著者
中谷内 一也 長谷 和久 横山 広美
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.17215, (Released:2018-03-10)
参考文献数
53
被引用文献数
4

This study examined whether people’s level of basic scientific knowledge is associated with their anxiety levels pertaining to a wide range of hazards. We conducted a nationwide survey and collected data from a highly representative sample (N = 1,073). Participants rated their anxiety level regarding 51 hazards as well as their level of trust in organizations regarding the management of each hazard. Additionally, they answered 11 basic scientific knowledge questions. The results of a hierarchical multiple regression analysis indicated that the level of people’s basic scientific knowledge was associated with the level of anxiety they felt about hazards, even after controlling for the effects of sex and trust level. However, the results also suggested that the explanatory power of knowledge was low. The interpretation of these results is discussed with a focus on the deficit model of science communication.
著者
一方井 祐子 中村 史一 麻生 尚文 神谷 隆之 近藤 菜穂 久保田 好美 徳田 周子 豊田 丈典 古川 遼 宮田 舞 渡邉 俊一 横山 広美
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.83-93, 2012-06

This study focuses on the difference of public interest and expectation for eight scientific fields. The investigated fields included astronomy, planetary science, particle physics, mathematics, solid state physics, paleontology, seismology, and molecular biology. For analyzing the interest and expectation for the eight science fields, a survey was administered to 780 people over 20 years old. Expectation was rated high in the fields in which research contents are easy to understand and the research findings are believed to be linked to daily life. On the other hand, fields considered to be abstract and not related with daily life were rated lower in public interest and expectation. On the basis of these findings, we will discuss the future of science communication in these fields.
著者
蔦谷 匠 安藤 康伸 飯田 有希 井上 志保里 貴舩 永津子 小寺 千絵 近藤 菜穂 猿谷 友孝 豊田 丈典 中村 史一 宮武 広直 渡邉 俊一 横山 広美
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.23-34, 2011-06

Studies for iPS (induced Pluripotent Stem) cells are so important field for both basic science and regenerative medicine that they have attracted a great deal of attention and expectation from scientists, media and public. We revealed that unlike scientists, media and public had not paid attention to mouse iPS cell, the first achievement of the research, however, they were enthusiastic about human iPS cell. Our results suggest that the area of interest about iPS cells differed among scientists, media and public.
著者
中谷内 一也 長谷 和久 横山 広美
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.171-178, 2018 (Released:2018-06-25)
参考文献数
53
被引用文献数
4

This study examined whether people’s level of basic scientific knowledge is associated with their anxiety levels pertaining to a wide range of hazards. We conducted a nationwide survey and collected data from a highly representative sample (N = 1,073). Participants rated their anxiety level regarding 51 hazards as well as their level of trust in organizations regarding the management of each hazard. Additionally, they answered 11 basic scientific knowledge questions. The results of a hierarchical multiple regression analysis indicated that the level of people’s basic scientific knowledge was associated with the level of anxiety they felt about hazards, even after controlling for the effects of sex and trust level. However, the results also suggested that the explanatory power of knowledge was low. The interpretation of these results is discussed with a focus on the deficit model of science communication.
著者
井上 敦 一方井 祐子 南崎 梓 加納 圭 マッカイ ユアン 横山 広美
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.64-78, 2021-05-20 (Released:2022-05-21)
参考文献数
71
被引用文献数
1

本稿では,ジェンダーステレオタイプと理系への進路希望との関係を調べ,ジェンダーステレオタイプが理系選択の障壁になっているのかを考察した.2012 年に実施された「高校生と母親調査」のデータを用いて分析したところ,「男は外で働き,女は家庭を守るべきである」という性別役割分業に関するジェンダーステレオタイプを肯定した女子生徒に比べて,肯定も否定もしなかった女子生徒および否定した女子生徒は,理系を希望する確率が高く,統計的に意味のある差が確認された.一方で,「男性の方が数学や専門的な技術を使う能力が高い」という能力に関するジェンダーステレオタイプは,男女ともに,理系への進路希望とは統計的に意味のある関係は確認されなかった.また,理系科目の成績,親の学歴や世帯年収といった家庭環境も,理系への進路希望と統計的に意味のある関係を持っていることが確認された.性別役割分業をはじめとする社会全体に未だ根強い男女不平等観を解消することは,女子生徒の理系分野への進路選択の障壁を取り除くことにも大きく貢献するものと考えられる.
著者
一方井 祐子 横山 広美
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.57-70, 2016-07

2011年3月11日に発生した東日本大震災および福島第一原発事故(以後、震災と略す)以降、科学コミュニケーター自身がどのように考え行動したのか、彼らの肉声を集め調査したものはない。筆者らはウェブ調査から震災以降に活動に限界を感じた職業的科学コミュニケーターが5割にのぼること、さらに科学コミュニケーターの活動が限定的であることへの批判に対し、約8割の職業的科学コミュニケーターが妥当である、または比較的妥当であると考えていることを明らかにし、さ らに、「スキル・専門性・感情」の3つの壁があることを見出した。ワークショップではこれらのデータをもとに、普段、使っているスキルをもって貢献活動にあたることが有効であることが議論された。本研究ではこれらに加え、科学コミュニケーターが適切なデータや見解を示す科学者集団と共にグループを組んで活動することで、これらの壁を乗り越えられる可能性があることを提案する。
著者
一方井 祐子 井上 敦 南崎 梓 加納 圭 マッカイ ユアン 横山 広美
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.79-95, 2021-05-20 (Released:2022-05-21)
参考文献数
27
被引用文献数
1

世界的に見てSTEM分野を学ぶ女性の割合は低いが,その原因についてはよく分かっていない.本研究では,STEM分野に必要とされる7つの能力のジェンダーイメージの有無,およびこれらの能力がSTEMの6分野でどの程度求められるイメージがあるかを調べた.日本とイギリスでオンライン調査を実施した結果,日本とイギリスともに,「論理的思考力」と「計算能力」で男性的イメージが強く,「社会のニーズをとらえる能力」で女性イメージが強かった.分野別の能力については,日本とイギリスともに,物理学と数学で「計算能力」のイメージが強く,生物学では「豊富な知識量」のイメージが強かった.これらの結果は,各分野に特徴的な能力のイメージが国の違いを越えて見られる強固なイメージであることを示すものである.
著者
秋本 祐希 横山 広美
出版者
北海道大学高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.47-57, 2015-12

素粒子は顕微鏡等を用いても目にすることができず,波と粒子の両方の性質を持つという性質上,イメージすることが難しい.素粒子を扱う素粒子物理学は,それゆえ直感的にわかりにくい分野である.そこで我々は,素粒子物理学を直感的にわかりやすく説明し,また同時に関心を持ってもらうため,わかりやすいコミュニケーションのツールとして,イラストとマンガに着目した. 本稿では,最初に「わかる」という概念を整理し,その上でイラストが,想像することが困難な事柄を「想像できるものに例えて」その概念を大枠で説明することに役立つことを主張する.例えばイラストでは,素粒子を目に見える特徴を持ったキャラクターにすることで,これが可能になった.さらにマンガでは,素粒子や素粒子実験をキャラクターとして用い,素粒子物理学のエッセンスを組み込んだストーリーにすることで,文章だけでは興味を持ちづらい事項を,親しみやすく提示することができた.また特徴的な活動のひとつは,科学技術に関する審議会の議事録をイラストで説明したことだ. こうした取り組みは,これまで単に「わかる」ためのみに用いられていたイラストを,双方向のコミュニケーションの土台として活用できる.
著者
一方井 祐子 マッカイ ユアン 横山 広美
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.55-67, 2018-12

近年,インターネットで不特定多数の公衆から資金支援を募るクラウドファンディングが注目され,研究者も研究資金の獲得にクラウドファンディングを利用するようになった.予算の多元化が推奨される中,クラウドファンディングが新たな科学技術のパトロネッジ(第4のファンディング)として利用されていく可能性は高い.科学コミュニティにおけるクラウドファンディングを議論する上では,参加者の動機づけや問題意識の整理が欠かせない.しかし,これまで,研究者がどのような意識でクラウドファンディングに参加してきたかを調べた調査は少なかった.そこで本稿では,学術系クラウドファンディングに参加した日本の研究者を対象に意識調査を行った.その結果,研究者の主な参加動機は,第一に研究資金の獲得であり,ファンディングの側面が強かった.また,自身の研究のアピール,研究の面白さを伝えることが重視されていた.学術系クラウドファンディングには双方向コミュニケーションを促進させる場がいくつかあるが,現状としては,学術系クラウドファンディングは主に一方向的な情報伝達のコミュニケーションツールとして活用されている.
著者
大木 聖子 中谷内 一也 横山 広美 纐纈 一起 泊 次郎 桒原 央治
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

社会が災害科学に期待することは自然災害の防止や軽減であり,それには災害を予測する必要があるが,予測が困難な場合が多いため,災害科学の社会貢献は不定性が高くなる.それを念頭に置かずに「踏み越え」が行われると科学者が刑事責任まで問われることがあり,イタリアのラクイラ地震裁判はその最近の例である.我々は,資料収集や聞き取り調査,判決理由書の分析等を行い,そこでの災害科学の不定性と科学者の責任を検討した.その結果,裁判の対象となったラクイラ地震の人的被害は,災害科学の不定性を踏まえない市民保護庁副長官の安易な「安全宣言」が主な原因という結論を得た.また,これのみを報じた報道機関にも重大な責任がある.
著者
平田 光司 出口 正之 関本 美知子 柴崎 文一 安倍 尚紀 高岩 義信 伊藤 憲二 湯川 哲之 横山 広美 高岩 義信 湯川 哲之 伊藤 憲二 柴崎 文一 安倍 尚紀 瀧川 裕貴 横山 広美 加藤 直子
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

個人情報や第三者に関する情報も含むオーラルヒストリー記録を多数収集し、共有資産として研究者に提供するシステムについて検討し、方法を確立した。実際に高エネルギー加速器研究機構における巨大科学プロジェクト関係者に対してインタビューを実施し、記録をアーカイブし、公開した。
著者
中島 悠 江崎 和音 菊池 結貴子 宮武 広直 安藤 康伸 生出 秀行 横山 広美 音野 瑛俊
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.59-75, 2017-06

大学院生出張授業プロジェクト(BAP)は,2008年に発足した学生団体であり,「高校生に研究の 魅力を伝える」「出張授業を全国の大学院生の文化にする」という2つの理念を掲げて活動を行ってきた.出張授業の実施先はメンバーである大学院生の出身高校を想定しており,これは大学院生・ 高校生の双方にメリットの存在する形態である.これまでの出張授業件数は129件,延べの受講者 は6,600人を超え,全国各地の高校で出張授業を実施してきた.東京大学大学院の全学から多様な 専門分野のメンバーが集まり,長年蓄積されたノウハウや,他分野の講師に対して行う高校生目線 でのアドバイスにより,授業を受けた生徒からの高評価を実現している.本報告では大学院生への 支援方法やこれまでの実施実績,生徒から得られたアンケート結果からBAPという形態の特徴を 考察すると共に,活動の継続と共に出てきた運営上の問題についても議論する.

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著者
永原 裕子 佐藤 健太郎 五所 恵実子 川島 孝 横山 広美 邑田 仁
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.3-5, 2009-11

宇宙- 地球- 生命をつなぐGCOE "地球から地球たちへ"/理学部発の「うまみ」が,未来技術遺産に/「東大理学部で考える女子中高生の未来」が開催される/第24回理学系研究科・理学部技術シンポジウムを開催/きれい・楽しい!イメージ・コンテスト結果発表/第2回INAS-FID グローバル大会陸上競技に北村氏出場
著者
田坂 さつき 島薗 進 一ノ瀬 正樹 石井 哲也 香川 知晶 土井 健司 安藤 泰至 松原 洋子 柳原 良江 鈴木 晶子 横山 広美
出版者
立正大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、日本学術会議第24期連携会員哲学委員会「いのちと心を考える」分科会委員のうち9名が参画し、同分科会委員長田坂さつきを研究代表者とする。本研究には、政府が主催する会議などの委員を歴任した宗教学者島薗進、倫理学者香川知晶に加えて、医学・医療領域の提言のまとめ役でもあり、ゲノム編集による生物医学研究の黎明期から先導的に発言してきた石井哲也も参画している。医学・医療領域におけるゲノム編集に関する提言に対して、哲学・倫理の観点からゲノム編集の倫理規範の構築を目指す提言を作成し、ゲノム編集の法規制の根拠となる倫理的論拠を構築することを目指す。

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著者
山本 智 加藤 隆史 中村 栄一 横山 広美 五所 恵実子 岩澤 康裕 山形 俊男
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.3-6, 2008-03

第3回山川記念シンポジウム「山川健次郎と東京大学」開催さる/グローバルCOE「理工連携による化学イノベーション」第1回国際シンポジウム「博士たちの輝くキャリアデザイン」を開催/学生企画コンテスト,優秀賞と敢闘賞を受賞/ひらめき☆ときめきサイエンス附属植物園で開催/理学系研究科・理学部教職員と留学生・外国人研究者との懇親会/大越慎一教授の日本学士院学術奨励賞の受賞を祝して/"核力の起源" 解明がNature 誌の2007 年ハイライト研究に選ばれる/第7回理学系研究科諮問会が開催される

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著者
那須 信 半田 利弘 横山 広美 初田 哲男 茅根 創 早野 龍五 邑田 仁 小林 修 石川 裕
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.4-8, 2010-01

生命科学系GCOEのリトリート開催される/第16回東京大学理学部公開講演会,開催される/保護者がポイント!女子中高生への進学アピール/「私が理学を選んだ理由」ガイダンス・カフェ@駒場/平野哲文講師が第24回西宮湯川記念賞受賞/海洋調査探検部硫黄鳥島遠征隊が総長賞受賞/文化功労者として顕彰 物理学専攻 山崎敏光名誉教授/岩槻邦男名誉教授が瑞宝重光章を受章/中村栄一教授,紫綬褒章を受章/米澤明憲教授,紫綬褒章を受章