著者
植田 喜久子
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.161-172, 1999-03-01

阪神・淡路大震災後における視覚障害者の移動・情報入手の実態について視覚障害者10名に半構成的面接調査法を行い明らかにした。大震災により環境は変化し,視覚障害者は環境を把握するてがかりを失い単独での移動が不可能になり,移動時間の延長や移動範囲が狭くなっていた。また,震災後の情報の伝達方法は健常者中心であり,視覚障害者は点字,ラジオ,家族や知人の説明により情報入手していた。災害時に視覚障害者自身が自助努力のみで移動したり生活に必要な情報が入手できないため,誰もが視覚障害者の不自由について理解し対応する重要性がある。誰もが災害時に人間がどのような体験をするのかを理解し,いかなる状況においてもより豊かに生きることができるように生活のあり方について学習する必要がある。学習課題の緊急性を考慮すると災害に関する学習は,生涯学習の現代的課題である。
著者
越道 香織 岡田 淳子 植田 喜久子
出版者
一般社団法人 日本救急看護学会
雑誌
日本救急看護学会雑誌 (ISSN:13480928)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.33-41, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
33

心停止の発生場所は一般病棟が多く、急変の第一発見者は看護師である。そのため一般病棟の看護師の急変予測が可能になれば、多くの患者の生命を救うことになる。本研究は、一般病棟に勤務する看護師の急変予測の実態を明らかにし、急変予測の経験と関連する個人特性の検討を目的とした。一般病棟に勤務する看護師237名に質問紙調査を実施し、分析は記述統計とχ2検定、フィッシャーの直接確率検定を用いた。一般病棟の看護師は、意識レベルや血圧等を変化に気づく情報として入手していたが、呼吸数や検査データを入手する割合は少なかった。情報の入手方法は、モニターの数値や本人の訴えなど包括的に使用していた。しかし、観察を情報の入手方法として使用する割合は6割に満たなかった。生命危機につながるかの判断は、目の前で起きている患者の変化とこれまでの患者の様子を比較して正常か異常かを考えるなどを実施していた。急変予測の経験は、二次救命処置研修受講、急変対応の経験、急変に気づいた経験と関連があった。一般病棟の看護師が急変予測をより可能にするためには、呼吸数入手の重要性を認識し、急変に伴う検査データを解釈できるようになり、急変の前兆を見逃さない観察方法の習得が求められる。また、自身が経験した症例を振り返ることも重要である。そして、さまざまな研修を受講できる環境を整備し、急変予測の実施につながる支援を組織的に行う必要がある。
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。
著者
中信 利恵子 川西 美佐 植田 喜久子 廣川 恵子
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

ヒロシマ原爆被爆時の看護体験が、その後の人生にどのような影響を与えたのかを明らかにすることを目的とし、当時看護を行った赤十字看護婦及び看護婦生徒にライフヒストリー法による面接調査を行った。看護婦養成所での授業は中断し、悲惨な状態の人々に無我夢中で看護した。被爆後、結婚、出産、配偶者との死別、定年まで看護職として勤務するなど女性としてのライフコースを歩んだ。被爆後に病気や辛い出来事に直面した時、被爆時の看護体験を礎にして乗り越えた。生かされた自分自身は人の役に立って生きることだと意味づけていた。
著者
植田 喜久子 滝口 成美 宮武 広美 吉野 純子 飯村 富子 野村 美香 近藤 真紀 中信 利恵子 藤田 佳子 永井 真由美 五嶋 育子 成田 伸 ウエダ キクコ タキグチ ナルミ ミヤタケ ヒロミ ヨシノ ジュンコ イイムラ トミコ ノムラ ミカ コンドウ マキ ナカノブ リエコ フジタ ヨシコ ナガイ マユミ ゴトウ イクコ ナリタ シン
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.55-63, 2002

本研究の目的は、日本人の壮年期にある女性の健康的なライフスタイルを査定する質問紙を開発し、その信頼性と妥当性を検討することである。 最初に4段階のリッカートスケールをもつ47項目からなる質問紙を開発した。質問紙は、ブレスローやペンダーの理論や日本人の壮年期にある女性に関する研究を基礎として作成した。予備調査の後、2001年5月から6月に本調査を行い、572名の女性から回答を得た。信頼性や妥当性をクロンバックのα係数、主成分分析、ライフスタイル総得点の分布、ライフスタイル得点と森本のHPI得点との相関係数により検討した。その結果、クロンバックのα係数は、0.88であり、7つの下位尺度と29項目が得られた。これらの下位尺度と因子分析前の下位尺度には、「食事」、「運動・休養」、「健康への関心」では一致がみられ、構成概念妥当性はある程度確保されていると考えられた。このライフスタイル指標は、ある程度の信頼性や妥当性を得ており、日本人の壮年期女性のライフスタイル指標として、心理的、社会的な側面や価値観を考慮した尺度であると考えた。今後の課題として、日本人の壮年期女性の体験をふまえながら、洗練したライフスタイル指標を作成していく必要がある。