2 0 0 0 OA I 歴史研究

著者
臼井 勝美 安岡 昭男 池井 優 波多野 澄雄 増田 弘 宇野 重昭 横山 宏章 中見 立夫 植田 隆子 佐々木 雄太 油井 大三郎 福田 茂夫 草間 秀三郎 佐藤 信一
出版者
財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1979, no.61-62, pp.2-107,L4, 1979-05-25 (Released:2010-09-01)

The Japan Association of International Relations, which was established in 1956, considers one of its main objectives to contribute to the progress of the study of the history of international relations, in paticular to research into the history of Japanese diplomacy. Japan's Road to the Pacific War is a representative example of what can be done by the joint endeavour of this association.We would like to point out, as a specific characteristics of recent research on the history of international relations, firstly, a tendency to remove the limitations which are encountered by a study of so called “diplomatic history” in isolation from everything else.We would like to examine the change from the move traditional approaches, which have emphasized only bilateral or multilateral relations between states, to the more modern, original approaches. The interest of researchers will be to cover a wide area of historical phenomena, such as the political decision-making process, public opinion, economic pressure groups and the process of communication amongst other things.The second characteristic has been the flowering of collaborative reserch between Japanese and foreign scholars, and we are now receiving the excellent results of their labours. For instance, the conference at Lake Kawaguchi in 1969, the result of which was, “The history of Japanese-American Relations, 1931-41” is a representative example of this trend. However, it is regrettable that the participants in these collaborative research projects have been mainly limited to Japanese and American scholars. It is to be hoped that, in future, there will be further opportunities for collaborative research and conferences not only with American scholars, but also with scholars from China, England, Korea, the Soviet Union and South East Asia.We hope the future tendency of research will be for the themes of the role and limitation of the individual in international affairs, as well as the problem of individual responsibility, to become the common interest of scholars.We hope that, in future, the increasing variety of scholarship will not become merely scattered and diffused.
著者
長崎 暢子 篠田 隆 田辺 明生 石井 一也 油井 大三郎 酒井 啓子 清水 耕介 井坂 理穂
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、近年再評価されつつあるガーンディーに関する文献購読、史資料調査、および現地調査(インドのアフメダーバード、ワルダー、イギリスの大英博物館、南アフリカのダーバンなど)を行い、ガーンディーの歴史的役割の重要な一端(非暴力的な紛争解決)の詳細とその影響を明らかにすることが出来た。具体的には、彼は、当時の南アフリカに存在した紛争(人種差別)を非暴力的に解決する「方法としての非暴力」をこの時代に編み出し、それによって有色人種(インド人 & 中国人)に対する白人の人種差別の一角を崩すことに成功したのである。のみならず、この方法は、北欧、中東(イラン)の紛争解決、米国の人種差別反対運動にも影響を与えた。
著者
大沼 保昭 能登路 雅子 渡辺 浩 油井 大三郎 新田 一郎 遠藤 泰生 西垣 通
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

1.この2年間の研究活動の成果は、主題に関わる分野の広汎さに対応して極めて多岐にわたるが、その主要な部分は、およそ以下のように要約することができる。2.(1)「国際公共価値」の中核におかれてきた「人権」に対する評価の持つ政治的・文化的バイアスを相対化して議論の可能性を担保するための方法を供給する視点としての「文際的」視点が提示された。(2)(1)の「文際的」視点を踏まえて、「公共性」という概念の多面的な解析が試みられた。J.ハーバーマスの著作の読解を出発点として、ハーバーマスの議論が持つ特殊西欧近代的な性質と、そうした特殊性を超えて普遍的に展開されうる可能性とを、批判的に弁別する必要性が指摘された。(3)(2)の指摘をうけて、「公共性」概念の持つ普遍化可能性を測定するために、中国・日本など非欧米の伝統社会における「公」「おおやけ」観念との比較研究を行った。その結果、「普遍」的形式への志向性こそが、西欧近代文明の持つ特殊性としての重要な意味を持つ、との見通しが得られた。(4)以上のような研究を通じて、「文化帝国主義」という概念の持つ問題点が明らかとなった。アメリカを中心とした欧米文化の「世界化」は、単に政治的経済的な比較優位に基づく偶有的な現象ではなく、欧米文化が持つ「普遍」という形式が重要な意味を持つ。この「普遍」という形式の持つ特殊性の解明が、重要な課題として認識された。(5)例えば「法」は「普遍」という形式を持つが、「法による規律」は必ずしも普遍的な方式ではない。そうした点を踏まえたうえでの、真に普遍性を持ちうる「国際法」概念の再構築の必要性が指摘された。3.2年間にわたる協同研究は、多くの成果を収めた一方で、多くの新しい課題を発見した。新たに発見された課題については、引き続き研究を進めてゆきたい。
著者
油井 大三郎(1945-)
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.189-202, 0000

本稿は、近年活発になっている1960年代の社会運動当事者の証言や歴史研究を、日米で比較するとともに、証言と歴史研究の関係にも注目して考察したものである。米国では、1980年代の政治的保守化を背景に、1960年代のさまざまな社会運動の成果を否定的に解釈する動きが表面化した。それは公民権運動やベトナム反戦運動が1960年代末から「急進化」し、1970年代に入って警察などとの衝突が激しくなり、政治運動としては「挫折」した過程を重視するものであった。また、ヒッピーなどの「対抗文化」等の影響で離婚率の高まりや同性愛婚の表面化など、伝統的な家族形態の弱まりに対する危機感の表明でもあった。それに対して、1960年代の社会運動経験者からは、法的な人種平等の実現やベトナム戦争の終結、さらには1970年代に入ってからのフェミニズムや環境保護運動の高揚を重視して、「長い1960年代」の視点から運動の成果を肯定的に評価する研究が登場した。 他方、日本では、1960年代の社会運動を指導した人々が定年期を迎え、比較的自由に自らの経験を証言する著作が多数刊行されているが、実証的な歴史研究としてはまだ始まったばかりの段階にある。本稿では、1960年代の社会運動の日米比較を行う上での基本的な論点の整理を試みた。特に、学生運動を主導した米国の「ニューレフト」と日本の「新左翼」の比較とか、1960年代社会運動の時期区分、初期の「非暴力直接行動主義」から「武装自衛」などへの戦術的変化の意味、運動「急進化」の国際的契機、学生運動の衰退原因など多面的な論点について日米比較を行った。とくに、プラグマティズムの影響が強い米国では、運動の急進化後でも「エスニック・スタディーズ」やフェミニズム講座の開設など改良的な要求を実現させるなど、「文化革命」としては成果を残した面があったのに対して、マルクス主義や実存主義の影響が強かった日本の場合は、改良を軽視し、「革命」を志向した結果、大学改革などでは目立った成果がなかったこと、その上、党派間の「内ゲバ」などによって運動自体が衰退していったことを指摘し、両国間の国民文化の差にも注目して分析した。
著者
菅 英輝 初瀬 龍平 藤本 博 秋元 英一 土佐 弘之 松田 武 油井 大三郎
出版者
西南女学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、アメリカの戦争が秩序形成において占める位置、役割、およびその影響や帰結を体系的・包括的に検討することを通して、それが21世紀の世界秩序形成およぼす影響や問題点を分析・評価することを目指した。研究会は初年度3回、2年度4回、最終年度3回の他、総轄班の会合を2回開催した。初年度は全員の報告を義務付け、最終年度も全員に報告を義務付け、そのときの議論を踏まえて最終報告書用の原稿を提出してもらった。研究成果の公開を心がけ、分担者による学会報告の他、関西大学で海外研究協力者も招聘して国際ワークショップを実施した。ホームページでも研究活動を公開し、くわえて分担者相互の意思の疎通を図った。また、海外研究協力者や国内の知見提供者を招いての研究会開催は、知的交流を拡大するのに役立ち、人的ネットワークの確立という面でも成果を挙げた。この点は、平成19年度から開始することになった共同研究(基盤研究A)を組織するさいにも役立った。また、大型マイクロフィルム資料も購入し、資料面でも充実させることができた。代表者および研究分担者の3年間の研究業績としては、論文57(日本語)、論文8(英語)、編著10(日本語)、単著!(日本語)、単著1(英語)である。なお、現在、科研報告書用に提出された論文をもとに、書き直しをしてもらい、法政大学出版局より研究書として2冊刊行することが決定し、現在その作業を行っている。また、2冊のうち、1冊については、海外研究協力者ボブ・マクマン教授と代表者の菅が編者となって、英語での刊行を目指し、現在鋭意取り組んでいる。
著者
油井 大三郎 藤永 康政 梅崎 透 内田 綾子 藤本 博 小塩 和人 豊田 真穂 井関 正久 八十田 博人 土屋 和代 栗原 涼子 中村 督 ディビット ファーバー ベス ベイリー ケビン ゲインズ ヨアヒム シャルロート
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

1)1960年代の米国における社会運動に関する1次史料の系統的な収集がほぼ予定通り実現した。また、収集した史料の解題付き目録を作成し、史料自体も近く公開されるので、日本においても1960年代米国の社会運動に関する実証研究が大いに進展することが期待される。2)米国の社会運動グループ毎の比較を通じて諸グループ間の思想的・組織的連関の解明が進んだ。3)西欧や日本の1960年代社会運動研究と米国のそれとの国際的な比較研究によって、ニューレフトなど重要な概念における相違と相関が明らかになった。
著者
能登路 雅子 油井 大三郎 瀧田 佳子 藤田 文子 遠藤 泰生 ホーンズ シーラ
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本科研最終年度にあたる平成18年度においては、4年間の研究成集のまとめとして、9月に専門家会議を開催し、7月に科研メンバーを集め、専門家会議の準備とともに成果報告書作成のための、最終的なミーティングを行なった。その上で、9月30日(土)に、東京大学駒場キャンパスにおいて、"US Cultural Diplomacy in Asia : Strategy and Practice"(「アジアにおけるアメリカの文化外交:その戦略と実践」)と題した専門家会議を開催した。同会議には、本科研の海外協力者であるSusan Smulyan(Brown Univ. )とThomas Zeiler(Univ. of Colorado, Boulder)を招き、研究分担者である藤田文子(津田塾大学)を加えて、映画、芸術、科学、教育、スポーツ交流など、多様な切り口からの報告を行なった。科研メンバーのほかに、関連分野の研究者、外交機関を含む実務者らが参加し、活発で刺激的な議論が行なわれた。同会議のコメンテーターは研究代表者である能登路雅子が、司会は分担者である遠藤泰生がそれぞれ務めた。この専門家会議のために提出された論文と研究代表者・分担者・協力者の論文をまとめて、平成19年3月に成果報告書として刊行した。