著者
立岩 真也 田中 耕一郎 田中 恵美子 深田 耕一郎 土屋 葉 長瀬 修 山下 幸子 渡辺 克典 廣野 俊輔 天田 城介 堀 智久 岡部 耕典 荒井 裕樹 野崎 泰伸 杉野 昭博
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

◆インタビュー調査を行った。石田圭二、佐藤一成、堀利和、斎藤縣三、本間康二、古込和宏、Gudion Sigurdsson、Conny Van der Mejiden、Danny Reviers、坂川亜由未、高橋咲緒、平井誠一、近藤秀夫、樋口恵子、奥平真砂子、小林敏昭、他。「共同連」関係者については公開インタビューとした。音声記録を文字化した。◆1980年代からの聞き取りの録音記録、文字記録を整理し、リストを作成した。一部の録音記録については文字化した。◆手をつなぐ親の会、りぼん社等から雑誌、機関紙、書籍、等の寄贈を受け、整理・配架した。◆『共生の理論』、『にじ』、『バクバク』、『ノーマライゼーション研究』、『障害児を普通学校へ』等の、既に収集してある機関紙・書籍、また新たに購入・入手したものについて、整理し、必要なものについてはデータベースを作成した。一部についてHPに書誌情報他を掲載した。◆1970年代から2011年の東日本大震災前後の東北・福島における障害者運動の推移をまとめる本の準備作業を行った。◆韓国、中国、台湾、アイスランド、ノルウェー、オランダ等における運動の動向について、韓国で開催された障害学国際セミナーにおいて、また研究代表者・分担研究者が韓国(光州・ソウル他)、ボストン、中国(武漢)等を来訪し、講演・学会参加した際に、運動や運動史に関する情報を提供し、また入手した。◆立岩真也編『リハビリテーション/批判――多田富雄/上田敏/…』(2017)を刊行した。その他、論文を公刊し、学会報告・講演等を行った。◆海外の難病に関わる運動を担う人について英語のHP頁を作成した。立岩『ALS』の関係する章を英訳してHP掲載した。◆以上すべての作業履歴・業績についてhttp://www.arsvi.com/d/hsm.htmに詳細な作業履歴・業績についての情報がある。
著者
深田 耕一郎
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.82-102, 2009-06-01 (Released:2019-10-10)
参考文献数
12

本稿の目的は介護をコミュニケーション過程としてとらえ,そこでいかなる現実がかたちづくられているかを明らかにすることである. とくに介護者と被介護者の関係の非対称性に注目し従来の介護論とは別様の視点から,介護コミュニケーションのよりゆたかな相を記述する.これまで,介護における関係の非対称性は解消するべきものと考えられてきたというのは,非対称な関係性がパターナリズムを生み,被介護者を抑圧する状況を発生させることが危倶されてきたからである.介護に配慮は必要である一方,行き過ぎた配慮は介護者,被介護者双方に閉塞をもたらすと考えられたそれゆえ,非対称な関係を解消するために“対等な関係"の構築が理論的にも実践的にも模索されてきた.こうした認識と主張は事実を適切に把握しており妥当なものである.しかし,筆者が行っている参与観察による事実を参照すると,実際の介護現場ではこれとは異なる現実が見られた.配慮の諸相を観察してみても,そこには多様なあり方が存在していたーむしろ,関係が非対称であるからこそコミュニケーションが生成していく事態が確認された.たとえば,遊びのコミュニケーションや非対称性に直面することで生じる自己変容がそれである以上の議論から,介護の社会学的研究は関係を対等モデルに閉じ込めるのではなく,コミュニケーションが生成・反転・破局していく姿を繊細にとらえていくことが重要であると指摘する.
著者
庄司 洋子 菅沼 隆 河野 哲也 河東田 博 野呂 芳明 湯澤 直美 田中 聡一郎 百瀬 優 深田 耕一郎 酒本 知美
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

「自立とソーシャルワークの学際的研究」と題し、自立についての規範的意味とソーシャルワークという実践との関連を包括的に検討した。その中で、社会福祉の領域で、中心的な議論であった経済的自立だけではなく、様々なフィールドで展開されている社会的な自立とソーシャルワークの重要性について明らかにした。

1 0 0 0 OA ケアと貨幣

著者
深田 耕一郎
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.59-81, 2016-05-31 (Released:2019-06-20)
参考文献数
20

本研究の目的は,障害者の自立生活運動における介護労働をめぐって展開された,介護の無償・有償論争を考察することを通して,ケア労働の普遍的特性について示唆を得ることである.自立生活運動は,貨幣の機能を有効に用いることによって,ケア労働者の数を拡大し,生活の安定と持続を可能にしてきた.このことはケアの担い手を家族から他人へと変化させ,またその労働形態を無償労働から有償労働へと転換させた.そうしてもたらされた自立生活の進展を考えれば,ケアと貨幣を交換することで商品として介護サービスを提供することには妥当性がある.しかし,自立生活運動における無償・有償論争を丁寧に読み解くと,介護の有償化をめぐっては否定的な意見が少なくなく,現代においても介護が貨幣に依存するあり方には,強い注意が払われている.つまり,彼らは貨幣を媒介することでケアの安定性を生み出してきたが,同時に貨幣に従属されないケアのあり方も模索してきた.ケア労働が人間の人格と生活を尊重する労働であるという普遍的特性を鑑みたとき,労働者の雇用環境を十分に保障する貨幣の供給と,貨幣に従属されない,貨幣を距離化したケアは,ケアの安定化と豊饒化のために求められる条件であることを指摘する.