著者
相澤 寛史
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.131-145, 2003-03-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
48
被引用文献数
3 3

本研究では, 相手との対人関係から得られる成果と, 相手以外の関係からの成果, 相手への投資によって対人関係が維持されるとする投資モデルの精緻化を検討した。大学生 (N=414) の同性友人関係について1) 投資モデルにないが衡平理論の概念である怒りや罪悪感という感情も含めてコミットメントへの影響を調べた結果, コミットメントへは満足が大きな影響を与えていた。関係が続くか否かはその関係への満足により大きな影響を受けており, 投資モデルの概念のみでコミットメントの説明は十分であった。2) さらに我々の成果・相手の成果を用い, 成果概念を詳細に検討した。モデル中の対人関係より得られる成果を我々の成果・相手の成果と置き換えて共分散構造分析を行った。また, 同時に親密さごとについても分析を行った。その結果, 親密さが低くなるほど相手の成果を重視する傾向が見られた。怒りを除く全ての社会的交換変数及び罪悪感は親密になるにつれ大きくなった。投資の影響は少なく, 女性では親密になればなるほど投資がコミットメントを下げる (関係を崩壊する) 方向に働く傾向が見られた。全般的に投資モデルの変数から投資を除いた方がモデルの適合が良くなる傾向を示した。