著者
小林 高英 苦瀬 博仁 橋本 一明
出版者
日本物流学会
雑誌
日本物流学会誌 (ISSN:13493345)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.11, pp.121-128, 2003-05-15 (Released:2011-03-14)
参考文献数
28

人が都市で生活するためには、物資の供給が必要不可欠である。鉄道や自動車がなかった時代では、内陸部での大量の輸送物資を輸送するのに、河川による舟を利用していた。従来は、河川舟運そのものの発展と衰退や、河岸や川舟に関する研究は多いが、物流システムに着目したものは少ない。そこで本研究では、物流システムの視点から、江戸期の河川舟運の発展の背景と、輸送物資や河岸の立地の特徴を明らかにする。
著者
橋本 一径
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.154-159, 2015-10-15

「動物は病気にならない」 病気になるのは人間だけで、動物、とりわけ野生動物は、めったに病気になどならないし、なったとしても自然に治る。このように述べるのは、フランス革命期から19世紀初頭にかけて活躍した医師であり博物学者のジュリアン=ジョゼフ・ヴィレー(Julien-Joseph Virey, 1775-1846)である。「動物は(…中略…)野生状態では通常は病気にならないⅰ」。1801年に2巻本の大著として刊行され、1824年にさらなる増補版の出された主著『人類の自然史』においてこう記すヴィレーは、動物に比べて人間があまりにも多くの病気に脅かされていることを嘆く。「なんと多くの病を人間は持ち合わせていることか、自分では引き受けきれないほどにⅱ!」。動物が病気にならないというのなら、獣医の商売は上がったりのようにも思われるが、もちろんヴィレーとて、当時すでに大学で講じられる立派な学問として成立していた獣医学の存在を知らなかったわけではあるまい。獣医学がもっぱらその対象としてきた、豚や羊や馬などの家畜動物が病気になることは、ヴィレーも認めているからである。 ヴィレー曰く、彼らが病気になるのは、「自然の秩序から遠ざかってⅲ」しまったから、つまり人間に近づいてしまったからだ。それでも人間に比べれば彼らの病気など取るに足らないものである。世界のあらゆる生き物のなかで、人間が「もっとも病弱な動物ⅳ」であることは、ヴィレーにとって自明のことであった。病気とは、自然を離れて文明化した人間だけに襲いかかる災難であり、言ってみれば“持てる者の悩み”なのだ。
著者
田爪 正気 梅原 恵子 松沢 秀之 相川 浩幸 橋本 一男 佐々木 正五
出版者
Japanese Association for Laboratory Animal Science
雑誌
Experimental Animals (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.517-522, 1991-10-01 (Released:2010-08-25)
参考文献数
25
被引用文献数
6 9

マウスの寿命に及ぼす無菌状態と食餌制限の影響について検討した。実験動物は雄のICR系無菌およびSPFマウスを用いた。制限食の開始時期は生後5週とし, 自由摂取群と制限食群とに分けた。制限食群の食餌は自由摂取群の摂取量の80℃6 (4.5g/日) を毎日与えた。平均寿命は自由摂取群のSPFマウスでは75.9週, 無菌マウスでは88.9週, 制限食群のSPFマウスでは117.5週, 無菌マウスでは109.6週であった。また, 体重を計測した結果, 制限食群は自由摂取群と比べて, SPFおよび無菌マウス共に低値の成績が得られた。この結果, 離乳直後からの食餌制限は成熟を遅らせ, 成長期間が長くなり, 寿命が延びている可能性が考えられる。一方, 無菌マウスの平均寿命はSPFマウスの平均寿命と比べて, 自由摂取群では長く, 制限食群では短かった。この成績から, 無菌状態と食餌制限の組合せでは顕著な延命効果は認められなかったが, 各々単独では平均寿命の延長に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
著者
仲沢 弘明 池田 弘人 一ノ橋 紘平 上田 敬博 大須賀 章倫 海田 賢彦 木村 中 櫻井 裕之 島田 賢一 成松 英智 西村 剛三 橋本 一郎 藤岡 正樹 松村 一 森岡 康祐 森田 尚樹 占部 義隆 所司 慶太 副島 一孝
出版者
一般社団法人 日本熱傷学会
雑誌
熱傷 (ISSN:0285113X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-11, 2022-03-15 (Released:2022-03-15)
参考文献数
12

壊死組織を除去する手法はデブリードマンと呼ばれ, 深達性熱傷に対して必要な治療法の一つである.最も一般的に行われるデブリードマンは外科的デブリードマンであり, 近年では超早期手術の有用性が報告され広く実施されている.しかしながら, 手術時の術中管理や出血量管理が必要であり, 正常組織への侵襲が不可避であるため患者負担が大きい.一方, 諸外国で承認されている化学的壊死組織除去剤であるKMW-1は熱傷部位に塗布し, 4時間後に除去することで低侵襲かつ壊死組織のみを選択的に除去できることが海外臨床試験にて報告されている. われわれは, 深達性Ⅱ度またはⅢ度熱傷を有する日本人患者におけるKMW-1の有効性を確認し, 安全性を検討するために第3相臨床試験を行った. 主要評価項目である壊死組織が完全除去された患者の割合は88.6%(31/35例, 95%信頼区間[74.05, 95.46])であった.また, 壊死組織除去面積割合の平均値は患者あたりで96.2%, 対象創あたりで97.1%であった.さらに, 壊死組織が完全除去されるまでの期間の中央値は登録時点からが1日, 受傷時点からが3日であった.有害事象の発現割合は85.7%(30/35例), 副作用の発現割合は20.0%(7/35例)であったが, 副作用はいずれも軽度または中程度であった.KMW-1の減量や投与中断, 投与中止を必要とする有害事象は報告されなかった. これらの結果から, 日本人の深達性Ⅱ度またはⅢ度熱傷においても, KMW-1の塗布によって早期に選択的な壊死組織の除去が可能であり, 安全性に問題がないことが確認された.KMW-1は外科的デブリードマンによる超早期手術に代わる治療法となりうると考えられる.
著者
橋本 一哉 美馬 裕之 川上 大裕 植田 浩司 下薗 崇宏 山崎 和夫
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.512-518, 2015-11-01 (Released:2015-11-06)
参考文献数
4

【目的】肺動脈カテーテルを用いた持続的心拍出量(continuous cardiac output, CCO)モニタリングは心臓血管外科術後管理に有用である。また,深部静脈血栓予防に間欠的空気圧迫法(intermittent pneumatic compression, IPC)もよく用いられている。今回IPC中に持続的心係数(continuous cardiac index, CCI)が律動的な振動(以下,CCIオシレーション)を起こす症例を経験した。今回の研究の目的は①IPCによりCCIオシレーションが起こること,②IPC機器の機種によりCCIオシレーションの程度が異なることを証明することである。【方法】①一時的にIPCを停止した16症例において,CCIオシレーションをIPC作動時と非作動時で比較した。②IPC機器を変更した前後の36症例において,それぞれの機器を用いた群間でCCIオシレーションを比較した。【結果】①16症例すべてにおいてIPC作動中はCCIオシレーションは見られ,中断により消失した。②CCIオシレーションはIPCの機種変更により有意に変化した。【結論】CCIオシレーションはIPCにより引き起こされ,機種により程度が異なる可能性がある。
著者
小菅 正裕 渡邉 和俊 橋本 一勲 葛西 宏生
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.69-83, 2012-09-28 (Released:2012-10-26)
参考文献数
33
被引用文献数
1 5

We have investigated the inland seismic activity induced by the 2011 Off the Pacific coast of Tohoku (Tohoku-oki) Earthquake in the northern part of Tohoku district, using JMA catalog and newly determined focal mechanism solutions. The seismicity is quite high in the Akita prefecture, forming newly activated clusters. The cluster locations are complementary for the periods before and after the Tohoku-oki Earthquake. A stress tensor inversion using focal mechanism data indicates that the stress field has changed from reverse-faulting regime to strike-slip regime, with a counter-clockwise rotation of the maximum principal stress axis and the replacement of the other two principal axes. This change is qualitatively explained by the weakened E-W compressional stress due to megathrust faulting of the Tohoku-oki Earthquake. Thus the new stress field in the investigated area is unfavorable to the preexisting fault planes of reverse faulting, which brought the complementary seismic activity. Among the three active clusters in the Akita prefecture, the one to the north of Moriyoshi volcano is interesting, because the swarm-like activity forms a volumetric source with a dimension of about 3 km. Considering a possible existence of crustal fluid suggested by a reflected phase, delayed beginning of seismic activity about 2 month from the Tohoku-oki Earthquake, and the migration of seismic activity, the induced seismic activity in the area may be related to a response of crustal fluid to the coseismic stress change. Detailed investigation of the result of stress tensor inversion reveals the existence of local stress field superposed on the regional field represented by the average stress tensor. Inferred local stress field exists in the Tsugaru Strait area, southern part of Akita prefecture, and Kitakami Mountains.
著者
橋本 一浩
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.107-118, 2020 (Released:2020-08-01)
参考文献数
30

シリーズ最終回となる本解説では, 室内微生物の測定法と汚染対策法について, 著者の測定事例や最新の知見, また2020年6月現在, 世界的なパンデミックに発展している新型コロナウイルスの話題を交えて紹介する。 室内微生物の測定法として, 培養法による浮遊微生物測定, 付着微生物測定およびハウスダストのカビ分析の手法を解説する。 さらに培養を伴わない迅速測定法や, 近年, 発展が著しい分子生物学的手法による網羅的菌叢解析も併せて紹介する。 また, 室内微生物汚染の対策法として, 浮遊微生物を低減する具体的な手法や, 一般家庭で使える代表的な殺菌剤の特徴について記述する。
著者
加藤 英治 小林 正義 古賀 久嗣 橋本 一慶 神作 拓也
出版者
日本再生歯科医学会
雑誌
日本再生歯科医学会誌 (ISSN:13489615)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.41-61, 2004 (Released:2005-06-03)
参考文献数
7

顎顔面領域では, 環境造り (スペースメーキングやバリヤーメンブレン等) と自己細胞活性(コルティフィケーションや移植), 誘導・成長因子(PRP, BMP, エムドゲイン®など)が単独や, 組み合わせで応用されている. これらを支持する骨造成の臨床は, 安全でより簡便な方法が望まれ, バイオマテリアルも生体適合性, 形状、機能, エピデンスが求められている. 今回, PRP 作成操作を手術前に行い手術日の負担軽減を計るための凍結保存PRP, 血小板の活性化やデリバリーのためのコラーゲン応用, 下顎骨からの骨原性間葉系幹細胞の採取や培養細胞移植材の可能性を探り, それらを組織再生まで支持する担体やバリヤーとしてHA・コラーゲンの複合体を作成し, 組織再生のピラミッド(図 1)を完成させるべく, 実験および臨床応用を行った. 凍結 PRP・コラーゲン・HA・培養細胞を組み合わせ, 今後の臨床化への可能性をお示ししたい.
著者
小林 高英 苦瀬 博仁 橋本 一明
出版者
日本物流学会
雑誌
日本物流学会誌 (ISSN:13493345)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.11, pp.121-128, 2003

人が都市で生活するためには、物資の供給が必要不可欠である。鉄道や自動車がなかった時代では、内陸部での大量の輸送物資を輸送するのに、河川による舟を利用していた。従来は、河川舟運そのものの発展と衰退や、河岸や川舟に関する研究は多いが、物流システムに着目したものは少ない。そこで本研究では、物流システムの視点から、江戸期の河川舟運の発展の背景と、輸送物資や河岸の立地の特徴を明らかにする。