著者
清野 純史 三浦 房紀 瀧本 浩一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.537, pp.233-244, 1996
被引用文献数
9

本研究では, 個体個々の動きのみならず群集の全体的挙動をも把握することが可能な個別要素法 (DEM) を用いた群集避難行動シミュレーション手法の提案を行った. そして, 被災時の地下街のような閉鎖空間からの避難行動に対する基礎的な考察として, 避難中の人間が部屋から通路あるいは階段へ移動する場合の群集の動きや, 個々に働く力などの時間的, 空間的変化ついて検討を行った. さらに, 滞留現象に関する理論式を密度関数で表現し, この関数のパラメータをDEMによるシミュレーションによって避難人数, 群集密度, 幅員, 歩行速度などの関数で表現した. これにより, 対象空間全体, あるいはその空間の特定め地点における避難者の行動を時々刻々追跡できるとともに, 群集の流動状況の把握が可能となった.
著者
三浦 房紀 鈴木 素之 村上 ひとみ 中村 秀明 多田村 克己 瀧本 浩一 朝位 孝二 大島 直樹 久長 穣 榊原 弘之 三石 真也 中田 幸男
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、行政と住民が協力して災害時の情報を収集、処理、提供するとともに、災害時要援護者の安否確認を迅速に行い、救助活動を支援するシステムの開発を行った。入力情報には、気象庁の情報のほか、地震計と3次元雨量計を設置して、独自でも入力できるシステムとした。広く住民に情報を提供するためには、デジタルサイネージを用いて、安否確認システムの要援護者が持つ端末はスマートフォンを用いて、サーバはクラウドシステムを用いてシステム構築を行った。宇部市をモデル地域として、市の防災や福祉に関連する部署、高齢者、聴覚障碍者の協力を得て、プロトタイプシステムを構築、その機能検証を行った。
著者
清野 純史 瀧本 浩一
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

2001年7月21日,兵庫県明石市のJR朝霧駅近くの大蔵海岸で花火大会が行われ,15万人の人出を集めたが,花火終了直後朝霧歩道橋上で群集なだれが発生し,11人もの尊い命が失われた.このような事故は,密集空間では常に発生し得る可能性があり,災害やデマなどがそのトリガーになることも十分考えられる.このようなイベント会場のみならず,ターミナル,繁華街,スタジアムなどの閉鎖的で特殊な密集空間を対象に,そこでの人間行動を個体単位でモデル化することにより,その個体の動きや群集全体の挙動を行動心理を含めて再現できるシミュレータを開発する.そして,密集空間で生じるであろう人的被害を定量的に評価し,その安全対策の策定に資するツールを提供することを目的とした.改良した個別要素法(DEM)を用い,また,不特定多数の人々が集まる密集空間で発生する圧力がどの程度のものなのかを計測した結果から決定したバネ定数を用いて,密集空間でのシミュレーションを行った.具体的には,一方向の群集流のみならず二方向の群集流についての群集歩行の再現を試みた.その結果,密集状態において歩行者に働く負荷と歩行速度に関して,解析結果と既往の計測が良い一致を示し,本研究で開発した手法が妥当であることがわかった.避難行動シミュレーションによる方法は,災害事例の結果や避難実験により得られたデータを基に計算を行ったり,様々な状況を設定して計算を行うことができ,設計農階における避難安全性検討に適用可能である.
著者
瀧本 浩一 三浦 房紀 日置 武男
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 = Journal of social safety science (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.145-150, 1999-11-01
参考文献数
7

<p>Schoolchildren should learn not only knowledge about earthquake prevention but also how to cope with an earthquake. However, there is no effective educational tools. Therefore, we developed the new version software for eartquake preparedness education in order to learn behavior during and after earthquakes by introducing the style of TV games. This paper outlines summary of the new software development and its evaluation by using methods which are used in the field of educational technology. The results are also explained.</p>
著者
村上 ひとみ 榊原 弘之 瀧本 浩一
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では地震後非常参集における交通手段アンケート調査から自転車活用条件を明らかにした。東日本大震災では名取市における津波避難アンケート調査をもとに、渋滞は厳しいが、身の危険は徒歩・自転車より自動車の方が低いこと、自転車は避難開始が早く機動性に優れることを示した。山口市の住民アンケート調査から自家用車依存が地理知識獲得に負の影響を及ぼし、地域活動参加が公共施設や商店等の正規化得点を高める傾向を示した。また災害早期の被害情報共有に役立つモバイル情報システムを開発した。以上を併せて、日常の自転車利用を促進し、自家用車依存を軽減することで、非常参集や津波避難に役立つ等、地震防災への効用が示された。
著者
村上 ひとみ 瀧本 浩一
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

地震時においては家屋の倒壊に至らない場合でも、住宅室内の家具什器による転倒・散乱被害が甚だしく、居住者が死傷したり、室内で出火延焼したり、避難ルートを失う危険性が高まる。室内被災の背景には、居住空間内の家財が増加・大型化していること、収納空間の不足と不適切な配置、内壁や家具の設計に固定への配慮が欠けていることなどの問題点が考えられる。このような実態を改善するには、居住者自身が室内空間被害の可能性と人的被害の危険度を客観的に認識し、家具の配置、住まい方を変えることによる危険度低減効果をシュミレーションにより視覚的かつ、定量的に認識できるような自己診断システムが望まれる。本研究では、1995年阪神・淡路大震災における震度と建物被害・室内被害に関するアンケート資料を分析して、震度を横軸とする家具の被害関数を導出した。具体的には住宅内で一般的な5種類の家具の4つの被害レベル(物が落ちる、転倒など)について正規分布関数を仮定し、数量化I類を用いて関数系のパラメータを求めた。上記の関数を基に室内危険度評価手法を提案した。さらにパソコン用CADのベースとプログラム環境を組み合わせ、居住空間の間取りを作成し、柱状体としての家具什器を入力・配置し、上記家具被害関数を用いてその環境における地震時被災危険度を推定するソフトウェアを開発した。1993年釧路沖地震で得られている室内被害調査結果を利用して、本ソフトウェアで推定される危険度と実被害を比較、推定の精度を検証した。ソフトウェアは推定結果を具体的かつ視覚的にわかりやすく表示し、震度の上昇に伴って増大する危険性を表示するなどの機能を有する診断用ソフトウェアとなっている。これによりインターアクティブなCAD環境を利用した住宅室内環境の地震危険度自己診断手法を提案するに至った。