著者
登田 美桜 畝山 智香子 春日 文子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.55-63, 2014-02-25 (Released:2014-03-04)
参考文献数
11
被引用文献数
5 8

厚労省監修の「全国食中毒事件録」をもとに,昭和36年~平成22年の高等植物による食中毒事例の傾向を分析した.食中毒発生件数の合計は,チョウセンアサガオ類,バイケイソウ類およびトリカブト類で多かった.月別発生件数では4,5月に多いものの,チョウセンアサガオ類など年中発生しているものもあった.主な原因施設は「家庭」であり,多くは患者が自ら原因植物を採取していた.最近10年間に顕著な増加が見られたのは,バイケイソウ類,スイセン,ジャガイモおよびクワズイモであった.近年の主な特徴は,園芸植物による事例が目立つようになったこと,小学校等の授業の一環で採取・調理されたジャガイモによる事例が増加していることである.今後,園芸植物の中にも有毒なものが存在するという消費者向け注意喚起を徹底し,教育現場では教師と子どもが自然毒の危険性への理解を深める取り組みが必要であると考えられた.
著者
登田 美桜 畝山 智香子 豊福 肇 森川 馨
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.105-120, 2012-04-25 (Released:2012-05-19)
参考文献数
15
被引用文献数
14 48

自然毒による食中毒発生リスクを効率的に低減させるためには,過去の発生状況およびリスク因子等に基づく重点的なリスク管理が必要である.本研究では,厚生労働省監修の全国食中毒事件録(平成元年~22年版)の自然毒食中毒事例を基に,わが国における中毒発生の傾向を検討した.平成元年以降の22年間を通じて自然毒食中毒の発生件数に経年的な減少傾向は見られず,発生を低減するために予防のための継続的な取り組みが必要であると考えられた.動物性および植物性いずれの自然毒においても主な原因施設は「家庭」であり,食中毒の発生状況および予防策,対応等について消費者向けの広い啓蒙・広報が重要である.また,食品の国際的な流通拡大や地球温暖化による海水温の上昇に伴い,これまで国内で食中毒が発生していない自然毒への対策も重要である.
著者
登田 美桜 畝山 智香子 豊福 肇 森川 馨
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.105-120, 2012
被引用文献数
48

自然毒による食中毒発生リスクを効率的に低減させるためには,過去の発生状況およびリスク因子等に基づく重点的なリスク管理が必要である.本研究では,厚生労働省監修の全国食中毒事件録(平成元年~22年版)の自然毒食中毒事例を基に,わが国における中毒発生の傾向を検討した.平成元年以降の22年間を通じて自然毒食中毒の発生件数に経年的な減少傾向は見られず,発生を低減するために予防のための継続的な取り組みが必要であると考えられた.動物性および植物性いずれの自然毒においても主な原因施設は「家庭」であり,食中毒の発生状況および予防策,対応等について消費者向けの広い啓蒙・広報が重要である.また,食品の国際的な流通拡大や地球温暖化による海水温の上昇に伴い,これまで国内で食中毒が発生していない自然毒への対策も重要である.
著者
都丸 亜希子 登田 美桜 工藤 由起子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.109-116, 2022-06-25 (Released:2022-07-21)
参考文献数
43

1998年から2020年に国内で発生したヒスタミン食中毒事例の傾向を解析した結果,ヒスタミン食中毒は毎年発生し,1年あたりの平均事例数は9.7件,患者数は195.3名であった.施設別による事例数は,飲食店が最も多く,患者数では給食施設が最も多かった.食中毒の原因となった魚種は,マグロ,カジキおよびサバが主であった.文献情報調査の結果,国内に流通する魚種から単離されたヒスタミン生成菌は,23属であり,最も報告が多かった菌種は腸内細菌科であるMorganella morganiiであった.また,海洋性細菌であるPhotobacterium damselaeの報告も多かったが,低温性のMorganella psychrotoleransやPhotobacterium phosphoreumの報告もみられた.
著者
登田 美桜
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.42, pp.JH-5, 2015

食品安全に関する措置は科学的根拠に基づかなければならないというのが国際ルール(WTO-SPS協定)である。当研究所は我が国の食品安全行政を科学的視点から支援すること(レギュラトリーサイエンス)を業務の一つとしている。<br>食品安全上の問題は、食品中に非意図的に存在する汚染物質(重金属、天然毒素、製造副生成物)や病原微生物・ウイルス、意図的な使用により存在する食品添加物・香料、残留農薬・動物用医薬品、遺伝子組換え食品、欺瞞的な行為による混入物等、その範囲は多岐にわたり、取り組む問題も多種多様である。食品安全行政では、それらの問題に優先順位を付け、リスク評価で得られた科学的根拠に基づき有効と考えられる施策を選択する。リスク評価では、危害要因(ハザード)となる化学物質や病原微生物等の特性、体内動態、毒性、疫学、分析・サンプリング法、汚染分布、食品摂取量、並びに国内外の既存のリスク評価結果など、入手できる多様な科学的情報をもとに総合的に検討した上で結論が出される。その際、迅速性、情報の質(信頼性、妥当性等)の判断能力、様々な分野の専門家が互いの情報や知見をわかりやすく説明しあうコミュニケーション能力が要求される。従って、食品安全のレギュラトリーサイエンスで係わる専門分野や求められる能力は非常に幅広いのが特徴である。<br>現在の所属部は、食品安全上の問題の特定、行政施策の選択及びリスク評価に必要な情報の調査や集約を日常業務としており、一つの専門分野に限定せず物事を包括的に捉える広い視野が求められている。また、各種分野の専門家と情報交換を行う一方、専門家ではない行政担当者に分かりやすく説明する能力はもちろんのこと、一般市民に対しても科学的知見を分かりやすく伝えるという能力も必要となる。本発表では食品安全のレギュラトリーサイエンスとは何か、その従事者に求められることは何かを説明したい。
著者
登田 美桜 畝山 智香子 春日 文子
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.55-63, 2014
被引用文献数
8

厚労省監修の「全国食中毒事件録」をもとに,昭和36年~平成22年の高等植物による食中毒事例の傾向を分析した.食中毒発生件数の合計は,チョウセンアサガオ類,バイケイソウ類およびトリカブト類で多かった.月別発生件数では4,5月に多いものの,チョウセンアサガオ類など年中発生しているものもあった.主な原因施設は「家庭」であり,多くは患者が自ら原因植物を採取していた.最近10年間に顕著な増加が見られたのは,バイケイソウ類,スイセン,ジャガイモおよびクワズイモであった.近年の主な特徴は,園芸植物による事例が目立つようになったこと,小学校等の授業の一環で採取・調理されたジャガイモによる事例が増加していることである.今後,園芸植物の中にも有毒なものが存在するという消費者向け注意喚起を徹底し,教育現場では教師と子どもが自然毒の危険性への理解を深める取り組みが必要であると考えられた.