著者
田中 琢真
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.104-112, 2018-09-05 (Released:2018-10-31)
参考文献数
52
被引用文献数
2

大脳皮質の動作原理は未解明だ.様々な動作原理の候補が提案されているが,そのうち情報量最大化原理(infomax principle)は皮質の性質のある部分を説明する.本解説では,Linsker(1988)やBell & Sejnowski(1995,1997)の古典的な結果を解説し,筆者らの提案したリカレント情報量最大化原理(recurrent infomax; Tanaka et al., 2009)を紹介する.情報量最大化原理に基づくモデルの発展や応用も述べる.特に,深層学習,reservoir computing,神経回路の学習則との関連を詳述する.
著者
井浦 陽一郎 田中 琢真 中村 清彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.480, pp.37-42, 2013-03-06

人は自らの楽しみ・興味や達成感などに基づき行動する.先行研究はこのような行動を内発的動機づけと呼んで,様々な条件や環境が内発的動機づけに影響を与えることを明らかにした.本研究では被験者が目標を自身で決める「自己決定条件」と他者から決められる「他者決定条件」に分け,さらにそれらそれぞれを褒められる条件と既される条件に分け,4条件とした.これらに目標設定をしない条件を加えた5つの条件で内発的動機付けの変化を調べる実験を行った.ストップウォッチ課題を繰り返し行ったあとの待ち時間に自らその課題に何回取り組んだかを指標とし,内発的動機づけを定量的に測定した.その結果,自己決定一褒め条件は他の条件とは待ち時間の課題の取り組み方が有意に異なり,継続して自発的に課題に取り組むことが分かった.