著者
上東 太一 甫足 創 柳井 啓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.8, pp.1397-1406, 2010-08-01
被引用文献数
3

近年,食事に関する健康管理が注目され,より簡単に食事内容が記録できるシステムの実現が望まれている.そこで,本研究では,画像認識技術を用いて食事内容を記録するシステムを提案する.画像認識手法としては最新の機械学習の手法であるMultiple Kernel Learning(MKL)を用いて,局所特徴,色特徴,テクスチャ特徴などの複数種類の画像特徴を統合し,高精度な認識を実現することを提案する.MKLを用いることにより,カテゴリーごとに認識に有効な画像特徴を自動的に推定し,各特徴に対して最適な重みを学習することが可能となる.それに加え,本研究では,提案した食事画像認識手法を組み込んだ食事画像認識システムのプロトタイプを実装した.実験では,50種類の食事画像データセットを構築し,提案手法の評価を行い,平均分類率61.34%を達成した.50種類もの大規模な食事画像の分類は,実用的な精度で実現することが困難であったため報告例がないが,本研究ではMKLによる特徴統合を行う提案手法によって,初めて大規模食事画像分類において高い認識精度を達成することができた.