著者
米山 京子 池田 順子
出版者
日本小児保健協会
雑誌
小児保健研究
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.331-340, 2003-05

母乳のみあるいは殆ど母乳で哺育している出産後3~16週の健康な授乳婦44人を対象に,母乳中の蛋白質,脂肪,カルシウム濃度と妊娠中および授乳時の体格要因,授乳期3日間の栄養素,食品群摂取量との関係を分析した。母乳の脂肪濃度は妊娠中の最大体重時のBody Mass lndexと正,授乳時の脂質摂取量と負の有意相関が認められ,重回帰分析でも両者が独立に影響することが確認された。妊娠中には脂肪を蓄積し,授乳初期には脂肪摂取を控えることが母児ともに合目的である。母乳のカルシウム濃度は授乳時の母の骨密度が高い程高く,蓄積されたカルシウムが母乳成分に影響することが示唆された。蛋白質濃度は授乳時の飯,野菜摂取量が多い程低い傾向が認められた。
著者
池田 順子 深田 淳
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.152, pp.46-60, 2012 (Released:2017-02-17)
参考文献数
19

Speak Everywhere(以下SE)は,インターネットの繋がる環境にいれば,どこからでもアクセスでき,学習者が個人的に口頭練習をしたり,オーラルテストを受けることができるウェブベースのシステムである。本稿では,このSEを取り入れたスピーキング重視のコース設計とその実践について報告する。SEをカリキュラムに組み込み,教室活動と密接に連動させることで以下の成果が得られた。(1)本来,個人練習であるべき基礎口頭練習が授業時間外で個人的にできるようになり,口頭練習の機会が増え,さらにそこで得られた授業時間をコミュニケーション活動の充実にあてることができた。(2)オーラルテストを,対面式に加え,SE上でも行うことによって,貴重な授業時間を確保でき,またスピーキング能力を評価する機会も増えた。(3)学習者はより快適な環境で,個人的に練習したり,オーラルテストを受けたりすることができた。(4)学習者の多くがSEのシステムに対し,肯定的な評価をした。
著者
米山 京子 池田 順子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.507-515, 2002 (Released:2015-12-07)
参考文献数
22
被引用文献数
1

目的 妊娠,授乳により低下した骨密度の回復について再妊娠,再授乳の場合も含めて縦断的観察により検討する。方法 妊娠初期に骨密度を測定した妊婦の中から第 1 子または第 2 子を出産した健康な産褥婦28人を対象として,超音波法による骨密度測定を出産後最長 5 年まで半年に 1 回の頻度で追跡し離乳後の骨密度の変化を授乳期間別,再妊娠の有無別に調べた。stiffness を骨密度指標とした。結果 1. 骨密度は授乳期間が 0-1 か月(G1 群)では変化なしまたは出産後0.5-1 年,2-6 か月(G2 群)では出産後0.5-1.5年,8-12か月(G3 群)では 1 人以外出産後 1-4 年で妊娠初期値まで完全に回復した。平均的には G1-G3 群順に出産後0.5年,1 年,1.5年でそれぞれ妊娠初期値と有意差はみられなくなった。 2. 離乳後 1 年以上後に再出産した場合,再出産時の骨密度は前回出産時とほぼ同じあるいはそれ以上であり,再授乳後には妊娠初期値よりさらに高くなる場合もみられた。 3. 離乳後 1 年以内に再出産した場合,再出産時の骨密度は前回出産時まで回復せず,再授乳後にも授乳開始時までの回復はみられなかった。結論 妊娠,授乳により低下した骨密度は授乳期間に応じて出産後0.5-4 年で妊娠初期値まで回復する。再妊娠,再授乳による骨密度回復への影響は,授乳期間ではなく離乳後次回出産までの間隔であることが示唆された。
著者
八田 宏之 東 あかね 八城 博子 小笹 晃太郎 林 恭平 清田 啓介 井口 秀人 池田 順子 藤田 きみゑ 渡辺 能行 川井 啓市
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.309-315, 1998-06-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
20

この研究では, 大学および職域においてhospital anxiety and depression scale (HAD)の日本語版の妥当性と信頼性を検討した.大阪府と京都府において, 1983年に, 106名の学生と62名の勤労者を対象に調査は行われた.信頼性を決定するために, アイテム間相関と内的一貫性を求めた.STAIとSDSを用いて共存的妥当性を調べた.両者の集団において, 感情障害の頻度は19〜26%であった.Cronbachのα係数は, 不安尺度に関して0.8であったが, 抑うつ尺度に関しては0.5以上であった.HADの不安尺度とSTAI得点とのSpearmanの係数は, 学生の場合0.65であり, 勤労者の場合0.63であった.HADの抑うつ尺度とSDSとの同係数は学生の場合0.46であり, 勤労者の場合0.50であった.HAD日本語版は, 女性において感情障害スクリーニング法として有用であると考える.
著者
米山 京子 池田 順子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1008-1017, 2004 (Released:2014-08-29)
参考文献数
13

目的 食事からのカルシウム(Ca)摂取量の増大は長期授乳婦の骨密度低下を阻止し得るか,また,長期授乳により低下した骨密度の回復について,骨代謝を考慮して検討する。方法 1 年間以上の授乳婦について,授乳中の Ca 摂取量を食事指導により増大させた群(M 群)と授乳中に乳・乳製品を殆ど摂取しなかった群(N 群),および非授乳群(C 群)について,超音波法による骨密度測定および尿,血液(M, C 群のみ)中の骨代謝指標の測定を出産後 1~12週に開始し,その後半年に 1 回の頻度で最長 2 年間追跡測定,それらの変化を 3 群または 2 群間で比較検討した。結果 1. M 群の Ca 摂取量は平均1,032 mg/日で,日本人の授乳婦の栄養所要量に較べ幾分少なかった。 2. 骨密度変化のパターンは 3 群間で有意に異なり,1 年後に N 群では有意に低下(−8.0%),C 群では有意に上昇したが,M 群では有意な変化は認められなかった。開始時の骨密度値および出産回数を考慮して,1 年後の骨密度変化率は 3 群間および M, N 群間で有意であった。 3. 1 年半後の骨密度変化率は 3 群間で有意差は認められなかった。 4. M 群では開始時および半年後の尿中 Hydroxyproline/Creatinine は N 群より有意に低く,1 年後の尿中 Calcium/Creatinine は有意に高かったが,C 群とは両指標とも有意差は認められなかった。 5. M 群では 1 年後までの血清中 Bone alkaline phosphatase は C 群の半年後の値に較べ有意に高く,1 年後までの Osteocalcin も高い傾向であった。結論 授乳に対して Ca 摂取量が充足されれば,1 年以上の長期授乳でも骨密度低下はみられない。長期授乳により骨密度が低下した場合も平均的には離乳後半年で開始時まで回復するが,授乳期間中の骨密度の極端な低下は母児双方にとって好ましくない。
著者
池田 順子 増山 富美子
出版者
埼玉県農林総合研究センター
雑誌
埼玉県農林総合研究センター研究報告 (ISSN:13467778)
巻号頁・発行日
no.9, pp.42-45, 2010-03

のらぼう菜は、洋種なばなに分類されるアブラナ科野菜である。埼玉県、東京都、神奈川県で栽培され、県内では、比企地域で江戸時代から栽培される伝統野菜である。主におひたしやごま和えとして食されている。こののらぼう菜を活用し、産地化・ブランド化を図るため、埼玉県在来のらぼう菜3系統(比企のらぼう菜、都幾川のらぼう菜、野口種苗のらぼう菜)の栄養・食味特性を明らかにするとともに加工品への添加利用を検討した。
著者
米山 京子 池田 順子 永田 久紀
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.770-779, 1997-01-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
33
被引用文献数
2 5

1994年7月および10月に,出産後21-590日,年齢21-42歳で乳,乳製品を摂取しない者を比較的多く含む授乳婦105名を対象に,母乳中Ca濃度,1日尿中のH.P,Caのクレアチニン補正値(H.P/Cre,Ca/Cre),超音波法により測定された踵骨の骨密度および乳,乳製品摂取状況の相互の関連性を解析し,母乳中Ca濃度の維持機構について考察した。1.尿中のH.P/Creの幾何平均値(M±SD)は授乳期間が5ヵ月未満,それ以上の場合,それぞれ40.7(31-61),36.3(28-47)mg/gで,骨吸収が亢進していることが示された。2.尿中H.P/Creは乳,乳製品の摂取頻度が少ない程,牛乳摂取量が少ない程有意に高く,牛乳摂取量が1日100ml以下の場合には,尿中H.P/Creと母乳中Ca濃度間には有意の正相関が認められた。これらの結果は,Ca摂取量が少ない程骨吸収が亢進して母乳中のCaを補償することを示唆する。3.牛乳摂取量が1日100ml以下の場合,母乳中Ca濃度は骨密度と有意の正相関が見られたことから,Ca摂取量が少ない場合でも骨密度が低い場合には母乳のCaは補償されないことが示唆された。4.牛乳摂取量に関わらず,尿中Ca/Creが低い程母乳中Ca濃度が有意に高かったことから,母乳中Ca濃度の維持に腎臓でのCaの保持機構が関与することが確認された。
著者
米山 京子 石榑 清司 池田 順子 永田 久紀
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.587-594, 1984
被引用文献数
1

尿中Hydroxyproline(H.P)およびクレアチニン排泄量の日々の変動ならびに,蛋白質摂取量との関係を健康な大人5人(女2人と男3人)を対象として,連続する17∼42日間について,昼間と夜間の排泄量を分けて検討した。次の結果が得られた。<br>1.尿中H.PおよびH.P/クレアチニンの日間変動は5人ともかなり大きかった(変異係数はH.P:12.6∼19.8%,H.P/クレアチニン:13.2∼19.5%)。クレアチニンの日間変動はH.Pよりはるかに小さかった(変異係数3.6∼8.5%)。これらの物質の時系列データの自己相関分析では,一定の変動パターンは見られなかった。<br>2.5人中4人で,昼間と(又は)夜間の尿中H.Pは当日又は1∼2日前の蛋白質摂取量と有意の正の相関が見られた。この結果は,尿中H.P排泄量は食事中の蛋白質摂取量によって影響されうることを示唆している。<br>3.尿中H.Pの昼間と夜間の排泄量の相違は5人ともわずかであった。
著者
池田 順子 河本 直樹
出版者
京都文教短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

平成13年度は、以下の通り進行した。(1)中学生を対象者とした10年間のデータファイルを用いて「食生活、生活状況と健康の10年間の推移」について検討した。10年間での対象者数は6477人であり、データファイルに入力した項目は食生活、生活状況、健康状況に関する約130項目であるが、それらから現状を把握・評価するための各種指標を算出したので、解析項目としては約200項目となる。(2)10年間の推移として見いだせた概要は以下の通りである。◇身長には増減は見られなかったが、体重は3年男女で増加傾向が見られ、その結果として、肥満度にも3年男女では増加傾向が見られた。◇血清総コレステロールは2年女子(増加)と3年男子(低下)以外では増減は見られなかったが、HDLコレステロールは全学年で増加傾向が、動脈硬化指数は全学年で低下傾向が見られた。◇睡眠時間は2年女、3年男女で短縮傾向が見られた。◇生活状況では、テレビを3時間以上見る割合が増加傾向であり、1年男女では家での勉強時間の少ない割合が増加傾向であった。◇食生活の取り方では、殆どの学年で共通して認められたのは果実類の摂取頻度の低下傾向と乳類の摂取頻度の増加傾向であった。食べ方では、男子の弁当持参の割合が全学年で増加傾向を示したのみであった。(3)「健康に生活や食生活がどの様に関与しているか」について検討した結果及び、「健康の推移に生活や食生活がどの様に関与しているか」ついて検討した結果と今回得られた結果を総合して検討し、中学生のための指導指針を考案しリーフレット(A2大用紙4つ折りでカラー印刷)に仕上げた。
著者
田中 恵子 池田 順子 東 あかね 入江 祐子 松村 淳子 杉野 成
出版者
夙川学院短期大学
雑誌
夙川学院短期大学研究紀要 (ISSN:02853744)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-11, 2004-03-17
被引用文献数
1

青年期女性のやせの者の生活習慣上の問題点を明らかにすることを目的として、15〜29歳女性住民415人を対象とした生活習慣調査を行い、やせと生活習慣との関連をFisherの直接法と重回帰分析により検討した。やせの割合は、15〜19歳、20歳代の順に31.3、23.0%であった。普通体型で自分の体型を太めに評価している者に、ダイエット経験者(現在ダイエットをしている者と過去にしていた者)の割合が有意に高かったことから、青年期女性において適正体重に関する健康教育が重要であることが改めて示された。15〜19歳では、食生活に関する幾つかの項目で、好ましくない習慣を有する者にやせの割合が高いという結果が得られた。やせの者に食品の組み合わせについての意識が低い傾向がみられたこと、ご飯、その他の野菜(緑黄色野菜を除く野菜)、牛乳・乳製品の摂取頻度の低い者にBMIが有意に低いという関連がみられたこと、さらに総合的な食品のとりかたの評価指標であるバランススコア平均値がやせで低い傾向を示したことから、10歳代後半のやせの者に対するバランスのとれた食事摂取という健康教育をおこなう必要性が改めて示された。20歳代においては、喫煙習慣を有する者ほどBMIが低くなる傾向がみられたことから、喫煙が体型および健康に及ぼす影響について正しい認識をもたせて禁煙教育を積極的にすすめていく必要性が高いと考えられた。食生活では、15〜19歳に比べて、やせと関連する問題となる習慣は少なかったが、バランススコア平均値が、普通に比べてやせで低い傾向を示したことから、15〜19歳と同様にできるだけ多様な食品をとることの重要性を示していく必要性が高いと考えられた。