著者
清地 ゆき子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.46-61, 2010-04-01 (Released:2017-07-28)

本稿は,日中語彙交流の視点から日本で訳語として成立した恋愛用語が,1920年代に中国語に借用されたことを明らかにすることを目的として,日中異形同義語「三角関係」と"三角恋愛"の成立及び定着過程を考察したものである。結論は次の4点てある。(1)「三角関係」は,1910年代後半に森鴎外や島村民蔵により訳語として成立した可能性が高い。(2)"三角関係"は1920年代初め,日本語借用語彙として中国人留学生らの創作作品などを介して中国語にもたらされた。(3)中国語では"三角関係"ではなく,1920年代前半に日本でも一時期使用された"三角恋愛"が定着した。(4)中国語において"三角恋愛"が定着した背景には,1920年代前半に,《婦女雑誌》を中心として,恋愛が頻繁に議論された社会状況があった。
著者
清地 ゆき子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.46-61, 2010-04

本稿は,日中語彙交流の視点から日本で訳語として成立した恋愛用語が,1920年代に中国語に借用されたことを明らかにすることを目的として,日中異形同義語「三角関係」と"三角恋愛"の成立及び定着過程を考察したものである。結論は次の4点てある。(1)「三角関係」は,1910年代後半に森鴎外や島村民蔵により訳語として成立した可能性が高い。(2)"三角関係"は1920年代初め,日本語借用語彙として中国人留学生らの創作作品などを介して中国語にもたらされた。(3)中国語では"三角関係"ではなく,1920年代前半に日本でも一時期使用された"三角恋愛"が定着した。(4)中国語において"三角恋愛"が定着した背景には,1920年代前半に,《婦女雑誌》を中心として,恋愛が頻繁に議論された社会状況があった。