著者
石黒 精
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-11, 2000-02-29 (Released:2009-02-13)
参考文献数
52
被引用文献数
1
著者
境野 高資 本間 多恵子 辻 聡 石黒 精 阪井 裕一
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.241-246, 2013-05-15 (Released:2013-07-24)
参考文献数
22
被引用文献数
1

【背景】東京都では年に約4万件発生していた搬送先の選定困難を改善するため,平成21年9月より東京ルールを開始した。東京ルールでは,5つの医療機関に照会または連絡時間20分以上を要しても搬送先が決定しない中等症以下の救急搬送事案に関し,地域救急医療センターなどが調整・受入を行うと定められた。【目的】東京ルール制定以後,小児の搬送先選定先困難事案の発生状況を調査し,その要因を検討する。【対象】平成21年9月から平成22年12月に,東京ルールに該当した15歳未満の事案。【方法】東京都福祉保健局資料をもとに後方視的に検討した。【結果】東京ルールに該当した事案は,15歳未満の小児では119,486件中224件(0.2%)であり,15歳以上の702,229件中16,104件(2.3%)に比べて有意に少なかった。小児例では男児が153件(68.3%)を占め,年齢は隔たりなく分布していた。該当事案の発生は土日祝日1.2件/日,平日0.3件/日で,準夜帯が143件(63.8%)を占めた。傷病種別では外傷が180件(80.4%)を占め,うち177件(79%)は骨折・打撲・挫創などであった。【考察】東京都における搬送先選定困難事案の中に少ないながら小児例が含まれていた。小児例は土日祝日および準夜帯に多く発生し,多くが整形外科領域を中心とした外傷症例であった。小児の搬送先選定困難事案を改善するため,救急告示病院における準夜帯の小児整形外科救急診療体制の再構築が必要であると考えられた。【結語】東京都における小児の搬送先選定困難事案は土日祝日および準夜帯の整形外科領域に多く,対応した医療システムの構築が求められる。
著者
江口 麻優子 野坂 俊介 植松 悟子 藤野 明浩 金森 豊 岡本 礼子 窪田 満 石黒 精
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.107-115, 2019 (Released:2019-11-22)
参考文献数
18

小児の盲腸捻転は稀であるが,重症心身障害児,特にCornelia de Lange症候群(以下CdLS)での報告が多い.症状は非特異的で,画像診断の役割は大きい.早期診断は腸管壊死を回避する上で重要で,診断や治療の遅れは死亡に繋がる可能性がある.当院で経過観察中のCdLS 13例中4例に盲腸捻転を認めた.いずれも盲腸捻転に特異的な腹部単純撮影所見,もしくは過去と比較して変化を認め,引き続き行った造影CT所見から全例で術前に盲腸捻転を疑うことができた.盲腸捻転併発4例と捻転非併発9例を比較すると,併発例全例が胃瘻造設術・噴門形成術後で,これらの手術が捻転の誘因になると考えられた.また,既報告と比較して死亡率と術後合併症率は,より低率であった.CdLSで,胃瘻造設術・噴門形成術後の児が腹部症状を示す場合,盲腸捻転の併発を念頭に,腹部単純撮影に続く造影CTが早期診断と治療に有用である.
著者
堀内 清華 石黒 精 中川 智子 庄司 健介 永井 章 新井 勝大 堀川 玲子 河合 利尚 渡辺 信之 小野寺 雅史
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.526-532, 2012 (Released:2012-12-31)
参考文献数
13
被引用文献数
2

IPEX(immune dysregulation, polyendocrinopathy, enteropathy, and X-linked)症候群は1型糖尿病や甲状腺機能低下症などの多発性内分泌異常,難治性下痢,易感染性などを主症状とし,転写因子forkhead box P3(FOXP3)遺伝子の変異による制御性T細胞の欠損や機能低下を原因とするX連鎖性の原発性免疫不全症である.1型糖尿病,甲状腺機能低下症に難治性下痢を合併し,IPEX症候群と考えられた12歳女児例を報告する.患児は10歳時から下痢が遷延化し,著明なるいそうが認められた.12歳時に行われた消化管内視鏡所見と病理所見からクローン病と診断され,5-アミノサリチル酸製剤に加えてプレドニゾロン,アザチオプリン,インフリキシマブによる治療を要した.その結果,便性の改善ならびに炎症反応の低下など一定の治療効果が認められたが,プレドニゾロンの減量により下痢が増悪して体重も減少し,治療法の選択に難渋した.患児は2歳時に1型糖尿病を,3歳時に甲状腺機能低下症を発症しており,難治性腸炎とあわせてIPEX症候群でみられる臨床像を呈していた.ただ,本症例ではCD4+CD25+ T細胞中のFoxp3の発現は低下していたがFOXP3遺伝子には異常を認めなかった.過去の報告においてFOXP3遺伝子に変異のないIPEX症候群例では易感染性を認める場合が多いが,本症例では反復する細菌感染は認められなかった.
著者
中澤 裕美子 前川 貴伸 小穴 慎二 石黒 精 太田 さやか 寺嶋 宙 柏井 洋文 久保田 雅也 堤 義之 中澤 温子 師田 信人 阪井 裕一
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.175-179, 2013 (Released:2013-06-30)
参考文献数
10

多発性硬化症の診断は,病巣が単発性の場合,しばしば脳腫瘍や脳炎・脳症との鑑別が困難になる.今回われわれは延髄に2 cm大の腫瘤性病変を認め,当初脳幹部グリオーマが疑われたが,最終的に多発性硬化症の診断に至った11歳男児例を経験した.患児は下肢痛の出現後,約2週間の経過で四肢麻痺,意識障害,呼吸不全が進行した.急性の臨床経過がグリオーマの臨床経過と合致せず,診断が困難であったため,手術自体の危険性を説明の上,組織生検を施行した.組織像では明らかな腫瘍細胞を確認しなかったこと,及び症状が急性に進行していることから非腫瘍性疾患の可能性を考え,ステロイドパルス療法を施行したところ速やかに回復し,ほぼ障害を残さずに退院した.その後初発から9か月後に他の部位に再発し,臨床的に多発性硬化症の診断に至った.脳幹部の組織生検は容易ではないが,適切な治療法選択の上で極めて重要な役割を果たした.
著者
飯尾 美沙 竹中 晃二 成田 雅美 二村 昌樹 濱口 真奈 福島 加奈子 山野 織江 原口 純 阪井 裕一 石黒 精 大矢 幸弘
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.187-203, 2014-03-01 (Released:2017-02-10)

【背景・目的】小児喘息患者の行動変容を促す患者教育を提供するために,行動科学の理論・モデルに基づくテイラー化教育プログラムを開発した.本研究は,乳幼児喘息患児の保護者を対象に,開発したプログラムの有効性を検証した.【方法】2012年9月〜12月に外来を受診した乳幼児喘息患児を養育する保護者のうち,児の喘息コントロール状態が完全コントロールでない者をリクルートし,介入群および対照群に無作為に割り付けた.初回調査実施後において,割付けた患者教育(介入群:プログラム+個別面談,対照群:喘息パンフレットの配布)を1回実施した.そして,教育介入約1カ月後において,教育後調査を実施した.【結果】保護者47名(介入群22名,対照群25名)を分析対象とし,割付群を独立変数,教育前後の各評価得点を従属変数とした分散分析を実施した.その結果,教育後における介入群の喘息コントロール状態および知識得点は,対照群と比較して有意に改善・増加した.【結語】乳幼児喘息患児の保護者に対するテイラー化教育プログラムの効果が示唆された.