著者
白波瀬 達也
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.25-49, 2007-06-09 (Released:2017-07-18)
被引用文献数
2

本稿は野宿者が集住する最下層地域、釜ヶ崎において顕著にみられるキリスト教の「ホームレス伝道」とその受容状況について考察する。日雇労働者の街として知られる釜ヶ崎は、1960年代後半から1990年代初頭にかけて、労働運動が大きな影響力をもっており、キリスト教の直接的な伝道が困難な状況にあった。1990年代中頃に釜ヶ崎は大量の野宿者を生むようになるが、それに伴って労働運動の規制力が弛緩し、1990年代後半にホームレス伝道が急増するようになった。現在、10の教会/団体が食事の提供を伴った「伝道集会」を開催するようになり、多くの野宿者が参加しているが、実際に洗礼を受け、特定の教会にコミットメントをもつようになる者は極めて少ない。宗教と社会階層の関係に着目したこれまでの研究では、社会移動の激しい最下層の人々は特定の宗教シンボルとの関係がランダムあるいは希薄だとする議論が一般的であったが、本稿はこの理論的前提を具体的なフィールドデータから検証し、最下層の人々に特徴的な信仰と所属の様態を把握する。
著者
白波瀬 達也
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.51-64, 2017

<p>第二次世界大戦が終わるまで,Faith-Based Organization(FBO:信仰に基づく組織)は日本の社会福祉領域において大きな役割を果たしてきた.第二次</p><p>世界大戦後,社会福祉は国家責任となった.それによって,日本の宗教組織は社会福祉領域から排除されがちになった.</p><p>しかしながら,福祉国家の危機を背景に社会福祉における国家の役割は大きく変わってきた.こうした文脈においてFBO は社会福祉領域への再参入し始めるようになっている.</p><p>特にホームレス問題など,新しい社会問題において大きな存在感を持っている.ホームレス支援をする際に布教を積極的におこなう組織がある一方で,</p><p>両者を明確に切り分けて活動をおこなう組織もある.</p><p>本稿ではホームレスを支援するFBO に焦点を当て,それらの活動の社会的役割を筆者が考案した4 象限マトリックスを用いて説明する.</p>
著者
白波瀬 達也
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.51-64, 2017-05-31 (Released:2019-06-20)
参考文献数
13

第二次世界大戦が終わるまで,Faith-Based Organization(FBO:信仰に基づく組織)は日本の社会福祉領域において大きな役割を果たしてきた.第二次世界大戦後,社会福祉は国家責任となった.それによって,日本の宗教組織は社会福祉領域から排除されがちになった.しかしながら,福祉国家の危機を背景に社会福祉における国家の役割は大きく変わってきた.こうした文脈においてFBO は社会福祉領域への再参入し始めるようになっている.特にホームレス問題など,新しい社会問題において大きな存在感を持っている.ホームレス支援をする際に布教を積極的におこなう組織がある一方で,両者を明確に切り分けて活動をおこなう組織もある.本稿ではホームレスを支援するFBO に焦点を当て,それらの活動の社会的役割を筆者が考案した4 象限マトリックスを用いて説明する.
著者
白波瀬 達也 シラハセ タツヤ Shirahase Tatsuya
出版者
「宗教と社会貢献」研究会
雑誌
宗教と社会貢献 (ISSN:21856869)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.41-58, 2012-10

本稿はプロミスキーパーズという名称のキリスト教系ホームレス支援NPOのケーススタディを通して日本のFaith-Related Organization の志向性に焦点をあてる。プロミスキーパーズは活動開始当初、教会としてホームレス支援をしていたが、活動のための資源を多元化するためにNPO となった。そうすることで、プロミスキーパーズはホームレスに対して様々な支援を提供することが可能となり、沖縄で最も信頼されるホームレス支援組織となった。プロミスキーパーズは内部の結束力の強い教会を基盤にしながら、外部に開かれたNPOとして活動している。すなわち、プロミスキーパーズは結束型ソーシャル・キャピタルと橋渡し型ソーシャル・キャピタルの双方を内在させているのである。近年、「宗教の社会貢献」が社会的に学問的に要求されているが、本稿の事例は宗教の新たな社会参加のモデルを考察する一助となるだろう。
著者
白波瀬 達也 Shirahase Tatsuya シラハセ タツヤ
出版者
「宗教と社会貢献」研究会
雑誌
宗教と社会貢献 (ISSN:21856869)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.41-58, 2012-10

本稿はプロミスキーパーズという名称のキリスト教系ホームレス支援NPOのケーススタディを通して日本のFaith-Related Organization の志向性に焦点をあてる。プロミスキーパーズは活動開始当初、教会としてホームレス支援をしていたが、活動のための資源を多元化するためにNPO となった。そうすることで、プロミスキーパーズはホームレスに対して様々な支援を提供することが可能となり、沖縄で最も信頼されるホームレス支援組織となった。プロミスキーパーズは内部の結束力の強い教会を基盤にしながら、外部に開かれたNPOとして活動している。すなわち、プロミスキーパーズは結束型ソーシャル・キャピタルと橋渡し型ソーシャル・キャピタルの双方を内在させているのである。近年、「宗教の社会貢献」が社会的に学問的に要求されているが、本稿の事例は宗教の新たな社会参加のモデルを考察する一助となるだろう。
著者
白波瀬 達也
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
no.13, pp.25-49, 2007-06-09

本稿は野宿者が集住する最下層地域、釜ヶ崎において顕著にみられるキリスト教の「ホームレス伝道」とその受容状況について考察する。日雇労働者の街として知られる釜ヶ崎は、1960年代後半から1990年代初頭にかけて、労働運動が大きな影響力をもっており、キリスト教の直接的な伝道が困難な状況にあった。1990年代中頃に釜ヶ崎は大量の野宿者を生むようになるが、それに伴って労働運動の規制力が弛緩し、1990年代後半にホームレス伝道が急増するようになった。現在、10の教会/団体が食事の提供を伴った「伝道集会」を開催するようになり、多くの野宿者が参加しているが、実際に洗礼を受け、特定の教会にコミットメントをもつようになる者は極めて少ない。宗教と社会階層の関係に着目したこれまでの研究では、社会移動の激しい最下層の人々は特定の宗教シンボルとの関係がランダムあるいは希薄だとする議論が一般的であったが、本稿はこの理論的前提を具体的なフィールドデータから検証し、最下層の人々に特徴的な信仰と所属の様態を把握する。
著者
白波瀬 達也
出版者
「宗教と社会貢献」研究会
雑誌
宗教と社会貢献 (ISSN:21856869)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.55-63, 2013-10

日本カトリック司教協議会 社会司教教育員会編『なぜ教会は社会問題にかかわるのかQ&A』 カトリック中央協議会、 2012年2月、 B6判、 143頁、 630円(税込)