著者
平山 るみ 田中 優子 河崎 美保 楠見 孝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.441-448, 2010
参考文献数
27
被引用文献数
2

本研究では,批判的思考を支える能力を測定するための尺度としてコーネル批判的思考テスト・レベルZ(ENNIS et al.1985)を用いて,日本語版批判的思考能力尺度を構成した.まず,コーネル批判的思考テスト(ENNIS et al.1985)を日本語に翻訳し,その内的整合性および難易度を検討した.さらに,批判的思考態度尺度,および認知能力としての知能を測定する京大SXとの関係性を検討した.大学生43名に対し,批判的思考能力尺度,批判的思考態度尺度,認知能力尺度を実施した.そして,批判的思考能力尺度について検討した結果,尺度の内的整合性が得られ,課題の難易度は適切であることが確認された.また,批判的思考能力尺度得点と言語性の認知能力尺度得点との間には正の相関がみられ,この尺度には言語能力が関わることが示された.そして,批判的思考能力尺度と情意的側面を測定する批判的思考態度尺度とは,関係性がみられず,それぞれ独立した尺度であることが示された.
著者
河崎 美保 白水 始
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.13-26, 2011-03-30 (Released:2011-09-07)
参考文献数
25
被引用文献数
5 1

本研究では, 算数授業において発表された複数の解法を, 各自がそれでなぜ答えが求まるかを説明することによる学習促進効果を検討した。小学5年生を対象に算数文章題の授業を行い, 実験1では, 解法提示後に聞き手の児童に説明を求める条件と単に評価を行う条件, および, 非規範解法と規範解法という複数解法を提示するIF条件と規範解法のみを提示するFF条件とを組み合わせ, IF-説明条件, FF-説明条件, IF-評価条件, FF-評価条件の4条件を比較した。授業前後のテスト結果より, 規範解法の意味を高い割合で記述できるようになった児童がIF-説明条件では有意に多く, FF-説明条件では有意に少なかった。評価条件には複数解法提示の効果が見られなかった。実験2では, 説明活動をペアで行うIF条件とFF条件を検討し, 転移課題に複数解法提示の効果が見られた。この結果から複数解法提示は, 各自が内的に説明を考える活動と考えた結果を外化してペアで話し合う活動という内外相互作用の二要素を伴うときに最も学習促進効果を持つことが示唆された。説明活動が複数解法の対比を促し, 規範解法の重要な構成要素の把握を容易にするメカニズムをプロセスデータから考察した。
著者
平山 るみ 田中 優子 河崎 美保 楠見 孝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.441-448, 2010-02-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
27
被引用文献数
7

本研究では,批判的思考を支える能力を測定するための尺度としてコーネル批判的思考テスト・レベルZ(ENNIS et al.1985)を用いて,日本語版批判的思考能力尺度を構成した.まず,コーネル批判的思考テスト(ENNIS et al.1985)を日本語に翻訳し,その内的整合性および難易度を検討した.さらに,批判的思考態度尺度,および認知能力としての知能を測定する京大SXとの関係性を検討した.大学生43名に対し,批判的思考能力尺度,批判的思考態度尺度,認知能力尺度を実施した.そして,批判的思考能力尺度について検討した結果,尺度の内的整合性が得られ,課題の難易度は適切であることが確認された.また,批判的思考能力尺度得点と言語性の認知能力尺度得点との間には正の相関がみられ,この尺度には言語能力が関わることが示された.そして,批判的思考能力尺度と情意的側面を測定する批判的思考態度尺度とは,関係性がみられず,それぞれ独立した尺度であることが示された.