著者
蒲生 郷昭 石川 陸郎 加藤 寛 樋口 昭 中里 寿克 高桑 いづみ 久保 智康 阪田 宗彦 浅井 和春 上参郷 祐康
出版者
東京国立文化財研究所
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1993

1.実地調査初年度に調査できなかった石上神宮(天理市)蔵の鼓胴5点と鞨鼓、厳島神社(広島県宮島町)蔵の鶏婁鼓と振鼓、朝護孫子寺(奈良県平群町)蔵の二ノ鼓と三ノ鼓と鶏婁鼓、丹生都比売神社蔵和歌山県立博物館(和歌山市)寄託の鼓胴3点、東京国立博物館蔵の壱鼓と二ノ鼓、神谷神社(坂出市)蔵の鼓胴、福岡市美術館蔵の鼓胴、紀州徳川家旧蔵国立歴史民俗博物館現蔵の壱鼓と鞨鼓、国立音楽大学楽器学資料館蔵の三ノ鼓、鞨鼓の調査を行った。調査内容は初年度と同じで、熟覧、計測、写真撮影、X線写真撮影などである。2.研究初年度の調査と併せて、合計21機関が所蔵する57点の雅楽打楽器を調査することができた。その結果と文献資料にもとづき、音楽学の側面からは、楽器ごとに歴史、名称、用法などを考察した。そして、とくに壱鼓、二ノ鼓、三ノ鼓をめぐっては、その名称と規格の関係についての定説に問題があることが分かった。美術史学の側面からは、品質、形状・製作技法、保存状態、などを明らかにし、製作時期を推定した。3.研究成果報告書の編集と刊行報告書刊行のために、計測結果を法量表としてまとめ、楽器1点ごとのセクション図または見取り図を作成した。さらに美術的所見と、楽器の種類ごとの音楽的考察をまとめた。その結果は、B5判164ページの報告書となった。