著者
仲本 桂子 渡邉 早苗 工藤 秀機 ノパラタナウォン サム 蒲原 聖可 ラダック ティム 土田 満 宮﨑 恭一 サーシャン ディリープ 田中 明
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.267-278, 2013 (Released:2013-04-18)
参考文献数
36

ベジタリアンの研究によると、ベジタリアンは、ビタミン B 12、 ビタミンD の摂取量が非ベジタリアンより有意に低く、カルシウム、鉄、亜鉛、ビタミンA、ビタミンB 2 、n-3 系多価不飽和脂肪酸(以下、n-3 系脂肪酸)の低摂取が懸念される。そこで、日本人用ベジタリアンフードガイド(JVFG)を用いて、日本人ベジタリアン男性(n=24)と女性(n=60)を対象に、栄養教育を行い、栄養状態の改善を試みた。 JVFG の栄養教育の介入前と後に、食事記録法による食事調査を行った。うち、16 名に対し、身体計測および血糖、尿酸、アルブミン/グロブリン比(A/G)、ナトリウム、カリウム、カルシウム、無機リン、鉄、総コレステロール、高比重リポたんぱくコレステロール、中性脂肪、ヘモグロビン(Hb)、プレアルブミンの血液生化学検査も行った。 結果、ベジタリアンで低摂取が懸念された栄養素のうち、女性において、ビタミンB 2(p<0 . 05)、亜鉛(p<0 . 01) の摂取が有意に増加した。しかし、ビタミンA、ビタミンD、ビタミン B 12、カルシウム、n-3 系脂肪酸の摂取量に有意な増加は見られなかった。身体・血液生化学成績では、女性においてA/G(p<0 . 01)、カルシウム、Hb(p<0.05)が有意に増加し、血糖(p<0.01)、尿酸、上腕三頭筋皮下脂肪厚(p<0.05)は有意に低下した。 以上より、日本人ベジタリアン、特に、女性において、JVFG の栄養教育介入により、栄養状態が変化することが示唆された。
著者
渡邉 早苗 菅野 義彦 吉沢 守 北村 雄大 松村 康男 松本 郷 雑賀 慶二 鈴木 洋通
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1187-1190, 2006-06-28
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

血液透析患者に対する食事療法の一環として, 日常の精白米をリン含有量が少ないBG無洗米に変更した. 15名の透析患者 (男性8名, 女性7名, 平均年齢: 54.1歳, 平均透析年数: 10.1年, 原疾患: 慢性糸球体腎炎10名, 糖尿病性腎症5名) に対して1か月使用したところ, 血清リン値は7.2±0.2mg/dLから6.3±0.4mg/dLへ有意に減少した (p=0.0014). 15例中12例 (80%) で減少を認め, うち9例 (60%) では10%以上の減少を認めた. 食味の低下を訴える例もなく, 使用に際し大きな問題は認めなかった. また, 使用前の血清リン値, 透析歴と血清リン値の減少率には関連がみられなかった. 経済的な負担も大きくないため, リンの摂取量をコントロールする上で有用であると考えられた.
著者
長谷部 靖子 尾上 秀彦 松木 直子 渡邉 早苗 八木 完
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.603-611, 2020 (Released:2021-03-31)
参考文献数
15

目的:近年,我が国における急速な高齢化や生活様式の欧米化により,脳心血管病(cerebral cardiovascular disease: CVD)が増加しており,CVDへの取り組みは喫緊の課題になっている.今回,腹部超音波検査で得られた腹部血管の所見について調査し,今後の健診における課題を検討した.方法:2015年度から2017年度に健診腹部超音波検査を受検した10,594名を対象とし,腹部動脈の所見と背景因子を調査した.結果:腹部超音波検査にて指摘した所見は,腹部大動脈瘤8名(0.08%),総腸骨動脈瘤4名(0.04%),内臓動脈瘤6名(0.06%)(脾動脈2名,腎動脈3名,右胃大網動脈1名)であった.また,腹部大動脈の穿通性アテローム性潰瘍(penetrating atherosclerotic ulcer: PAU)は10名(0.09%)に認めた.粥状硬化は腹部大動脈と腸骨動脈病変で強く,内臓動脈瘤では目立たなかった.結論:健診腹部超音波検査で動脈疾患を指摘することは,CVDによる死亡率の減少と健康寿命の延伸のために意義がある.内臓動脈瘤の指摘には嚢胞と確信の持てない無エコー腫瘤に対して,カラードプラやFast Fourier Transform 解析(FFT解析)を行うことが重要である.腹部大動脈の走査では,腹腔動脈,上腸間膜動脈,腎動脈の起始部や腸骨動脈の狭窄評価,特に粥状硬化が目立つ症例では血管内膜下の低エコーの有無を確認しながら可能な限り腸骨動脈末梢まで走査することがPAUの前駆病変やPAU,動脈瘤の評価には必要である.
著者
尾上 秀彦 長谷部 靖子 渡邉 早苗 八木 完
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.478-485, 2018 (Released:2018-12-31)
参考文献数
17

目的:近年,非アルコール脂肪性肝疾患(Nonalcoholic Fatty Liver Disease:NAFLD)やアルコール性肝障害(Alcoholic Liver Disease:ALD)の増加に伴う肝硬変,肝細胞がんが問題になっている.そこで,腹部超音波検査で脂肪肝の評価を行い,生活習慣病関連項目との関係を検討した.対象:2015年度に健康診断にて腹部超音波検査を受検した5,436名を対象にした.脂肪肝の有無を評価し,脂肪肝をNAFLDの飲酒量である少量,中等量,ALDの飲酒量である多量の3群に分類した.結果:脂肪肝は男性の約46%,女性の約22%に認められた.BMIや腹囲,血圧,糖代謝,肝機能検査は,脂肪肝がない群と比較して3群とも有意に高値であった.また飲酒量による比較では,飲酒量が増えるにつれ,TGやHDL-C,肝酵素の上昇を認めた.生活習慣に関する検討では,性別や飲酒量に関わらず,脂肪肝では「20歳から10kg以上体重増加」が独立して影響し,男性ではNAFLDは「1回30分以上の運動を週2回以上,1年以上」のないこと,中等量やALDは「就寝前2時間以内の夕食が週に3回以上」が独立して影響していた.結論:若年時から生活習慣に対しての介入,飲酒量も加味した保健指導が重要である.
著者
仲本 桂子 渡邉 早苗 工藤 秀機 ノパラタナウォン サム 蒲原 聖可 ラダック ティム 土田 満 宮﨑 恭一 サーシャン ディリープ 田中 明
出版者
The Japan Dietetic Association
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.267-278, 2013

ベジタリアンの研究によると、ベジタリアンは、ビタミン B <SUB>12</SUB>、 ビタミンD の摂取量が非ベジタリアンより有意に低く、カルシウム、鉄、亜鉛、ビタミンA、ビタミンB <SUB>2</SUB> 、n-3 系多価不飽和脂肪酸(以下、n-3 系脂肪酸)の低摂取が懸念される。そこで、日本人用ベジタリアンフードガイド(JVFG)を用いて、日本人ベジタリアン男性(n=24)と女性(n=60)を対象に、栄養教育を行い、栄養状態の改善を試みた。 JVFG の栄養教育の介入前と後に、食事記録法による食事調査を行った。うち、16 名に対し、身体計測および血糖、尿酸、アルブミン/グロブリン比(A/G)、ナトリウム、カリウム、カルシウム、無機リン、鉄、総コレステロール、高比重リポたんぱくコレステロール、中性脂肪、ヘモグロビン(Hb)、プレアルブミンの血液生化学検査も行った。 結果、ベジタリアンで低摂取が懸念された栄養素のうち、女性において、ビタミンB <SUB>2</SUB>(p<0 . 05)、亜鉛(p<0 . 01) の摂取が有意に増加した。しかし、ビタミンA、ビタミンD、ビタミン B <SUB>12</SUB>、カルシウム、n-3 系脂肪酸の摂取量に有意な増加は見られなかった。身体・血液生化学成績では、女性においてA/G(p<0 . 01)、カルシウム、Hb(p<0.05)が有意に増加し、血糖(p<0.01)、尿酸、上腕三頭筋皮下脂肪厚(p<0.05)は有意に低下した。 以上より、日本人ベジタリアン、特に、女性において、JVFG の栄養教育介入により、栄養状態が変化することが示唆された。