著者
井上 藤 永山 スミ子 広田 志津子 等 信子 橋爪 敬子
出版者
帝京短期大学
雑誌
紀要
巻号頁・発行日
vol.2, pp.21-32, 1966-07-01

鶏卵の貯蔵中の変化について実験した結果を要約すると次の通りである。1).平均重量55.50gの新鮮卵の各部(卵殻,卵白,卵黄)の割合は従来の報告と大差なく,平均卵殻10.8%〜11.8%,卵黄27.6%〜29.7%,卵白59.4%〜61.5%であった。又,重量別に見ると,比較的小粒ものは多少卵殻の比率が高いようであるが,卵白と卵黄の比率では卵の粒の大きいものが卵黄の比率が高い結果をみた。2).貯蔵中における卵白の濃厚部と水様部の比率の変化は,新鮮卵は濃厚部が約9%多いが,貯蔵中に水様卵白の方が増加することが明らかに認められた。そのうちでも25℃15日間貯蔵したものの水様部が濃厚部より20%も多い結果となった。3).卵黄係数の変化は産卵直後が最も高く,貯蔵温度に影響されることが大きい。冷蔵庫中に保存すれば30日を経ても卵黄係数は新鮮時の状態を保つことができる。小粒のものと大粒のものとでは大粒の卵黄係数が小である。4).卵黄のPHは産卵後の時間経過や温度上昇による変化は殆どないが,卵白は上記の条件によってPHの上昇をみた。そのうちでも,25℃15日間の貯蔵によるPH上昇が最も大であった。又,大粒(60g台)のものは小粒(40g台)のものより卵白PHが高いことを認めた。5).鶏卵の貯蔵中の変化について,卵白の変化,卵黄係数,PHについて保存温度と期間を変えて実測したところによると,今回の実験では,温度25℃15日間の保存による変化がすべてにおいて最も著しいことが認められた。