著者
橋本 幸士 富谷 昭夫 野尻 美保子 大槻 東巳 田中 章詞 樺島 祥介 福嶋 健二 今田 正俊 永井 佑紀
出版者
京都大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2022-06-16

従来、実験と理論の両輪により進展してきた物理学において、理論的な原理や数理の探索と技術の発展による実験の発展が、宇宙と物質の新しい姿を明らかにしてきた。この両方に寄与してきた計算科学では近年、機械学習という技術革新が社会的変革をもたらしている。そこで我々は「学習物理学」領域を創成し、機械学習やそれを含むデータ科学の手法、緩和数理やネットワーク科学等を物理学の理論的手法群と統合し、基礎物理学の根本課題である新法則の発見、新物質の開拓を行う。素粒子・物性・重力・計算物理学のそれぞれと機械学習の融合を、数理・統計・位相幾何の観点から統合的に遂行し、新領域「学習物理学」を勃興させる。

3 0 0 0 OA コトの物理学

著者
樺島 祥介 杉浦正康
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.1-33, 2008-10-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
樺島 祥介 岡田 真人 田中 和之 田中 利幸 石井 信 井上 純一
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

本研究では,特定領域研究「情報統計力学の深化と展開」を円滑に推進するために,本領域全体の研究方針の策定,研究項目間の調整,国際研究集会・公開シンポジウム・講習会の企画実施,研究成果の広報,研究成果に対する評価・助言を行った.主な実績としては,計4回の公開シンポジウムおよび計6回の国際会議の開催,4冊のプロシーディングスの発行が挙げられる.これらの活動の成果は計280件を超える領域内から発表された原著論文等に反映されている.
著者
小渕 智之 樺島 祥介
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.140-149, 2021-03-05 (Released:2021-03-05)
参考文献数
18

「史上初,ブラックホールの撮影に成功」というニュースを覚えておられる読者も多いだろう.この成功の裏には,観測数の足りない推定問題という不良設定問題をいかにして解くかという数理科学・情報科学における技術の進展があった.ポイントは「適切な表現のもとでデータはスパースに表現できる」と仮定することで,不良設定問題を現実的に解ける問題に置き換えることであった.このような方法論をスパースモデリング(SpM)とよぶ.もちろんこの仮定の良し悪しは別途検証されなければならない.ブラックホールの例では,人工擬似観測データや較正天体データを用いて,SpMによる方法がきちんとした性能を上げることが慎重に検証された.一方,個別問題における検証以外に,SpMによる方法論自体の限界を理論的に押さえておくことも重要である.すなわちデータの観測過程をモデル化,推定方式を定式化した上で,どういう条件なら真の信号が正しく復元できるかを理論的に問うのである.伝統的には統計学や情報理論で扱われる問題設定であるが,近年では統計力学を用いたアプローチも行われるようになってきている.情報統計力学とよばれる分野である.情報統計力学における近年の成果の1つとして,平均場近似を用いた汎用的な推定アルゴリズムの導出法と,その挙動を解析するためのマクロなダイナミクスの理論が整備されたことが挙げられる.このアルゴリズムは,Cavity法という平均場近似の一種を,確率伝搬法というベイズ推定における近似的アルゴリズムの観点から見直すことで導出される.このアルゴリズムの特徴は,計算量が非常に少ないこと,およびアルゴリズムを記述するパラメータ間の相関が熱力学極限で無視できるという点にある.後者のおかげで,系のマクロなダイナミクスが,それらパラメータの平均や二乗平均のみで記述できるという単純化が起こる.これにより,アルゴリズムによって到達可能な推定精度や収束までのスピードなどが議論できる.つまりアルゴリズムのある種の性能保証をすることが可能となる.面白いことに,このマクロなダイナミクスは系の大域的な平衡解析による結果と厳密に対応する.すなわち,このアルゴリズムによる推定精度限界(アルゴリズム限界)は,原理的に到達可能な限界(情報理論限界)と密接に関わっている,場合によっては厳密に一致する,ことが示される.この平均場アルゴリズムとマクロダイナミクス解析を,SpMの問題に応用することができる.推定方式としてベイズ推定やl1正則化付き線形回帰などが考えられるが,いずれの方式もこの方法論で系統的に解析することができる.特に興味深いのは,真の信号の復元に必要な観測数である.解析の結果,復元に必要な観測数はベイズ推定のほうが少なく済むこと,真の信号の非ゼロ要素の分布形状によってはベイズ推定のアルゴリズム限界が情報理論限界と一致することなど,SpMの理論性能を明らかにする上で有用な情報が明らかとなる.また,推定誤差は必要な観測数の前後でゼロから有限の値に立ち上がるが,これが物理的には相転移に対応し,l1線形回帰とベイズ推定では相転移の次数が異なることも同様に明らかとなる.
著者
樺島 祥介
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.70-78, 2010-06-05 (Released:2010-07-30)
参考文献数
29
被引用文献数
1

スパース性(多くの成分がゼロであること)によって特徴づけられる高次元の信号を少ない数の観測データから復元する枠組みは,しばしば,圧縮センシング(compressed (compressive) sensing)と呼ばれる.近年,信号処理の文脈で盛んに研究されているが,その数理の本質は“スパース性”という事前知識を利用したベイズ推論にある,と捉えることもできる.このことは圧縮センシングが同様にベイズの公式を用いて定式化できる通信理論,学習理論の諸問題とも浅からぬ関係があることを意味している.本稿では,最近著者らが行った統計力学の方法に基づいた圧縮センシングに関する性能評価の概要を紹介するとともに,そうした圧縮センシングの数理に関する“横のつながり”について述べる.
著者
樺島 祥介
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第1回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.166, 2005 (Released:2006-06-27)

ボルツマン,ギブス等によって完成された平衡統計力学はギブス_-_ボルツマン分布を仮定することにより,微視的なモデルから熱力学的関係式を再現する.この形式によるエントロピーは情報理論におけるエントロピーと本質的に同じである.ただし,平衡統計力学が扱う対象は熱力学と同様大自由度系であり,通常エントロピーを具体的に評価するのは困難である.本講演では,この困難を解決するために平衡統計力学が発展させてきた概念や計算技法について簡単に紹介する.
著者
樺島 祥介
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.95-103, 2007-06-05 (Released:2008-11-21)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2