著者
猪瀬 優理
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-18, 2010-06-16 (Released:2013-02-28)
参考文献数
23
被引用文献数
4 1

現代日本では,若者の性行動・性意識に変化が生じており,これを「乱れ」として懸念する声も強い。しかし,若者の意識をより実質的に理解するには「乱れ」という否定的な解釈だけでは不十分である。若者たちが自分自身やその周囲の人びととのかかわりの中で形成する性意識の文化的背景を知る必要がある。本稿は思春期にあたる中学生,高学生(以下,中高生)の月経観・射精観に着目してこの問題に取り組む。射精に関する先行研究は月経に比して少ないため,射精観に関する議論は意義がある。 北海道の都市における中高生を対象とした調査票調査とインタビュー調査をもとにして,⑴射精に対するイメージが月経より希薄であること,⑵月経/射精と生殖の結びが漠然としたものである可能性,⑶射精が罪悪感・羞恥心を伴うものであること,⑷射精経験が月経経験よりも公的に語られにくいものであること,を明らかにした。 この背景には,⑴性的欲望や性的欲求について公的に語ることに対するタブー視が根強く,特に子どもに対して顕著であること,⑵女性の身体は特別なケアが必要なものとみなすが,男性の身体には特別なケアの必要を認めないこと,⑶生殖とのつながりについて特に女性の身体を重視する文化があること,⑷性的欲求や性的欲望が主にポルノグラフィとして語られる文化があること,が挙げられる。射精はその現象の性質から性的欲求との関わりが強いために,公的に語られにくいことが指摘できる。
著者
猪瀬 優理
出版者
北海道大学
雑誌
北海道大学文学研究科紀要 (ISSN:13460277)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.135-168, 2008-06-20
著者
猪瀬 優理
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.19-37, 2002-06-29 (Released:2017-07-18)
被引用文献数
2

本稿は、これまであまり研究課題として取り上げられてこなかった宗教集団からの脱会について、ものみの塔聖書冊子協会からの脱会者39名を事例として分析した実証的研究である。特に本稿では、当教団の信者を親にもつ二世信者の脱会にみられる問題に焦点を当てている。本稿では、当教団が、信者にとって脱会が多くの困難や抵抗を生じさせる特徴を持つ教団であると考える。脱会の問題を考える手がかりとして、本稿では組織的離脱と認知的離脱が生じるプロセス、また脱会後に必要となる「社会的リアリティの再定義」の達成に焦点を当てる。このとき、認知的離脱と「社会的リアリティの再定義」の要件として、教団外情報の入手と教団外との人間関係の形成に着目して分析した。事例分析の結果として、一世信者と二世信者ではそれぞれ必要とされる情報や人間関係の性質が異なっていることが示された。
著者
猪瀬 優理
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.21-38, 2004-06-18 (Released:2009-11-16)
参考文献数
44

本論文の目的は,信仰継承に関する知見を得ることである。分析には,札幌市在住の創価学会員を対象に行われた調査票調査から得られたデータを使用した。二世信者が信仰を継承する要因として,親の影響と本人の宗教的参加の程度に着目した。分析の結果,以下の知見が得られた。第一に,男性にとっては父親の信仰態度,女性にとっては母親の信仰態度が強いほど現在の信仰態度は強まる。第二に,親の教化態度が強いほど現在の信仰態度は弱まる。第三に,親子間の影響のあり方は,母親と娘,母親と息子,父親と娘,父親と息子の間で異なっている。第四に,子どものころから継続的に宗教活動を行うことは信仰継承する可能性を高める。第五に,信仰が同じ配偶者を持つ人は,信仰継承する可能性が高まる。第六に,女性の場合,家族関係が良好であることは宗教活動から離れることを抑止する。第七に,男性の場合,教育年数が増えるほど,現在の信仰態度が熱心になる。第八に,男性の場合,きょうだい数が多くなるほど宗教活動から離れる可能性が高まる。全体的な傾向として,男性よりも女性の方が活動から離れにくく,現在の信仰態度も熱心であった。男性と比べれば女性の方が信仰継承しやすい可能性がある。教団組織の発展や文化伝達のメカニズムを解くためにはジェンダーの視点が不可欠である。
著者
猪瀬 優理
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.61-79, 2000-06-30 (Released:2009-11-16)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本稿は,教団の持つ性別役割観が信者の「入信動機」に与える影響を検証している。本稿では,宗教集団の呈示する性別に関するディスコースを,教団の「ジェンダー」(男性/女性の区分基準)を構成するものとして分析対象とした。事例分析においては,「入信動機」を信者の主観的構成物と見なして,そこに現れる男女差について検討した。このような方法論を用いる理由は,次の二つである。1)「入信動機」は,自分の信仰を自分の人生の中に位置づけようとする場合,何度も解釈し直されるものであること。2)その際には,「性別」というカテゴリーが重要な準拠枠となりうること。創価学会員の「入信動機」を分析した結果から,以下の2点の知見が得られた。1)男性は「入信動機」を,自分の職業に関わる問題などの「自分自身の問題」として捉えようとする傾向が強い。2)女性は,子どもや家族のこと,結婚,母親からの信仰を継承した事など,「他者との関係性」から信仰を位置づける傾向が強い。創価学会は,「男性は職場,女性は家庭と社会」という性別役割観を持っている。事例分析から,このような教団の性別役割観が信者に受容されていることが事例から確認された。そのとき,信者は,受動的に教団の性別に関わるディスコースを受容しているのではなく,自分の人生を肯定的に解釈する為の道具として能動的に教団のディスコースを利用している側面が確認された。
著者
猪瀬 優理
出版者
Hokkaido Sociological Association
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-18, 2010
被引用文献数
1

現代日本では,若者の性行動・性意識に変化が生じており,これを「乱れ」として懸念する声も強い。しかし,若者の意識をより実質的に理解するには「乱れ」という否定的な解釈だけでは不十分である。若者たちが自分自身やその周囲の人びととのかかわりの中で形成する性意識の文化的背景を知る必要がある。本稿は思春期にあたる中学生,高学生(以下,中高生)の月経観・射精観に着目してこの問題に取り組む。射精に関する先行研究は月経に比して少ないため,射精観に関する議論は意義がある。<br> 北海道の都市における中高生を対象とした調査票調査とインタビュー調査をもとにして,⑴射精に対するイメージが月経より希薄であること,⑵月経/射精と生殖の結びが漠然としたものである可能性,⑶射精が罪悪感・羞恥心を伴うものであること,⑷射精経験が月経経験よりも公的に語られにくいものであること,を明らかにした。<br> この背景には,⑴性的欲望や性的欲求について公的に語ることに対するタブー視が根強く,特に子どもに対して顕著であること,⑵女性の身体は特別なケアが必要なものとみなすが,男性の身体には特別なケアの必要を認めないこと,⑶生殖とのつながりについて特に女性の身体を重視する文化があること,⑷性的欲求や性的欲望が主にポルノグラフィとして語られる文化があること,が挙げられる。射精はその現象の性質から性的欲求との関わりが強いために,公的に語られにくいことが指摘できる。
著者
猪瀬優理
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.21-38, 2004-06-18

本論文の目的は,信仰継承に関する知見を得ることである。分析には,札幌市在住の創価学会員を対象に行われた調査票調査から得られたデータを使用した。二世信者が信仰を継承する要因として,親の影響と本人の宗教的参加の程度に着目した。分析の結果,以下の知見が得られた。第一に,男性にとっては父親の信仰態度,女性にとっては母親の信仰態度が強いほど現在の信仰態度は強まる。第二に,親の教化態度が強いほど現在の信仰態度は弱まる。第三に,親子間の影響のあり方は,母親と娘,母親と息子,父親と娘,父親と息子の間で異なっている。第四に,子どものころから継続的に宗教活動を行うことは信仰継承する可能性を高める。第五に,信仰が同じ配偶者を持つ人は,信仰継承する可能性が高まる。第六に,女性の場合,家族関係が良好であることは宗教活動から離れることを抑止する。第七に,男性の場合,教育年数が増えるほど,現在の信仰態度が熱心になる。第八に,男性の場合,きょうだい数が多くなるほど宗教活動から離れる可能性が高まる。全体的な傾向として,男性よりも女性の方が活動から離れにくく,現在の信仰態度も熱心であった。男性と比べれば女性の方が信仰継承しやすい可能性がある。教団組織の発展や文化伝達のメカニズムを解くためにはジェンダーの視点が不可欠である。
著者
猪瀬 優理
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
no.8, pp.19-37, 2002-06-29

本稿は、これまであまり研究課題として取り上げられてこなかった宗教集団からの脱会について、ものみの塔聖書冊子協会からの脱会者39名を事例として分析した実証的研究である。特に本稿では、当教団の信者を親にもつ二世信者の脱会にみられる問題に焦点を当てている。本稿では、当教団が、信者にとって脱会が多くの困難や抵抗を生じさせる特徴を持つ教団であると考える。脱会の問題を考える手がかりとして、本稿では組織的離脱と認知的離脱が生じるプロセス、また脱会後に必要となる「社会的リアリティの再定義」の達成に焦点を当てる。このとき、認知的離脱と「社会的リアリティの再定義」の要件として、教団外情報の入手と教団外との人間関係の形成に着目して分析した。事例分析の結果として、一世信者と二世信者ではそれぞれ必要とされる情報や人間関係の性質が異なっていることが示された。
著者
川端 亮 渡邉 光一 猪瀬 優理 弓山 達也 河野 昌弘
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究においては、私たちのグループは、UMLを用いて、宗教の体験談を図示する方法を開発した。Enterprise Architect13というソフトウェアを用いて、既に教団誌に発表された体験談や、これまでメンバーが聞き取ってきた体験談を、クラス図とステートマシン図によって示した。日本社会学会大会で、「ライフヒストリーの図式化の試み」と題して、その成果を報告した。また、学術論文としてもその成果を発表した。さらにこのUMLによる体験談の図示をもとに、宗教体験談を聞き取る項目を検討し、インタビューガイドを作成した。そのガイドに従い、インタビュー調査を実施した。
著者
猪瀬 優理
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.61-79, 2000

本稿は,教団の持つ性別役割観が信者の「入信動機」に与える影響を検証している。本稿では,宗教集団の呈示する性別に関するディスコースを,教団の「ジェンダー」(男性/女性の区分基準)を構成するものとして分析対象とした。事例分析においては,「入信動機」を信者の主観的構成物と見なして,そこに現れる男女差について検討した。このような方法論を用いる理由は,次の二つである。1)「入信動機」は,自分の信仰を自分の人生の中に位置づけようとする場合,何度も解釈し直されるものであること。2)その際には,「性別」というカテゴリーが重要な準拠枠となりうること。<BR>創価学会員の「入信動機」を分析した結果から,以下の2点の知見が得られた。1)男性は「入信動機」を,自分の職業に関わる問題などの「自分自身の問題」として捉えようとする傾向が強い。2)女性は,子どもや家族のこと,結婚,母親からの信仰を継承した事など,「他者との関係性」から信仰を位置づける傾向が強い。創価学会は,「男性は職場,女性は家庭と社会」という性別役割観を持っている。事例分析から,このような教団の性別役割観が信者に受容されていることが事例から確認された。そのとき,信者は,受動的に教団の性別に関わるディスコースを受容しているのではなく,自分の人生を肯定的に解釈する為の道具として能動的に教団のディスコースを利用している側面が確認された。
著者
猪瀬 優理
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

平成14年度は、札幌市に住む活動的創価学会員の入会・入信動機、活動頻度、家族状況、ジェンダーに関する意識、二世信者の背景的状況などについて調査するため、北海道創価学会の方と交渉の末、1200名の活動的学会員を対象に調査票調査を実施した。平成14年の11月に実施し、820票あまりが回収された。本研究の目的は、信仰継承過程の解明であるため、非活動者や組織から離脱した二世信者への調査が実施されるべきであったが、実際的には困難がともなうため、活動的二世信者の状況について調査した。一世信者との比較などから間接的ではあるが、信仰継承に関する知見を得られるものと思われる。年度終了近くの調査であったため、まだ詳細な分析結果は出ていない。今後は、この調査の分析を深めるとともに、調査票調査では拾いきれなかった信仰継承とジェンダーの再生産過程の質的な側面をインタビュー調査によって補充する予定である。また、ものみの塔聖書冊子協会については、雑誌論文(『宗教と社会』第8号,19-38)が掲載された。ここでは、信仰を継承しない場合も二世信者特有の問題があり、またジェンダーの要素が重要な意味を持つことを確認している。日本宗教学会大会のテーマセッションにおいて家庭にとどまることが多い既婚女性が教団組織活動へ参加する理由は、ジェンダーに規定されている部分が大きいことについて事例をもとに発表した(外部との接触、知的刺激にかけていたこと、仕事中心などの理由から夫とのコミュニケーションが希薄であったことなどを解消する手段として教団活動が女性たちに認知された)。本年度の調査研究から、教団組織におけるジェンダーの問題をとらえるには教団組織活動への関与度を確かめる必要性が確認され、創価学会の調査においても家族における社会化過程とともに組織における社会化の側面をより重視した分析を行う方向に修正された。