著者
保坂 哲朗 栗本 実咲 沼田 真也
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.10, pp.57-64, 2017-03-15

昆虫は地球上の生物多様性の大部分を占め、生態系のサイクルにおいて重要な役割を担うにも拘らず,世界一般的に認知度や好感度の低い生物である.昆虫に対するネガティブなイメージは欧米社会で特に顕著であり,人々が昆虫の保全に関心を持たない大きな要因となっている。一方で,日本は古くから昆虫に親しむ世界でも稀な文化を持ち,現在も昆虫に関連した多くのツーリズムが存在する「昆虫文化先進国」である.したがって本稿では,日本における昆虫を対象とした鑑賞文化の歴史,現代の昆虫ツーリズムの内容,海外の鑑賞文化との比較によって,日本の昆虫文化の特徴を浮き彫りにする.さらに、日本の昆虫ツーリズムの課題と世界の昆虫保全に向けた可能性について展望する.
著者
沼田 真美
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.18026, (Released:2019-09-20)
参考文献数
33
被引用文献数
2

The purpose of the present study was to investigate the effects of overt and covert narcissism, isolated from self-esteem, on forgiveness, as mediated by cumulative humiliation. To test the validity of the model used in this study, structural equation modeling was performed on data collected from 388 undergraduate students. The results indicated that both overt and covert narcissism had direct, positive effects on revenge, and only covert narcissism, mediated by cumulative humiliation, had positive effects on revenge and avoidance and negative effects on benevolence. These findings suggest that overt and covert narcissism moderate revenge in order to recover self-evaluation. The results also suggest that covert narcissism had more negative effects on forgiveness.
著者
生亀 正照 沼田 真也 保坂 哲朗
出版者
日本景観生態学会
雑誌
景観生態学 (ISSN:18800092)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.139-148, 2014-12-25 (Released:2015-12-25)
参考文献数
38
被引用文献数
1

多摩丘陵で発見された絶滅危惧種タマノホシザクラの分布と多摩ニュータウン(以下NT)開発との関連性を明らかにするために,本種の分布調査を行なった.これまで本種は約100個体が生育すると考えられていたが,八王子市と町田市に多摩市を加えた3市の27個所に177個体が生育していることが明らかになった.うち81.9%がNT区域内に,17.5%が隣接する町田市の片所谷戸の二次林に生育し,NT区域における本種の生育地は全て東京都施行区域であったが,現在の管理者は異なっていた.胸高直径(DBH)と年輪解析をもとに推定した樹齢とNT開発年代の関係をみると,生育地の開発が行われた1980年代には,最も大きなサイズの個体でさえ幼苗か若齢木であったことが示唆された.また,公園管理者の資料には一部の個体がヤマザクラとして記載され,現在も同名の樹名板もつけられていたこと,そして東京都のNT開発資料から,自生地と推察される片所谷戸のような二次林からヤマザクラの稚樹が移植された可能性が高いと考えられた.以上のことから,現在のタマノホシザクラの分布は,自生地が僅かに残っている一方,東京都によるNT開発の際の人為的な植栽が強い要因として働いていると結論づけられた.本種のいくつかの個体群は10年間で消滅していたが,片所谷戸では,近年のボランティアによる二次林管理の再開によって萌芽個体数は増加していたため,タマノホシザクラの個体群の保全と持続可能な利用を維持するには,周期的な伐採や下草刈りなどの二次林の管理を,個体群の生育状況に合わせて適切に行うことが重要であると考えられる.
著者
佐倉 詔夫 沼田 真
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.371-380, 1980
被引用文献数
6 14

房総半島東南部のスギ幼齢造林地に下刈<br>区(毎年1回刈り)と放置区を設け,伐採後5年間の群落の動きを調べた。群落の解析には種類組成,生活型組成,遷移度(DS)などにより比較検討し,それらと植栽木の成長との関係についても論じた。種類組成および生活型組成から両区ともに遷移は進行しており,雌行速度は放置区のほうが下刈区よりもかなり進んでいた。これらのことから, DS=[(∑d・l)/n]・uの優占度dの4通りの算出法, (1) SDR (積算優占度), (2) SDR<sup>*</sup> (多区間積算優占度), (3) MDR (乗算優占度;〓×〓), (4) MDR<sup>*</sup> (多区間乗算優占度)のなかで (1) 式が,群落の動向を表現するのにもっともよく適合していた。極相指数<i>c</i>を入れるかいれないかでDSの算出式がちがうが,木本植物が量的に非常に多い初期造林地においても,両者のDSは傾向がよく一致していた。
著者
沼田 真
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.412-418, 1977-07-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
25
被引用文献数
6 4
著者
沼田 真美
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.360-367, 2019 (Released:2019-10-25)
参考文献数
33
被引用文献数
2

The purpose of the present study was to investigate the effects of overt and covert narcissism, isolated from self-esteem, on forgiveness, as mediated by cumulative humiliation. To test the validity of the model used in this study, structural equation modeling was performed on data collected from 388 undergraduate students. The results indicated that both overt and covert narcissism had direct, positive effects on revenge, and only covert narcissism, mediated by cumulative humiliation, had positive effects on revenge and avoidance and negative effects on benevolence. These findings suggest that overt and covert narcissism moderate revenge in order to recover self-evaluation. The results also suggest that covert narcissism had more negative effects on forgiveness.
著者
保坂 哲朗 栗本 実咲 沼田 真也
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 = The international journal of tourism science (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.10, pp.57-64, 2017-03

昆虫は地球上の生物多様性の大部分を占め、生態系のサイクルにおいて重要な役割を担うにも拘らず,世界一般的に認知度や好感度の低い生物である.昆虫に対するネガティブなイメージは欧米社会で特に顕著であり,人々が昆虫の保全に関心を持たない大きな要因となっている。一方で,日本は古くから昆虫に親しむ世界でも稀な文化を持ち,現在も昆虫に関連した多くのツーリズムが存在する「昆虫文化先進国」である.したがって本稿では,日本における昆虫を対象とした鑑賞文化の歴史,現代の昆虫ツーリズムの内容,海外の鑑賞文化との比較によって,日本の昆虫文化の特徴を浮き彫りにする.さらに、日本の昆虫ツーリズムの課題と世界の昆虫保全に向けた可能性について展望する.
著者
國井 昭男 沼田 真奈
出版者
日本テレワーク学会
雑誌
日本テレワーク学会誌 (ISSN:13473115)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.47-54, 2015-03-31

近年、普及拡大傾向のテレワークにおいて、在宅勤務のみならず、交通機関・宿泊施設・飲食店などでのモバイルワークやコワーキングスペースで仕事をするスタイルが増えており、無線LANサービス、特に不特定多数の利用者を想定した公衆無線LANサービス(パブリックWi-Fi)が活用されるようになってきた。しかしながら、パブリックWi-Fiには「盗聴」「不正アクセス」「改竄」「なりすまし」「不正利用の踏み台」など、様々な脅威が潜んでおり、テレワーク普及の阻害要因となりかねない。パブリックWi-Fi提供者は、利用者の安全を確保するために無線通信区間の暗号化や端末同士の通信の遮断などといった対策を、更には、提供するWi-Fiの悪用を防ぐためにアクセスログの保管などといった対策を、講じる必要がある。一方、テレワーカーなどのパブリックWi-Fi利用者は、接続先アクセスポイントや暗号化の確認、SSLの利用などといった対策を講じる必要がある。テレワーカーの安全なWi-Fi利用に向けて、テレワーカー自身、あるいは、テレワーク環境を提供する企業・組織として、最低限、理解し、実践することが、テレワークの一層の普及拡大にも資するものと言えよう。
著者
沼田 真
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.17-32, 1976-04-25

国際生物学事業計画(IBP)のプロジェクトの一つとして草原の生産力に関する研究があったが,私どもがわが国で行った「草地生態系の解析法に関する研究」(1967-1968),「草地生態系の生産と保護に関する研究」(1969-1972)については,JIBP Synthesis(東京大学出版会,1975)のVol.13: Ecological Studies in Japanese Grasslands with Special Reference to the IBP Areaとしてまとめられた。現在国際的なまとめも進行中で,Cambridge Univ. Pressから逐次刊行されることになっている。このためにも私は温帯性草原の一章を書いたが,そのために世界の多くの国々のデータを送ってもらって検討した。以上のまとめは頁数の制限もあり,外国人の編集者の意向もあって,極めて短縮した形のものとなってしまった。ここでは,改めてそれら外国および国内のデータを検討し,世界の温帯地域の採草地草原について,1.半自然草原の構造と組成2.現存量の季節的および年間の変動2.1地上部2.2地下部2.3T/R比3.一次生産の推定と比較4.外的要因の効果4.1火4.2採草4.3冠水4.4施肥4.5食葉性昆虫4.6気侯と土壌
著者
沼田 真 三寺 光雄
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.311-319, 1961 (Released:2008-12-18)
参考文献数
21
被引用文献数
1

今まで生態学で行われてきた環境解析には不十分な点が多い。たとえば,土壌学的に土壌条件を解析することはできても,それが植物の生活にいかなる意義をもち,どんな役割をはたすかにについて適確に判定できなければ,生態学的に土壌環境を解析したことにはならない。われわれは,竹を材工料として,生態学的環境解析の方法を確立するための実験を行なつている。さきに(三寺・沼田1960),分散分析と因子分析の方法を用いて,きいている環境要因を探索する方法を述べたが,そこで推定された第1因子としての発筍期の雨量という水条件の意義を確認するために行なつた実験について報告したものが,本稿である。実験は現在も続行中であるし,総括にも述べたような問題点が多く残されているのであるが,今までにえられた結果を報告する。
著者
沼田 真
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.412-418, 1977
被引用文献数
8 4
著者
沼田 真
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.1964, no.3, pp.1-9, 1964
被引用文献数
1
著者
鈴木 英治 沼田 真
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.129-142, 1982
被引用文献数
4

Elymus mollis, an introduced species, was planted on the seaward slope of sand banks constructed along the coast of Kuju-Kuri Hama (sand beach), central Japan, some 15 years ago. Since that time, the zone of Elymus has advanced seaward at a speed of about 5 m/yr, which was 2.5 times as fast as that of land accretion. Since E. mollis produced few seeds at Kuju-Kuri, the advancement was solely caused by the elongation of new rhizomes, whose mean length amounted to 4.8 m. Certain native species such as Carex kobomugi established themselves behind the Elymus zone and was replacing E. mollis. Saccharum spontaneum var. arenicola, which was planted on the opposite (landward) slope of the banks, remained on the slope without further spreading, being gradually replaced by Imperata cylindrica var. koenigii. The mechanism of these changes and local differences in the semi-natural vegetation of the coast were discussed.
著者
沼田 真
出版者
古今書院
雑誌
地理 (ISSN:05779308)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.68-73, 1966-01