著者
矢部 朋子 三石 剛 川名 誠司
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.114, no.7, pp.1271-1275, 2004

1999年から2003年の間に当科を受診したヒトパルボウイルスB19(human parvovirus B19,以下HPVB 19)感染患者67例について,臨床症状,合併症,妊婦が感染した場合の胎児への影響について検討した.患者は0歳から60歳で,30歳代の女性が最も多かった.患者数は2001年に多く,月別に比較すると,6月に多かった.また,主な臨床症状について小児と成人における出現率を比較したところ,顔面,四肢の紅斑は小児に多く,手足の浮腫,関節痛が成人に多くみられた.皮疹の性状には,成人,小児ともに典型的な顔面の平手打ち様の紅斑や四肢のレース状の紅斑以外に躯幹,四肢の点状紅斑があった.また小児では顔面,躯幹,四肢の点状出血があった.HPVB19に感染した成人女性35例中妊婦は14例で,そのうち2例(14.3%)は妊娠の経過に異常を来たし,1例は子宮内胎児死亡,もう1例は切迫早産であった.妊婦にHPVB19が感染した場合は慎重な対応が必要と考えた.