著者
河野 純大 三好 茂樹 西岡 知之 加藤 伸子 村上 裕史 内藤 一郎 皆川 洋喜 白澤 麻弓 石原 保志 小林 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.751, pp.57-60, 2005-03-18
被引用文献数
24

筑波技術短期大学(以下本学)が開発した遠隔地リアルタイム字幕提示システムは、テレビ放送の字幕や学会や式典、講義での情報保障などに数多く用いられている。聴覚障害学生が学ぶ本学聴覚部においても、これまでに非常勤講師が担当する一般教養科目の情報保障に用いられてきた。本研究では専門性の高い講義への同システムによる支援を目指して、非常勤講師が担当する情報工学の専門科目の講義に試験的に情報保障を行った結果について、話速や音声から文節への変換率、一般教養科目の場合との対比などを報告し、専門性の高い講義への同システムによる遠隔地情報支援を円滑に行うために必要な条件などについて考察する。
著者
三好 茂樹 河野 純大 西岡 知之 加藤 伸子 白澤 麻弓 村上 裕史 皆川 洋喜 石原 保志 内藤 一郎 若月 大輔 黒木 速人 小林 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.9, pp.2236-2246, 2008-09-01
被引用文献数
14

近年,高等教育機関へ進学する聴覚障害学生が増加している.講義中,講師等の発話内容を正確に知らせるために手話通訳やリアルタイム字幕などの情報保障は,それらの学生にとって必要不可欠である.我々は,聴覚障害者のための遠隔地から支援が可能なリアルタイム字幕提示システムを開発している.特殊なキーボードを用いて文字入力を行う速記タイピストがこのシステムを利用することによって遠隔地からリアルタイムに講師の発話内容を字幕化して聴覚障害学生のいる教室へ送り,講義の支援を実施できるようになる.しかしながら,情報科学等の専門性の高い講義内容を正確にリアルタイムで字幕化することには,専門的な知識,特に専門用語の問題があり困難を伴う.そこで本研究では,1台のDVカメラで撮影される講義室側のビデオ映像を数種類用意し,それらの映像を遠隔地にいる字幕作成中の速記タイピストへ提示した.その結果,速記タイピストにとって発話者である講師及び視覚的な提示資料(マイクロソフト社製パワーポイント資料や板書)を含むビデオ映像が,字幕作成者から最も望まれる映像情報であることが分かった.
著者
吉田 未来 磯田 恭子 白澤 麻弓 萩原 彩子 中島 亜紀子 石野 麻衣子 関戸 美音 三好 茂樹 河野 純大
出版者
筑波技術大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
筑波技術大学テクノレポート (ISSN:24354856)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.29-35, 2020-12

筑波技術大学に事務局を置く,日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(以下,PEPNet-Japan)では年に3回,運営委員会を開催している。2020年度,第1回目となる「第41回運営委員会」は新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で,オンライン会議での開催となり,情報保障も遠隔で行うこととなった。本稿ではこうした実践を元にオンライン会議実施時の情報保障事例について報告する。
著者
中島 亜紀子 白澤 麻弓 萩原 彩子 磯田 恭子 石野 麻衣子 吉田 未来 関戸 美音 三好 茂樹 河野 純大
出版者
筑波技術大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
筑波技術大学テクノレポート (ISSN:24354856)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-6, 2020-12

新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として,2020 年度から全国の多くの大学等高等教 育機関でオンライン授業が導入されたことに伴い,聴覚障害学生の授業参加における合理的配慮のあり方や情報保障支援の方法に大きな変化が生じた。本学障害者高等教育研究支援センターでは,2020年度4月以降,全国の高等教育機関における聴覚障害学生支援の総合的相談窓口として,オ ンライン授業に関わる情報保障支援や支援体制についての相談に対応してきた。本稿では,2020年度 4 月から9月における,聴覚障害学生支援に関わる相談対応の状況,及び支援に関する新たなコンテンツをまとめ,発信に取り組んできた活動状況について報告する。
著者
三好 茂樹 河野 純大 白澤 麻弓 磯田 恭子 蓮池 通子 小林 正幸 小笠原 恵美子 梅原 みどり 金澤 貴之 中野 聡子 伊福部 達
出版者
The Society of Life Support Engineering
雑誌
ライフサポート = / the Society of Life Support Technology [編] (ISSN:13419455)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.146-151, 2010-12-30
参考文献数
7
被引用文献数
1 4

Deaf or hard-of-hearing people need support services such as real-time captioning. It is fairly common for captionists to be unable to perform captioning services. In order to address this problem, we proposed a Mobile-type Remote-captioning System. The main characteristic of our system is to use two functions of one mobile phone (e.g. the iPhone 3G/3GS, Apple Computer, Inc.) at the same time. The two functions are to display the captions input by the captionists (data communications) and to call the captionists to transmit the speaker's speech to the captionists (telephone call). The purpose of our research was to make clear the differences with the existing system, and to discover the advantages and faults of our system. In this study, we investigated these issues using a questionnaire for captionists who had used our system. As a result, we found that our system is suitable for a situation in which the speaker and the deaf or hard-of-hearing person are communicating while walking together (e.g. excursions, plant tours), whether indoors or outdoors. In addition, it reduces the stress that can be caused to deaf or hard-of-hearing children by having adults (captionists) other than teachers in the classroom.
著者
白澤 麻弓 斉藤 佐和
出版者
筑波大学心身障害学系
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.197-209, 2001-03

手話通訳に関する研究の多くは、通訳の結果、つまり手話の特徴や受け手の反応を研究対象としてきた。本研究では、手話通訳の過程に焦点をあて、音声同時通訳における研究と対比しながら、手話通訳中に行われている作業について文献的に考察した。この結果、手話通訳においても、言い換えや付加などの作業や、日本語から手話へ翻訳する際の処理単位の違いといった音声同時通訳に類似した特徴が指摘され、同様の手法を用いて研究ができることが推察された。しかしながら、日本語対応手話の存在や空間モダリティーの活用といった手話独自の特徴については未だ十分な研究が行われておらず、こうした特徴を視野に入れた研究の必要性が示唆された。
著者
黒木 速人 三好 茂樹 白澤 麻弓
出版者
筑波技術大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
国立大学法人筑波技術大学テクノレポート (ISSN:18818587)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.181-185, 2008

日本聴覚障害学生支援ネットワーク(PEPNet-Japan)では、アメリカ視察を年1回ほど実施している。アメリカではADA法が整備されていることからも聴覚障害学生支援が盛んであり、支援体制や機器導入に関して色々と参考になる点が多いためである。今回は、先端技術を用いた支援方法を知る目的で視察を企画した。視察を行った地域は最北東部に位置するMaine州であり、この地域は地理的・歴史的な背景から、遠隔による支援が盛んな地域である。本報告では、文字通訳・字幕に関連する内容を取り上げて報告を行う。
著者
小林 正幸 石原 保志 三好 茂樹 白澤 麻弓
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

発話内容をリアルタイムで速記用キーボードに入力することで、受講者の漢字の読み能力に応じた難読な漢字のみにルビを自動的に付加して字幕を提示する学年別ルビ付きリアルタイム字幕提示システムを開発した。学年別ルビ付き字幕は小学1年~6年、中学、高校の学年に対応し、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ワンセグや地デジ生字幕放送にも提示可能で、聴覚障害者用の情報支援として利用できる。