著者
大竹 文雄 黒川 博文 森 知晴
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.81-85, 2015 (Released:2016-05-07)
参考文献数
5

本研究では所得税と消費税の等価性を検証する実験を行った.ある所得分布と所得に応じた消費パターンを前提として,所得税(20%)と消費税(25%, 24%, 22%, 20%)のそれぞれどちらが好みかを被験者に選択させた.消費税(25%)は所得税(20%)と税負担が同等である.消費税(24%, 22%)は所得税(20%)よりも見た目の税率は高いが税負担は低い.消費税(20%)は所得税(20%)と見た目税率は同じだが,税負担は低い.被験者は見た目の税率が消費税の方が高いときは所得税を好み,見た目の税率が同じときは消費税を好んだ.消費税の方が税負担は低いにもかかわらず,被験者が所得税を好んだという結果は,消費税誤計算バイアスの存在を示唆する.消費税誤計算バイアスとは,外税表記の消費税を所得税と同様に内税かのように考えて消費税額を計算してしまうバイアスである.等価な消費税と所得税では所得税の方が被験者に好まれることから,消費税誤計算バイアスにより,等価性が成り立たないことが明らかとなった.
著者
小川 一仁 川村 哲也 小山 友介 本西 泰三 森 知晴
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.47-52, 2019 (Released:2019-07-22)
参考文献数
12

スマートフォンの普及によって、児童や生徒がオンラインゲームでのさまざまな課金サービスに容易にアクセスできるようになった。本稿では近畿地方の小中高校生がオンラインゲームにおいてどの程度課金をしているかに関するアンケート調査の結果概要を報告する。かれらの課金経験率は約24%で、大学生を対象にした盛本(2018)と同程度である一方、社会人を対象にした新井(2013)よりは低かった。また、小中生では男子生徒の方が課金経験率が高い傾向にあった。
著者
小川 一仁 川村 哲也 小山 友介 本西 泰三 森 知晴
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.47-52, 2019

<p>スマートフォンの普及によって、児童や生徒がオンラインゲームでのさまざまな課金サービスに容易にアクセスできるようになった。本稿では近畿地方の小中高校生がオンラインゲームにおいてどの程度課金をしているかに関するアンケート調査の結果概要を報告する。かれらの課金経験率は約24%で、大学生を対象にした盛本(2018)と同程度である一方、社会人を対象にした新井(2013)よりは低かった。また、小中生では男子生徒の方が課金経験率が高い傾向にあった。</p>
著者
大竹 文雄 黒川 博文 森 知晴
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学
巻号頁・発行日
vol.8, pp.81-85, 2015

本研究では所得税と消費税の等価性を検証する実験を行った.ある所得分布と所得に応じた消費パターンを前提として,所得税(20%)と消費税(25%, 24%, 22%, 20%)のそれぞれどちらが好みかを被験者に選択させた.消費税(25%)は所得税(20%)と税負担が同等である.消費税(24%, 22%)は所得税(20%)よりも見た目の税率は高いが税負担は低い.消費税(20%)は所得税(20%)と見た目税率は同じだが,税負担は低い.被験者は見た目の税率が消費税の方が高いときは所得税を好み,見た目の税率が同じときは消費税を好んだ.消費税の方が税負担は低いにもかかわらず,被験者が所得税を好んだという結果は,消費税誤計算バイアスの存在を示唆する.消費税誤計算バイアスとは,外税表記の消費税を所得税と同様に内税かのように考えて消費税額を計算してしまうバイアスである.等価な消費税と所得税では所得税の方が被験者に好まれることから,消費税誤計算バイアスにより,等価性が成り立たないことが明らかとなった.
著者
森 知晴
出版者
財務省財務総合政策研究所
雑誌
フィナンシャル・レビュー (ISSN:09125892)
巻号頁・発行日
vol.151, pp.83-106, 2023 (Released:2023-04-21)
参考文献数
97

本論文では,課税と給付の経済分析において,行動経済学の知見を用いた研究のサーベイをおこない,日本の課税・給付政策を行動経済学の観点から議論する。行動経済学とは,主体が「標準的な仮定」とは異なる仮定で動いているモデルを想定した研究の総称であり,近年では課税・給付の理論分析・実証研究においても研究が急増している。具体的には,税に関する不注意,課税・給付の複雑性がもたらす影響,退職貯蓄と年金の制度設計,納税促進,労働・教育・医療における給付の影響などが研究されている。また,理論的には最適課税との関係が研究されている。行動経済学的な知見は日本における課税・給付にかかる制度・政策を検証する新たな視点を提供し,より現実的な人間像を踏まえた制度設計を提案することができる。