著者
石塚 洋一 近藤 悠希 山川 枝里子 薬師神 壮 前田 記代子 辻口 憲司 丸山 徹 森内 宏志 入倉 充 入江 徹美
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.274-280, 2008 (Released:2009-09-04)
参考文献数
8

As ambiguous package descriptions occasionally cause medication errors,measures against this should be taken to help ensure that medicines are used properly.An example is Speel plaster® M,a salicylic acid adhesive plaster,which is used for the treatment of dermal diseases with keratosis.It is supposed to be attached to the diseased skin in a size the same as that of the affected area or smaller than it,in order to prevent the normal skin surrounding the affected area from being irritated and/or being detached.However,we found that some patients covered an area larger than the affected area with the plaster.This may be due to misunderstanding of a Japanese expression in the package description.The expression is “Kanbu-dai”which means the same size as the affected area but some patients take“dai”to mean large making them think that the size should be larger.In a questionnaire given to 180 pharmacy school students,65.6% answered that the proper use of the plaster was to apply it in a size larger than the affected area,since they had misunderstood the meaning of the expression“Kanbu-dai”.This misunderstanding seemed to be connected with the fact that they had not used the plaster before.We therefore devised a user-friendly package with an explanation to patients using illustrations to help ensure that the plaster is used properly.
著者
内海 紗良 前田 圭介 久保田 丈太 中谷 咲良 原田 義彦 成田 勇樹 猿渡 淳二 近藤 悠希 石塚 洋一 入江 徹美 門脇 大介 平田 純生
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.3-10, 2021 (Released:2021-08-17)
参考文献数
21

日本では、血清クレアチニン(SCr)値を用いたCockcroft-Gault式による推算クレアチニンクリアランス(eCCr)や日本人向け推算糸球体濾過量(eGFRcr)によって腎機能が推算されるが、筋肉量の減少に伴うSCr値の低下により腎機能が過大評価されてしまう恐れがある。これを防ぐため臨床現場ではSCr値が0.6 mg/dL未満の患者に、SCr=0.6 mg/dLを代入して補正するround up法が汎用される。ところが、このround up法により腎機能推算の予測性が向上したといった報告は少なく、科学的根拠は乏しい状況である。本研究では、SCr=0.6 mg/dLへのround up法の妥当性を評価した。2017年5月から2017年8月に玉名地域医療保健センターに入院していた65歳以上でSCr値が 0.6 mg/dL未満のサルコペニア患者11名を対象に、後ろ向き解析を行った。酵素法により測定したSCr値を用いたeCCrおよびeGFRcrと、SCr=0.6 mg/dLにround upしたeCCr(round up)およびeGFRcr(round up)のそれぞれの値を、24時間蓄尿法で求めたCCr(mCCr)およびmCCr×0.715で換算したmodified GFRを基準値として比較した。相関・回帰分析、Bland-Altman分析および誤差指標から、eCCr(round up)値はeCCr値よりも腎機能を過小評価する傾向があった。eGFRcr値は腎機能を顕著に過大評価し、eGFRcr(round up)値は過大評価が軽減されるが、依然として過大評価傾向にあった。今回の検討からは、eCCr値およびeGFRcr値のどちらの推算式においてもround upの妥当性は示されなかった。このことから筋肉量が減少したサルコペニア患者においては、SCr値をround upすることは適切ではなく、むやみにround upを行うことは避けるべきである。
著者
杉原 直樹 高柳 篤史 石塚 洋一 佐藤 涼一 鈴木 誠太郎 小野瀬 祐紀 今井 光枝 江口 貴子
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.66-72, 2020 (Released:2020-05-15)
参考文献数
26

顆粒配合歯磨剤の市販が開始されて,30年以上が経過しているが,その効果をランダム化比較試験を用いて調べた報告はほとんどなく,現状でその効果が明らかになっているとはいえない.本研究の目的は,顆粒配合歯磨剤の歯垢除去効果および歯周組織への影響を検討することである.対象者は歯周病メインテナンスのために歯科医院に通院している患者であり,研究デザインはランダム化二重盲検クロスオーバー試験である.顆粒配合歯磨剤と顆粒非配合歯磨剤を1か月のウォッシュアウト期間をはさんでそれぞれ3か月間使用し,各歯磨剤の使用開始時と終了時に,同一の歯科医師による検診を行った.PCR値と隣接部位のQHI値の変化は,顆粒配合歯磨剤を使用した場合に有意な改善が認められた.歯周組織の状態,歯肉出血の状況,および歯周ポケットの深さについては有意な差は認められなかったが,顆粒配合歯磨剤を使用した後すべての検診項目の値の改善が認められた.また,クロスオーバー試験における持ち越し効果は認められなかった.なお,顆粒配合歯磨剤使用後に顆粒状物質が残存したのは1名1歯であり,特に炎症,悪化などは認められなかった.顆粒配合歯磨剤は顆粒非配合歯磨剤よりも歯口清掃効果が高かった.しかしながら,歯周組織に対する影響においては顆粒非配合歯磨剤との差は認められなかった.
著者
福田 早紀子 吉永 健 平田 奈穂美 石塚 洋一 入倉 充 入江 徹美 興梠 博次
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.1521-1529, 2009-11-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
17
被引用文献数
3

【目的】気管支喘息の薬物治療には,吸入薬が多く使用されている.しかしながら,不適切な操作やアドヒアランスの不良により,症状の改善につながらない場合もあるために,吸入治療には適正操作を習得できるように吸入指導が必須である.そこで,我々は,従来行っていた吸入指導よりも効果的な吸入指導方法を立案し,その有用性について検討した.【方法】2008年4月から8月の5ヵ月間に,熊本中央病院呼吸器科を外来受診した気管支喘息患者で,保険薬局に吸入薬を含む処方箋を持参した患者28名を対象とし,薬局で手技実演および視覚的ツールを活用した新たな吸入個別指導方法を導入し,操作改善について評価した.さらに,19名については,喘息コントロールテスト(Asthma Control Test:ACT)を用いて治療効果を評価した.【結果】保険薬局での新たな吸入個別指導法の導入によって,吸入操作が適切でなかった20例において,不適正操作項目の有意な改善がみられた.さらに,対象者のうち19名においては,ACTスコアの有意な上昇(19.1から21.4)が得られ,症状の改善が証明された.【結論】喘息治療に対して保険薬局における吸入手技実演および視覚的効果を生かした吸入個別指導の有用性が確認された.さらに,病院・薬局間での連携(病薬連携)が治療向上につながったと考える.
著者
小島 千絵 平石 光俊 石塚 洋一
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.185-190, 2003-02-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1

私共は当科初診時に難治性で, かつ咽頭以外にも口内炎や潰瘍が認められた症例で, その後に突然の下血を起こし, クローン病と診断しえた2症例を経験した.今回の症例は, 2症例ともに口内炎ならびに喉頭の白苔と咽頭潰瘍が消化器症状に先行して出現していた.これらの事より, 耳鼻咽喉科に受診するアフタ性口内炎や咽頭潰瘍に関して, 喉頭の所見や消化器症状などにも留意し, 便秘や軟便, 下血などの有無を確認し, クローン病の可能性も念頭におきながら経過観察が必要と考えられた.
著者
平石 光俊 石塚 洋一 曽根 一倫 千葉 良子
出版者
Society of Oto-rhino-laryngology Tokyo
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.9-13, 2004

ジェット式ネブライザー装置より噴霧された, 芳香剤添加ネブライザー溶液中の塩酸セブメノキシムの安定性について検討した。芳香剤はハッカ油, ストロベリーエッセンス, バニラエッセンスを用いた。噴霧気体中の塩酸セブメノキシム, マウスピースに付着した塩酸セブメノキシム, 薬液槽中に残存した塩酸セブメノキシムの残存率と力価について, 芳香剤添加ネブライザー溶液と芳香剤を添加しないネブライザー溶液を比較検討した。いずれの実験において, 各々の芳香剤を添加したものは残存率, 力価の両面において, 芳香剤を添加しないものとほとんど差がなかった。ネブライザー溶液に芳香剤を添加しても, 塩酸セブメノキシムの噴霧に影響を与えないものと考えられる。
著者
中井 義明 大橋 淑宏 江崎 裕介 石塚 洋一 松下 隆 伊藤 博隆 馬場 駿吉 平川 勝洋 原田 康夫 菊屋 義則 岡崎 英登 黒川 道徳 二宮 優子 村上 譲 伊東 一則 深水 浩三 大山 勝 松根 彰志 飯田 冨美子 小川 敬 大堀 八洲一 花田 武浩
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.33, no.Supplement5, pp.655-673, 1990-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

漢方製剤である麻黄附子細辛湯の通年性鼻アレルギーに対する効果を検討した。漢方の古典の記載に忠実に基づいた製法により得られたエキスを含む細粒剤と, それまでの経験に基づいた製法により得られたエキスを含む散剤の比較試験を実施した。有効率 (著効+有効) は散剤投与群で63.5%, 細粒投与群で76.7%と, 両群とも良好な結果であり, 統計学的に差は認められなかった。各症状の改善率において, 細粒投与群が散剤投与群より鼻汁, 鼻閉症状に高い効果を示したが, 統計学的な差は認められなかった。細粒剤といわゆる抗アレルギー剤の有効率を比較すると, くしゃみ発作および鼻汁は同程度の効果が, 鼻閉については優る効果であったと考えられる。副作用については, 散剤投与群で6.2%, 細粒剤投与群で5.1%の症例に認められたが, いずれも症状は軽微であり, また臨床検査値にもなんら異常は与えなかった。
著者
丸山 加名 近藤 悠希 山門 慎一郎 加治屋 忠一 山本 健 古川 綾 石塚 洋一 岩元 正義 山本 美智子 入江 徹美
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.99-108, 2021-08-31 (Released:2021-09-25)
参考文献数
12

Objectives: It is important for patients to make correct use of drug information (DI) to promote the proper use of medicines. Many patients use the Internet to find DI, but awareness about the websites of public institutions that provide DI is low. This study aimed to identify the actual use of the Internet for DI and associated problems to inform development of a comprehensive DI website for patients.Method: Patients with diabetes were set as a model case for patients who take medicines and need DI. A questionnaire survey was conducted among patients with diabetes who visited community pharmacies in Kagoshima City from March 2019 to October 2019. The survey covered Internet use, DI needs, methods of sourcing DI, and problems obtaining DI via the Internet.Results: There were 349 valid respondents (median age 64 years), of which 52.1% used the Internet at least once a week. Around half of the Internet users searched for DI on the Internet. More than half of these respondents chose a DI acquisition site because it “appeared at the top of search results” and was “easy to understand.” However, around half of these respondents felt that “there is too much information on the internet and I don’t know what is correct.”Conclusion: This study suggests that older patients with a long history of diabetes use the Internet to obtain DI. However, patients face various problems accessing DI via the Internet. It may be necessary to construct a comprehensive website that is easy to use and enhance public health literacy to support the proper use of medicines by patients.
著者
西村 博之 江口 朝子 池田 亜須香 井島 廣子 川口 はるみ 橋口 和子 石塚 洋一 陣内 秀昭 陣内 冨男
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.217-221, 2007 (Released:2009-05-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

インスリン自己注射によるlipohypertrophy(以下,LH)は,限局した部位への皮下注射により形成され,インスリンの吸収障害の一因になる事が懸念される.LH形成は臍の両側に多く観察されることを経験するが,実際にどの部位にLHが好発するのか,またその原因については明らかでない.そこでLH形成部位と自己注射部位の関連を調べる目的で,患者対象の調査を実施した結果,腹部でのLH形成は臍の横とななめ下に多かった.この理由として,同部位が手技的に自己注射しやすいだけでなく腹部でも穿刺時痛の少ない部位のため限局して注射している可能性を考え,次に健常者対象の腹部部位別の穿刺時痛比較試験を実施した結果,臍の横とななめ下で穿刺時痛が少ないことがわかった.これらの結果より,腹部でのLH形成は臍の横とななめ下が多く,その理由として穿刺時痛の少ない部位を無意識に選択して注射していることが一因と考えられた.
著者
石塚 洋一 坂田 英明 上房 啓祐 設楽 仁一
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement1, pp.45-50, 1994-08-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
13

いびきの治療に点鼻用噴霧剤であるEN028を用い, その治療効果を検討した。いびきを主訴に来院した23-68歳までの男性25名, 女性11名, 合計36名を対象に, 本剤を就寝前に各鼻孔に2-4回ずつ噴霧させた。総合効果判定では, 著効1名, 有効12名, やや有効9名, 無効14名で, 有効以上の有効率は36.1%, やや有効以上の有効率は61.1%であった。50歳以上18名の有効以上は9名 (50%) で, 高齢者に有効症例が多くみられた。副作用は1例もなく, EN028はいびき治療に有用と思われた。
著者
石塚 洋一 山本 邦夫 今村 祐佳子
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement2, pp.156-161, 1996-08-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

エアロゾル療法は, 局所や全身にあたえる影響は少ないが, ネビュライザー療法として用いた場合, 下気道にもエアロゾル粒子が沈着することを念頭においた使用が望まれる。これは, エアロゾル粒子が, 上気道よりも下気道に障害をあたえる可能性が高いからである。日常生活でも, 様々なスプレー製品を用いる機会がある。これらの製品の中には, エアロゾル粒子の下気道障害性が強いものもあり注意を要する。防水スプレーは死亡事故が出ており, これはフッ素樹脂の吸入毒性により, 間質性肺炎や肺水腫を起こしたものと考えられる。この他にも, ヘアスプレー, 静電気防止スプレー, 殺虫剤スプレーなどの中毒が報告されている。
著者
奥田 稔 深谷 卓 小林 恵子 伊藤 依子 調所 廣之 設楽 哲也 八尾 和雄 小川 浩司 橋口 一弘 佐伯 哲郎 山越 隆行 濱田 はつみ 川崎 和子 石井 豊太 鳥山 稔 増田 哲也 杉山 博 川端 五十鈴 川島 佳代子 八木 昌人 田部 浩生 岡村 浩一郎 木場 玲子 斉藤 晶 安藤 一郎 野村 恭也 吉見 健二郎 窪田 哲明 大谷 尚志 波多野 吟哉 竹山 勇 上杉 恵介 林崎 勝武 鈴木 淳一 澤木 誠司 石塚 洋一 古屋 信彦 安達 忠治 坂井 真 新川 敦 小林 良弘 佐藤 むつみ 山崎 充代 斎藤 洋三 舩坂 宗太郎 斉藤 啓光 石井 正則 浅井 和康 森山 寛 遠藤 朝彦 小林 毅 関 博之 林 成彦 石井 哲夫 窪田 市世 水谷 陽江 荒 牧元 大竹 守 北嶋 整 上田 範子 山口 宏也 牛嶋 達次郎 坊野 馨二 菊地 茂 佐橋 紀男 臼井 信郎 原 俊彰 宮川 晃一 田中 康夫 喜友名 朝盛 井上 庸夫 八木 聰明 大久保 公裕 服部 康夫 町野 満 大塚 博邦 稲葉 真 島田 早苗 添野 眞一 星 慎一 頼 徳成 大橋 和史 村山 貢司 飯塚 啓介 市川 朝也 冨田 寛 小山 明 山内 由紀 渡辺 健一 佐藤 かおる 山田 久美子 木田 亮紀 牧山 清 亀谷 隆一 藤田 洋祐 井上 鐵三 田村 悦代 野原 理 阿部 和也 水野 信一 岩崎 真一 小川 裕 加賀 達美
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.797-816, 1995-06-01
被引用文献数
6 3

To evaluate the effectiveness, safety and utility of Emedastine difumarate (ED) in the treatment of Japanese cedar pollinosis, a multicentered, double-blind comparative study was performed in 290 patients in 1994.<br>Patients with Japanese cedar pollinosis were divided into two groups; the first group was treated with ED at a dose of 4mg/day starting two weeks before the season and continuing for the whole season. The second group was given an inactive placebo instead of ED during the pre-season and the early portion of the season and then replaced with ED during the later portion of the season.<br>As a result, the final improvement rate was significantly higher in the first group than that in the second group.<br>All subjective symptoms such as sneezing, nasal discharge, nasal obstruction and eye itching were suppressed due to ED treatment.<br>In conclusion, it was better to continuously administer ED to patients with pollinosis from the preseasonal period till the end of the season.<br>However, when the ED treatment was started in the midseason, the outcome was good, although less satisfactory than the outcome of continuous treatment given throughout the entire pollen season.