著者
田村 紋女 小塩 真司 田中 圭介 増井 啓太 ジョナソン ピーターカール
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.26-37, 2015-07-31 (Released:2015-08-07)
参考文献数
27
被引用文献数
3 30

Dark Triad (DT)とはマキャベリアニズム,サイコパシー傾向,自己愛傾向という3つの反社会的なパーソナリティ特性を指す。本研究の目的は,DTを簡便に測定できるDark Triad Dirty Dozenの日本語版(DTDD-J)を作成し,信頼性と妥当性を検討することであった。246名の大学生がDTDD-J,各DT特性に対応する既存のDT尺度,ビッグファイブ尺度に回答した。確認的因子分析の結果,各DT特性に対応した3つのグループ因子と総合的なDT特性による1つの一般因子から構成されることが示された。内的信頼性はサイコパシー傾向を除くといずれも高い値が示された。併存的妥当性と弁別的妥当性についても概ね先行研究を支持する結果であった。以上から,DTDD-JはDTを包括的,かつ効率的に測定できる尺度として一定の信頼性と妥当性を持つことが示された。
著者
田中 圭介 杉浦 義典
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.65-71, 2014-02-01 (Released:2014-06-04)
参考文献数
37
被引用文献数
1 2

The purpose of present study is to make Japanese version of the Repetitive Thinking Questionnaire (RTQ; McEvoy et al., 2010), which measures repetitive negative thinking (RNT). RNT is defined as attentive, perseverative, frequent, and relatively uncontrolled cognitive activity that is focused on negative aspects of the self and the world (Ehring & Watkins, 2008; Segerstorm et al., 2003). RNT such as worry, rumination, and post-event processing is seen as trans-diagnostic or trans-emotional phenomenon because it correlates with depression, anxiety, and various negative emotions. 107 undergraduate students completed Japanese version of RTQ and other self-report questionnaires. Exploratory factor analysis yielded one factor structure. RTQ and the short version of RTQ demonstrated high internal reliability and were associated with trait worry, negative mood, and non-adaptive metacognition for problem solving. These results suggest that Japanese version of RTQ and the short version have good psychometric properties.
著者
田中 圭介 神村 栄一 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.108-116, 2013-11-30 (Released:2013-12-04)
参考文献数
36
被引用文献数
4

近年,マインドフルネス・トレーニング(MT)は,全般性不安障害や心配への介入法として注目されている。MTは,マインドフルネス傾向や脱中心化,注意の制御を媒介して,不安や抑うつに作用することが示唆されている。しかし,これらの媒介変数が,心配に作用する過程については,いまだ検討されていない。本研究では大学生を対象に質問紙調査(N=376)を行い,心配に対する注意の制御,マインドフルネス傾向,脱中心化の影響について検討を行った。共分散構造分析の結果,注意の制御を外生変数とした場合に最もモデル適合度が高いことが示された。さらに,注意の制御は,マインドフルネス傾向と脱中心化を媒介して,心配の緩和に繫がることが明らかとなった。これらの結果から,MTが心配に作用する際には,注意の制御の増加が体験との関わり方(マインドフルネス傾向,脱中心化)を改善し,心配を低減させる作用プロセスが想定される。
著者
田中 圭介 杉浦 義典
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.139-152, 2015 (Released:2018-06-19)
被引用文献数
3
著者
田村 紋女 小塩 真司 田中 圭介 増井 啓太 ジョナソン ピーターカール
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.26-37, 2015
被引用文献数
30

Dark Triad (DT)とはマキャベリアニズム,サイコパシー傾向,自己愛傾向という3つの反社会的なパーソナリティ特性を指す。本研究の目的は,DTを簡便に測定できるDark Triad Dirty Dozenの日本語版(DTDD-J)を作成し,信頼性と妥当性を検討することであった。246名の大学生がDTDD-J,各DT特性に対応する既存のDT尺度,ビッグファイブ尺度に回答した。確認的因子分析の結果,各DT特性に対応した3つのグループ因子と総合的なDT特性による1つの一般因子から構成されることが示された。内的信頼性はサイコパシー傾向を除くといずれも高い値が示された。併存的妥当性と弁別的妥当性についても概ね先行研究を支持する結果であった。以上から,DTDD-JはDTを包括的,かつ効率的に測定できる尺度として一定の信頼性と妥当性を持つことが示された。
著者
高田 圭二 田中 圭介 竹林 由武 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-49, 2016-07-01 (Released:2016-06-04)
参考文献数
48
被引用文献数
1 2

本研究はマインドフルネスとwell-beingの関連を調整する要因として注意の制御に着目し,注意の制御がマインドフルネスとwell-beingの関連に与える影響を,大学生145名を対象に検討した。分析の結果,Subjective well-being(SWB)を目的変数とした場合,マインドフルネスの体験の観察と注意の制御の主効果が有意だった。Psychological well-being(PWB)を目的変数とした場合,マインドフルネスの体験の観察,描写,反応しない態度と注意の制御の主効果が有意だった。また注意の制御による調整効果が示され,体験の観察は注意の制御が高いとSWBを高めた。さらに描写も注意の制御が高いとPWBを高めた。以上の結果から,体験の観察がSWBを促進するには体験を万遍なく観察する必要があり,そのためには柔軟な注意の制御が必要だと考えられる。そして,描写がPWBを促進するには内的な体験を的確に言語化する必要があり,注意の制御が高い場合に言語化が的確になると考えられる。
著者
田中 圭介 安永 憲司
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

大きく分けて二つの成果が得られた。まず、2メッセージを用いた紛失通信についての考察である。 具体的には、攻撃者のモデルをプロトコルの実行を途中で中止させるだけのfail-stopモデルからプロトコル中のアルゴリズムを任意に変更する攻撃を許すmaliciousモデルへの拡張を行い、既存のある種の暗号理論的な安全性と等価なゲーム理論的安全性を与えることに成功している。さらに、ビットコミットメントについての考察である。具体的には、malicious モデルの攻撃者を対象とし、既存のある種の暗号理論的な安全性と密接に関連するゲーム理論的安全性を与えることに成功している。
著者
田中 圭介 河内 亮周 安永 憲司 小柴 健史
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、インセンティブの設計を様々な暗号技術 (電子署名・相手認証・ブロックチェーン技術) に拡張することである。このため、研究課題を2つ設定し、各課題に対して研究期間を大きく3つに分けている。課題(A)の既存暗号技術に対するインセンティブ設計では、合理的証明にもとづいた委託計算で利用されている報酬の技術的な設定手法を電子署名や相手認証などへ応用し、さらにその手法をその他の技術へ適用可能な形へ一般化させる。課題(B)のブロックチェーンに対するインセンティブ設計では、ブロックチェーンに対して適切にインセンティブを設定する手法を考案し、そのインセンティブの設定を、課題(A)で発展させたインセンティブの技術的設定手法で実現する。課題(A)に対しては、今年度は2018年度までに行った第1フェーズ「インセンティブ設計技法に関する調査と研究」で得られた知見を活用し、第2フェーズ「インセンティブを用いた電子署名・相手認証のモデルと技術の設計」を行った。今年度は特に、これらの要素に密接に関わるSecure Message Transmission (SMT)と呼ばれる要素に着目し、複数ある通信路がすべての敵に支配されたとしても、合理的な敵を考える場合には、安全に通信を行うことができることを示した。課題(B)に対しては、今年度は2018年度までに行った第1フェーズ「ブロックチェーンに関する調査と研究」で得られた知見を活用し、第2フェーズ「インセンティブを用いたブロックチェーンのモデルと技術の設計」を行った。典型的なproof-of-workにおいてはハッシュ関数の特定の要件を満たす値を出力するような入力を見つけることが行われている。これはある種の計算問題を解くことに対応しており、この問題を別の計算問題に置き換えたときのインセンティブ設計についての可能性についてに考察を行った。
著者
田中 圭介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.90-96, 2009-02-01

特定領域研究「新世代の計算限界-その解明と打破-」(領域代表者:岩間一雄)の主な対象である計算理論における重要な応用分野として暗号理論がある.この暗号理論において,公開鍵暗号や署名などに対して,個人のプライバシーを対象とした匿名性と呼ばれる性質が考察されている.公開鍵暗号が匿名性を満たすとは,暗号文を見ても,それがどの受信者へのものであるか(だれの公開鍵で暗号化されたか)見分けがつかないときをいう.また,署名方式が匿名性を満たすとは,メッセージと署名のペアを見ても,それがどの署名者が作成したペアであるか見分けがつかないときをいう.ここでは,RSAベースの方式に対して,このような匿名性を得るために用いられる主要なアルゴリズムテクニックについて紹介する.
著者
田中 圭介 杉浦 義典 竹林 由武
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.146-155, 2013-11-30 (Released:2013-12-04)
参考文献数
34
被引用文献数
1 2

マインドフルネスとは,“今ここでの経験に,評価や判断を加えることなく,能動的に注意を向けること”として定義される自己の体験に対する特殊な注意の向け方である。マインドフルネスの個人差を規定する要因として,注意機能の関連が指摘されている。しかし,注意機能のどの側面が,どのような交互作用でマインドフルネスに関連するのかについては,これまで明らかにされていない。本研究では,大学生を対象にAttention Network Test(Fan et al., 2002)とマインドフルネス傾向(Baer et al., 2006)を測定した。階層的重回帰分析の結果,注意の喚起機能が低い時には,注意の定位機能はマインドフルネスと正の関連を示す一方で,喚起機能が高い場合には,定位機能はマインドフルネスと負の関連を示した。これらの結果は,マインドフルネスの個人差の規定因として,注意機能を交互作用から捉える必要性を示唆する。
著者
田中 圭介 岡本 龍明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.613-617, 2002-08-01
参考文献数
9

量子計算機が実現された場合においても安全な公開鍵暗号(秘匿,ディジタル署名)を構築するために,暗号の新しいパラダイムである量子公開鍵暗号を提案する.このパラダイムにおいては,通信者は多項式時間量子チューリング機械であるとし,通信路は古典的であるとする.また,部分和問題(ナップサック問題)を基礎とした公開鍵暗号(秘匿)の具体的な実現方式を示す.更に,量子公開鍵暗号のパラダイムを一般化することにより,量子計算暗号という新しいパラダイムが構築されることを示す.
著者
田中 圭介 西野 哲朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.94, no.26, pp.51-60, 1994-04-27

否定数限定回路とは,回路中で使用できるNOTゲートの個数をlog(n+1)に制限した組合せ回路である.本稿では,n変数を反転する否定数限定回路(反転回路)の複雑さについて考察する.本研究以前に知られている反転回路のサイズの最良の上界は,O(n^2(logn)^2)である.本稿ではまず,この上界をO(n(logn)^2)に改良できることを示す.次に,反転回路のサイズと深さに関してそれぞれ,5n+3log(n+1)-6および4log(n+1)+2の下界を示す.さらに,n変数を反転する否定数限定回路にある種の制約を加え,その回路サイズが超線形下界をもつような二つの特殊な場合を紹介する.