著者
高橋 英海 桑原 尚子 近藤 洋平 辻上 奈美江 菊地 達也 三代川 寛子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、中東・北アフリカのイスラーム地域における少数派・弱者を取り上げ、その過去と現状について3年の期間をかけて調査を行った。具体的には、少数派・弱者を(1)「イスラーム圏における少数派としてのキリスト教およびその他の宗教」、(2)「イスラーム圏における伝統的弱者としての女性」、(3)「イスラーム世界における異端」という3つの研究課題に分け、それぞれの課題について調査を行い、思想史的および社会学的手法を用いて考察した。
著者
桑原尚子
雑誌
情報教育シンポジウム2000論文集
巻号頁・発行日
vol.2000, no.9, pp.63-70, 2000-07-29

2003年から文部省の指導要綱に基づき、高校で「情報」が必修科目となる。この後、大学の「一般情報教育」はどのような目的、内容を持つべきかについて考える。現在まで学校教育での情報教育はコンピュータ・ネットワークの原理、活用等工学基礎教育としての情報教育の色彩が強い反面、情報の持つ意味、情報倫理などについての重妥性の把握が弱く、また、その教育は整合性をもって提示できていないと感じられる。この背景の第一としては、情報教育の目的の設定があいまいたったこと、第二は情報概念の把握が弱く、また暗黙のうちに情報工学の情報概念を前提にしていることが上げられる。私は大学一般情報教育の目的は「情報社会のありかたを決定してゆく力(情報化について判断、評価、制御する力)」の養成とすべきと考える。この目的を達成する内容は、第一にコンピュータ・ネットワークという物理的実体から情報概念を切り離し、広く世界に存在する情報系の扱う意味を前提にした情報概念を基礎とし、これに立脚する視点を確立すること、第二にこの基盤の上に、現在の技術とそれから派生する問題点について個人として判断力を持ち、その上で社会的コンセンサスの形成を行うこと、となる。
著者
桑原 尚子
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

1.学会発表(Asian Law Institute, Inaugural Conference,2004年5月27、28日於シンガポール国立大学)報告タイトル:Is Legal Tradition Sacred to Be Immutable? : Conversion to Islam under Malaysian Family Law from the Viewpoint of Civil Courtマレーシアでは、コモン・ロー、イスラーム法、マレー・アダット及び先住民の慣習法が裁判規範として認められ、このような法制度は「多元的法体制」(M.B.フーカー)と称されている。主として、家族法の領域において、宗教及び民族ごとに異なる法が適用される結果、人際法の問題が生じることとなる。本報告では、非ムスリム婚の当事者の一方のイスラームへの改宗を原因とする離婚に焦点をあてて、マレーシアの法だけでなく政治においても、特別な意義をもつイスラーム法伝統の不変性/可変性について、通常裁判所の判例分析に基づいて、しばしば真正性が法、政治において強調されるイスラーム法が、多民族の共存の文脈では、不変性を必ずしも維持しえないことを明らかにした。2.「マレーシア法」、北村一郎編『アクセスガイド外国法』(東京大学出版会、2004年)所収マレーシアでの留学経験及び調査に基づいて、マレーシア法の基本的な調べ方についての解説を行った。3.「マレーシア・イスラーム離婚法の改革の法理とジェンダー」(博士論文、名古屋大学大学院国際開発研究科提出)これまでの研究及び調査に基づいて執筆した。イスラームでは「男女は神の前では平等であるが、男女間の役割は異なる」と言われ、イスラーム家族法では、ジェンダーの役割分担に基づく権利義務が付与されている。本論文では、マレーシアで適用されているイスラーム離婚法が、このようなジェンダー役割に基づいていることを前提として、過去40年間の法変動について分析し、そこにみられる改革の法理を明らかにすることを試みた。