著者
楠見 孝 村瀬 公胤 武田 明典
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.33-44, 2016-06-20 (Released:2016-06-17)
参考文献数
32
被引用文献数
2

本研究は,児童・生徒用一般的批判的思考態度(CT-G)と学習場面の批判的思考態度(CT-S,各10項目)を用いて,認知的熟慮性-衝動性,認知された学習コンピテンス,教育プログラムとの関係を解明した.小学校5,6年生312人,中学1,2,3年生306人に,4ヶ月間隔をおいた2回の調査を実施した.そのうち,中学1年生125人に対しては,28ヶ月後の3回目調査を実施した.1回目調査において一般的および学習場面の批判的思考態度の2尺度の信頼性を内的整合性によって確認した.さらに,構成概念妥当性を確認的因子分析,基準関連妥当性を関連尺度との相関に基づいて確認した.パス解析の結果,3回の調査いずれにおいても,(i) 熟慮性は,一般的批判的思考態度に影響を及ぼし,(ii) 一般的批判的思考態度は学習場面の批判的思考態度に影響を及ぼした.そして,(iii) 学習場面の批判的思考態度は学習コンピテンスに影響を及ぼした.最後に,教育プログラムの影響について考察した.