mainstream of Tamagawa River and its inflows (tributaries, and effluents from Sewage Treatment Plants) were analyzed, and the loads of PFOS, PFOA and other 4 compounds were evaluated. The concentrations of PFOS and PFOA were found to be much lower than those of 2005 since 2009. This result indicates that the Stockholm Convention on Persisitent Organic Pollutants (POPs) and 2010/2015 PFOA Stewardship Program are effective. The cumulative load of PFCs that was accumulated in the inflows sequentially from Nagata Bridge, as the uppermost point in this study, closely resembled the measured load at each sampling point in Tamagawa River. These results indicate that PFCs were scarcely degraded, volatilized, during flow down the river. The ratio of PFCs with longer chain length such as PFUnDA and PFTrDA in sediment samples were much higher than those of water ones.
著者
平野 敦之 伊藤 恵介 川井 祐輔 山本 俊勇 濱野 真吾 長谷川 千尋 水野 芳樹 柴田 康行 小川 久美子 中村 誠 城 卓志
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.1533-1540, 2010 (Released:2011-11-07)
参考文献数
33
被引用文献数
1

症例は57歳男性.上部消化管内視鏡検査にて頸部食道に異所性胃粘膜に連続する0-I+IIc病変を認めた.同部からの生検により腺癌と診断し,頸部胸部食道切除+遊離空腸移植術を施行した.切除標本の病理組織的検索にて異所性胃粘膜より発生した食道腺癌,深達度sm3と診断し,さらにMUC5AC,MUC6,MUC2,Cdx2の免疫染色により腸上皮化生を伴った異所性胃粘膜より発生した胃腸混合型の腺癌と診断した.
著者
内田 昌男 柴田 康行 大串 健一 阿波根 直一 干場 真弓
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2004年度日本地球化学会第51回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.96, 2004 (Released:2007-02-23)

過去10万年にわたるグリーンランド氷床コアの解析によると、最終氷期の間に起こった数百年程度規模の突然かつ急激な大気中メタン濃度の上昇が、海底下のメタンハイドレートの急激な分解によるものであるとの仮説がある。本研究では、過去に生じた大規模な気候変動とメタンハイドレート崩壊の関連性を明らかにするため、現在メタンハイドレートが存在していることが明らかになっている下北半島沖で採取された柱状堆積物コアについて解析を行った。本研究では、堆積物試料に保存されている有孔虫化石・様々なバイオマーカーについて分析を行った。その結果、海底下からのメタン放出によると示唆される浮遊性および底生有孔虫の炭素同位体比の異常値が見つかった。さらに同層準からは、メタン酸化細菌由来のバイオマーカーの炭素安定同位体比の異常も発見された。最大のメタンシグナルは、最終氷河期の25600年前の温暖期に相当することがわかった。
著者
松崎 浩之 笹 公和 堀内 一穂 横山 祐典 柴田 康行 村松 康行 本山 秀明 川村 堅二 瀬川 高弘 宮原 ひろ子 戸崎 裕貴
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

南極ドームふじアイスコア中の過去72万年にわたる宇宙線生成核種記録を加速器質量分析で分析した。特徴的な宇宙線イベント(ラシャンプ、ブレーク、アイスランドベイズン)を詳細に解析したところ、宇宙線生成核種(特にベリリウム10)の記録が、グn一バルなイベントの記録となっていることが証明された。これにより、古環境研究における、より信頼性の高い年代指標を確立する道が拓けた。
著者
武内 章記 柴田 康行 田中 敦
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 : journal of environmental chemistry (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-11, 2009-03-17
被引用文献数
1

Mercury (Hg) is a globally distributed and highly toxic pollutant in the environment. Its mobility and biomagnification in aquatic food chains depend on its biogeochemistry and redox cycling. Hg isotope analysis is an important new tool for identifying Hg source and tracking Hg transformations in the environment. This review summarizes the following 4 points to endorse the Hg isotope research; 1) definition of Hg delta (δ) values and Hg standards, 2) methods of Hg isotopic measurement, 3) Hg isotopic fractionation, and 4) natural Hg isotope variation.
著者
武内 章記 柴田 康行 田中 敦
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-11, 2009 (Released:2009-09-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

Mercury (Hg) is a globally distributed and highly toxic pollutant in the environment. Its mobility and biomagnification in aquatic food chains depend on its biogeochemistry and redox cycling. Hg isotope analysis is an important new tool for identifying Hg source and tracking Hg transformations in the environment. This review summarizes the following 4 points to endorse the Hg isotope research; 1) definition of Hg delta (δ) values and Hg standards, 2) methods of Hg isotopic measurement, 3) Hg isotopic fractionation, and 4) natural Hg isotope variation.