著者
須永 吉信 田中 哲治 黒沢 元博 根本 俊和 笛木 隆三 小林 節雄
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.655-659, 1985-06-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

アスピリン喘息 (AIA) では, アスピリンなど多くの非ステ言イド性解熱鎮痛剤により呼吸困難発作が惹起される. このためAIAの発熱, 疼痛時にいかなる薬剤を投与すべきか問題となっている. 著者らは, 古来より解熱鎮痛剤として用いられている地竜 (ミミズ, Lumbricus spencer) がAIAにいかなる影響を与えるかを検討し, 以下の成績が得られた. 1) AIAに地竜エキス500mgを投与し自他覚症状とFEV1, FVCを観察したが, 喘息症状に変化は認められなかった. 2) AIAに地竜エキスを1日1,500mg連続3日間または7日間投与し喘息症状とPEFRを観察したが, 投与前後にほとんど変化は認められなかった. 3) AIA発熱時に地竜エキス500mgを投与したところ喘息症状の悪化なく解熱効果が認められた. 以上の結果より, 地竜はAIAに対し安全に使用できる解熱剤であると考えられた.
著者
根本 俊和 青木 秀夫 池 愛子 小林 節雄
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.22, no.10, pp.635-639,659, 1973
被引用文献数
5

本邦においてはゴキブリを起因抗原とする気管支喘息はまだ報告されていない.ゴキブリ(クロゴキブリ)の虫体成分から作製された抽出液を用い, 39例の喘息例に皮内反応を行ったところ, 4例(10%)のものが即時型陽性であった.皮内反応陽性のもの3例に吸入誘発試験を行ったところ, 1例のものにゴキブリ抽出液(16PNU 1ml)の吸入呼吸困難と乾性ラ音が出現した.症例:36才, 主婦症例は1961年以来呼吸困難発作を起こし, 最近ゴキブリの臭いをかぐと息苦しくなるのに気づいている.26種類の抗原抽出液で皮内反応を行ったところ, 室内塵, ゴキブリ, ブロンカスマベルナの3抽出液に陽性であった.Prausniz-Kustner反応を室内塵とゴキブリについて行い, 両者とも陽性であったが, 熱処理血清で陰性であった.中和試験を行い, ゴキブリと室内塵とは互いに交叉しないことが証明された.ゴキブリ抽出液の吸入により, FEV_<1.0>は1620mlから1160mlと28%の減少をきたした.

1 0 0 0 OA 気管支喘息 II