著者
大淵 憲一 石毛 博 山入端 津由 井上 和子
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.1-12, 1985 (Released:2019-03-30)
参考文献数
13
被引用文献数
2

レイプを合理化する誤った信念をレイプ神話と呼ぶが,本稿では特に,被害者である女性の側の条件を強調した4種類のレイプ神話を取り上げ,質問紙によってその測定を試みた。取り上げられたレイプ神話は,女性の暴力的性の容認,女性の潜在的被強姦願望,女性のスキ,それに女性による強姦のねつ造,である。まず研究1において,大学生男女の比較を行なったところ,レイプ神話が予想通り女性より男性によって強く支持され,これが女性の性行動に関する誤った見解に基づくことを示した。研究2では,性犯罪者にこの質問紙を施行して性犯罪とレイプ神話の関係を検討した。その結果,性犯罪者は,一般犯罪者や大学生に比べて,女性が被強姦願望を持っていると信ずる傾向が強かった。この結果の解釈としては次の3点が提起された。(1)レイプ神話がレイピストの女性に対する支配欲求を喚起して,レイプを動機づける;(2)多くの男性においては,女性への暴力に対しては内的抑制が働いているが,レイプ神話はその抑制を中和して,女性に対する暴力を実行させやすくする;(3)犯行時において,被害女性が性的強制を受け入れてくれるものと,レイピストに誤った知覚をさせる。
著者
大淵 憲一 石毛 博 山入端 津由 井上 和子
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.1-12, 1985

<p>レイプを合理化する誤った信念をレイプ神話と呼ぶが,本稿では特に,被害者である女性の側の条件を強調した4種類のレイプ神話を取り上げ,質問紙によってその測定を試みた。取り上げられたレイプ神話は,女性の暴力的性の容認,女性の潜在的被強姦願望,女性のスキ,それに女性による強姦のねつ造,である。まず研究1において,大学生男女の比較を行なったところ,レイプ神話が予想通り女性より男性によって強く支持され,これが女性の性行動に関する誤った見解に基づくことを示した。研究2では,性犯罪者にこの質問紙を施行して性犯罪とレイプ神話の関係を検討した。その結果,性犯罪者は,一般犯罪者や大学生に比べて,女性が被強姦願望を持っていると信ずる傾向が強かった。この結果の解釈としては次の3点が提起された。(1)レイプ神話がレイピストの女性に対する支配欲求を喚起して,レイプを動機づける;(2)多くの男性においては,女性への暴力に対しては内的抑制が働いているが,レイプ神話はその抑制を中和して,女性に対する暴力を実行させやすくする;(3)犯行時において,被害女性が性的強制を受け入れてくれるものと,レイピストに誤った知覚をさせる。</p>
著者
石毛 博 糟谷 光昭
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.31-37, 1991

<p>交通短期保護観察対象者の交通非行歴を,数量化3類及びクラスター分析によって分類したところ,速度違反及び物損事故,その他の違反及び人身事故,無免許運転及び暴走行為,並びに飲酒運転の4グループに別れた。</p><p>各群の特徴を把握するため,運転態度検査とSensation Seeking Scaleを実施した。</p><p>一般的な交通違反や交通事故を起こす群には安全配慮不足運転態度が指摘され,無免許運転・暴走経験群には低年齢少年が多かった。</p><p>交通非行群は男子大学生に比べて,スリルや危険を伴う活動は好まない半面,社会的抑制を無視して自由な欲望充足を図ろうとする特性が高かった。飲酒運転経験群は,新しい経験を求める特性は低い半面,社会的抑制を無視して自由な欲望充足を図ろうとする特性が高かった。</p>
著者
石毛 博
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.35-50, 1985
被引用文献数
1

<p>The number of stimulant(methamphetamine) abusers in our country is on a continuous increase now and this tendency is one of our serious social problems.</p><p>There are two purposes in this study; One is to clarify the traits of stimulant-dependent prisoners and another is to understand the psycho-social factors of stimulant dependence.</p><p>On this study fifty male prisoners were used as subjects who had used stimulant drurgs more than five hundred times for a period of over five years.</p><p>The statistical data on the subjects was analyzed by making a comparison with two different control groups of prisoners; First, a group with experience in the occasional use of stimulant drugs, secondly, a group with no experience in the use of stimulant drugs.</p><p>The results of this research were summarized as follows;</p><p>(1) The major conditions that prisoners involved with stimulant abuse were; their connection with violent gangs(YAKUZA), living in idleness, having early criminal careers, and/or personality traits of over-activity.</p><p>(2) The personal factors causing stimulant dependence were; their abuse of stimulants to avoid unpleasant feelings, abuse at a young age, involvement with first delinquency during late teens, and vanity or lack of strong will type of personality.</p><p>The following personal factors for people in general, with stimulant dependence were found to be important; a socially immature personality(i.e. dependent and/or narcissistic), contact with delinquent subculture in adolescence(confusion of self-identification), and the lack of ability to control their emotions during difficult times.</p>