著者
髙﨑 健二 齋藤 勉 大関 芳沖 稲掛 伝三 久保田 洋 市川 忠史 杉崎 宏哉 清水 収司
出版者
一般社団法人 水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:09161562)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.89-99, 2020-05-25 (Released:2022-03-17)
参考文献数
11

本研究では,灯火を用いない漁業の観測が可能な合成開口レーダを用いて2そうびき漁船の検出を行った.2そうびき漁船の自動検出は,画像からすべての船舶を抽出した後,それぞれの船舶において周辺船舶との距離を調べ,船舶間距離が最小となる組み合わせを漁船ペアとすることで可能となった.漁船ペアが間違っているものについては,組み合わせの修正方法を提示した.また,対象海域における2そうびき漁船の活動を把握するため,2そうびき漁船の密度と船舶間距離を求めた.本研究により,漁期中に十分な画像データが得られれば,漁獲努力量を推定できる可能性が示唆された.
著者
清水 収司 沖 理子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.101, pp.153-156, 2009-06-18
被引用文献数
4

全球降水観測(GPM)計画は、熱帯降雨観測衛星(TRMM)の後継となる衛星プロジェクトである。二周波降水レーダ(DPR)とマイクロ波放射計(GMI)を搭載し、2013年に打ち上げられる予定の主衛星に、マイクロ波放射計を搭載した衛星群を組み合わせて、全球の降水を高精度・高頻度で観測する。現在GPMプロジェクトでは、TRMMのときの経験を生かし、取得される降水プロダクトの検証計画を策定中である。GPMではプロダクトそのものの検証だけでなく、降水推定アルゴリズムそのものを検証し、アルゴリズム改良に反映することが重要である。
著者
上田 博 遊馬 芳雄 高橋 暢宏 清水 収司 菊地 理 木下 温 松岡 静樹 勝俣 昌己 竹内 謙介 遠藤 辰雄 大井 正行 佐藤 晋介 立花 義裕 牛山 朋来 藤吉 康志 城岡 竜一 西 憲敬 冨田 智彦 植田 宏昭 末田 達彦 住 明正
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.415-426, 1995-06-15
参考文献数
26
被引用文献数
11

2台のドップラーレーダーを主に用いた熱帯の雲やクラウドクラスターの観測を、TOGA-COARE集中観測期間内の1992年11月12日から約2カ月半に渡って、パプアニューギニア、マヌス島で行った。観測期間中に、スコールライン、クラウドクラスターに伴う対流雲や層状雲、及び、日中のマヌス島上に発生する孤立対流雲等の種々の異なるタイプの雲について、ドップラーレーダーで観測した。マヌス島における観測の概要と観測結果の要約について述べる。観測データについての解析結果の予備的な要約は以下の通りである。1)レーダーエコーの発達の初期には暖かい雨のプロセスが支配的であり、最大のレーダー反射因子はこの時期に観測された。2)エコー頂高度の最大は最初のレーダーエコーが認められてから3時間以内に観測された。3)レーダー観測範囲内における、レーダーエコー面積の最大値はクラウドクラスターの大きさに対応して最大のエコー頂高度が観測された時刻より数時間遅れて観測された。4)長時間持続する層状エコー内の融解層の上部に、融解層下層の上昇流とは独立した上昇流が観測された。これらの観測データを用いてさらに研究をすすめることにより、熱帯のクラウドクラスターの構造や発達機構を解明できると考えられた。
著者
柴垣 佳明 山中 大学 清水 収司 上田 博 渡辺 明 前川 泰之 深尾 昌一郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.69-91, 2000-02-25
参考文献数
34
被引用文献数
4

1991年6月17日〜7月8日にMU(VHF帯)・気象(C・X・C / Ku帯)レーダーを用いた梅雨季対流圏の同時観測を行った。MU・C / Ku帯レーダーは風速の3成分と雨雲の鉛直分布をそれぞれ観測した。また、C・X帯レーダーはメソα, メソβスケールの雨雲の水平分布をそれぞれ調べた。この3週間の中で最も激しい降雨が観測された7月4〜5日の期間には、メソαスケール低気圧近傍でいくつかのメソβ, メソγスケールの雲システムが観測された。これらはi)温暖前線、ii)寒冷前線付近の対流雲およびiii)寒冷前線の北西側の層状雲として分類された。i)では、高度14km付近まで発達した降水雲内の顕著な上昇流は高度4〜5kmにおける前面・後面からの吹き込み成分の収束と中部対流圏の強い南風によって生成された。ii)では、寒冷前線の前面にガストフロントを持った狭いレインバンドがみられた。そのレインバンドの前方とその中では、メソγスケールのローター循環がそれぞれ発見された。iii)では、南東風(北西風)は高度9km付近まで延びた寒冷前線面の上側に沿って(その内部および真下で)上昇(下降)していた。その前線面下側には降雨を伴わない乾燥域が存在し、そこでは前線面に沿って下降した西風の一部が雲システムの後方へ吹き出していた。本研究では、晴天・降雨域の両方で観測された詳細な風速3成分を用いることで、上で述べたような特徴的なウインドフローをもったメソβ, メソγスケールの雲システムの鉛直構造を明らかにした。これらの構造は日本中部で観測されたメソαスケール低気圧近傍のクラウドクラスターの階層構造の中のより小さな雲システムとして示された。