著者
磯 直樹
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.37-53,200, 2008-05-31 (Released:2015-06-06)
参考文献数
32

In this paper I will first introduce Bourdieu’s idea of field, a network, or configuration, of objective relations between positions. Then I will show how it integrates theory and empirical research. In the history of Sociology, the relationship between theory and empirical research has been a grand theme, and Bourdieu was committed to integrating the two throughout his career. I will also examine the work of Blumer, an important predecessor to Bourdieu. While both his “sensitizing concept” and his “definitive concept” have limits, Bourdieu’s “open concepts” which include habitus, capital and field have more possibilities and significances than Blumer’s. The field is a social sphere which has a limit around itself and each has its own rules within. For Bourdieu, the field is considered together with habitus and capital, and also as a part of his theory of practice. The concept of field enables us to analyze social phenomena for which we have lacked a theoretical framework. We can also use the concept of field to relate and integrate differentempirical research. One example can be found in the study of social difference. Bourdieu’s sociology makes sense in combination with the works of other sociologists because it owes so much to them. We should ask the question “Bourdieu and what else?” rather than think in terms of a dichotomy such as “Bourdieu or not.” This will lead to a productive discussion.
著者
磯 直樹
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.73-87, 2011-03-20 (Released:2016-09-13)
参考文献数
50
被引用文献数
1

ブルデューはスポーツに長く関心を抱いていたが、それについて論じた論稿は3つしかなく、スポーツ社会学について体系的な研究を残したわけではない。にもかかわらず、フランスのスポーツ社会学にはブルデューが多大な影響を及ぼしてきた。本稿では、このようなブルデューとスポーツ社会学の関係について考察する。 ブルデューがスポーツについて問うたことは、その独自の社会学と深く結びついている。ブルデューはスポーツの歴史的・社会的条件は何かと問い、各々のスポーツ種目をめぐる実践と消費の分析に関心を抱いていた。また、スポーツに固有の空間の特性について考察を試みた。こうしたブルデューの問題関心は、彼の社会学を支えるいくつかの概念、例えばハビトゥス、資本、界、社会空間などとつながっている。ブルデューのスポーツに関する問題提起を受けつつ、その社会学をスポーツ研究に応用したのがポシエロやドゥフランスであった。彼らによって、ブルデューの社会学を応用したスポーツ社会学の体系が構想されていった。つまり、「ブルデュー派」スポーツ社会学は、ブルデュー自身によってではなく、彼に近いスポーツ社会学者たちによって担われていたのである。 ブルデュー自身とスポーツ研究の関係は限定的であったため、ブルデューの社会学を従来とは違った方法でスポーツ研究に応用することは十分に可能である。そうした新しい応用の方法については、一方ではブルデュー自身がオリンピック論で示したような国際的・グローバルなスポーツ研究が考えられ、また一方では、ヴァカンがシカゴの黒人ゲットーで行ったボクシングのエスノグラフィのような生身の人間と向き合う局地的な研究が考えられる。ブルデューの社会学を部分的に受容することももちろん可能であり、スポーツ社会学においてブルデューを受容する方法は、各々に自由な選択として開かれている。
著者
磯 直樹
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.63-78, 2013-09-30 (Released:2016-08-01)
参考文献数
40

本稿は、一つの柔道場を通じてフランス社会を照射する試みである。私が調査を行った場所はパリ郊外の柔道場である。ここは、移民系住民が中心の貧困地区である。ここでの調査の過程には、反省性の実践が伴われた。この「反省」とはブルデューによって提起され、ヴァカンらによって継承された社会学の方法であり、対象化する主体である研究者自身を対象化することによって、科学的方法を洗練させ、対象の記述の質を高めることを可能にする。本稿では、このような反省性を実践することによって、調査者である私自身の強襲被害を対象化し、フィールドであるF 地区における暴力と社会的境界の関係を分析した。フランスの他の柔道場と同様に、この地区においても柔道家のほとんどは子どもである。そこでは、柔道場は孤島のような場所になっており、閉鎖的な共同体に近いその地区で尊重される価値とは別の価値、つまりフランス社会一般で通用するそれを教えこむ場であった。この地区は「ゲットー」と称されることも多いが、ここにおける柔道実践とは、結果的にそのような地区から子どもが将来的に抜け出せるようになることを意味している。私はこのような結論を、自ら被った強襲事件を契機に導出することができた。
著者
磯 直樹
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.37-53,200, 2008

In this paper I will first introduce Bourdieu's idea of field, a network, or configuration, of objective relations between positions. Then I will show how it integrates theory and empirical research. In the history of Sociology, the relationship between theory and empirical research has been a grand theme, and Bourdieu was committed to integrating the two throughout his career. I will also examine the work of Blumer, an important predecessor to Bourdieu. While both his "sensitizing concept" and his "definitive concept" have limits, Bourdieu's "open concepts" which include habitus, capital and field have more possibilities and significances than Blumer's. The field is a social sphere which has a limit around itself and each has its own rules within. For Bourdieu, the field is considered together with habitus and capital, and also as a part of his theory of practice. The concept of field enables us to analyze social phenomena for which we have lacked a theoretical framework. We can also use the concept of field to relate and integrate differentempirical research. One example can be found in the study of social difference. Bourdieu's sociology makes sense in combination with the works of other sociologists because it owes so much to them. We should ask the question "Bourdieu and what else?" rather than think in terms of a dichotomy such as "Bourdieu or not." This will lead to a productive discussion.
著者
片岡 栄美 村井 重樹 川崎 賢一 廣瀬 毅士 瀧川 裕貴 磯 直樹
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

日本版の文化の差異化・卓越化(ディスタンクシオン)研究を計画に沿って推進し、平成29年度は以下の成果をえた。(1)次年度予定の本調査の予備調査として大学生調査を実施した。有効サンプルは383票で、首都圏4校と地方大学1校で実施した。音楽、ファッション、スポーツ、メディア、価値観等の各領域で分析した結果、若者の文化実践やテイストの測定方法や仮説設定に関しての知見が得られた。(2)文化実践を方向づけるハビトゥスの複数性・多次元性に関する研究を推進するため、デプス・インタビュー調査を10名に実施した。対象者が大学生の場合と社会人の場合でのインタビューの工夫を行い、実践の多様性とハビトゥスの一貫性および分化について一定の予備的知見が得られた。(3)片岡は過去に実施した調査データの再分析を行い、文化的オムニボアを理論的・実証的に再考する研究を行った。文化実践の多重対応分析(MCA)を行い、文化の差異化が生じやすい文化実践と社会的地位変数との関係性を明らかにした。文化テイストは性と年齢で大きく分化するとともに、学歴や所得の地位変数のほか、子ども時代の文化資本(家庭環境)とも強く関連する。また(4)文化実践を始めるきっかけを「文脈」概念を用いて分析し、文脈効果の時代的変容を明らかにした。これらは日本社会学会で研究発表し、また論文として活字化した。(5)グローバル化による文化の変容と文化政策の関連について、シンガポールを題材に川崎が検討し論文を発表した。(6)ヨーロッパを中心に新しい研究動向・情報を入手し、複数の海外研究者との協力関係を開始した。(7)村井と片岡は食に関する海外研究書の翻訳作業を行った。(8)新しい研究メンバーが3名(連携協力者)加わり研究組織を充実させ、分析方法や研究方法についての検討や学習会を行うことで、次年度の研究計画推進にむけての具体的な準備を進めることができた。
著者
磯 直樹
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.91-113, 2022-07-30 (Released:2024-04-01)
参考文献数
40

ブルデューの文化資本は,支配と不平等に文化がどのように関わるかを分析するための概念である。本稿では,この概念に焦点を当てつつ,ブルデューが「階級」を支配と不平等にどのように関わらせて概念化したのかを考察する。さらに,他の社会学者によって,ブルデュー派階級分析と呼びうる理論と方法がどのように展開されてきたかを論じる。 ブルデューの階級分析で軸になる概念は「社会空間」である。これは階級構造に意味が近いが,ブルデューによれば「社会階級」なるものは実在しない。「実在するのは社会空間であり,差異の空間であって,そこでは諸階級が潜在的状態で,点線で,つまりひとつの所与としてではなく,これから作るべき何かとして実在する」という。階級分析を行いつつも「社会階級」の実在を否定するという,この一見分かりにくい論理構造によってブルデューの「階級」分析は構成されている。社会空間における行為者の客観的位置は,資本の種類と多寡によって決まる。複数の行為者の位置が同じでも,各々のハビトゥスの違いによって思考や行為は異なってくる。ハビトゥスは複数の性向の体系として,新たに実践を産み出していく。 ブルデュー派階級分析は,ブルデュー以外の社会学者と統計学者によって展開されてきた。フランスの幾何学的データ分析の発展がブルデュー社会学と合流し,フランスだけでなく,ノルウェーやイギリスにおいてブルデュー派計量分析と呼べるものが21世紀に入ってから体系化されていった。ブルデュー派階級分析は質的方法も採り入れ,支配と不平等の社会学として発展を続けている。
著者
吉野 浩司 梅村 麦生 吉田 耕平 磯 直樹
出版者
長崎ウエスレヤン大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

〈善く生きる〉のための社会学とは、人間が生きる上で必要な生きがい、愛、喜びといった人間のポジティブな側面を対象とし、その発生メカニズムの解明と社会への実装とを目的とする科学である。この社会学を、亡命知識人論というグローバルな社会学史の観点から、その源流にまでさかのぼって捉え直そうとするものである。わけても〈善く生きる〉ための思索の片鱗は、20世紀初頭のロシア社会学にも組み込まれており、後に欧米の社会学にまで浸透していった。世界各地のアーカイブに残された亡命知識人の資料を掘り起こし、かつてのロシアや中東欧の思想から現代の欧米の社会学にいたる様々な試みを総合的に把握する。
著者
磯 直樹 香川 めい 北村 紗衣 笹島 秀晃 藤本 一男 藤原 翔 平石 貴士 森 薫 渡部 宏樹 知念 渉
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では、現代日本における文化と不平等の関係を、「文化がもたらす不平等」と「文化へのアクセスの不平等」という観点から、理論的かつ経験的に社会学の観点から分析する。すなわち、①文化が原因となる不平等とは何か、②文化資源の不平等な配分とは何か、という2種類の問題を扱う。これらの問題を研究するために、理論的には社会分化論として文化資本概念を展開させる。社会調査としては、関東地方で郵送調査とインタビュー調査を実施し、調査で収集されるデータを、多重対応分析の特性を活かした混合研究法によって分析する。
著者
赤堀 三郎 出口 剛司 飯島 祐介 堀内 進之介 河合 恭平 磯 直樹
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、今日勃興しつつある信用スコアサービス、およびその基礎にある与信管理技術に関し、受容意向という側面に着目し、社会学の立場からこの種の対象を総合的に扱うための枠組を構築しようとするものである。すなわち、第一に、信用スコアに関するデータを収集・整理し、国内外の社会学研究者や他分野の研究者のさらなる探究に資するデータベースを作成し、公開する。第二に、信用スコアの受容意向に関する実態調査を行い、結果を公表する。第三に、上記データベースと調査結果の分析および考察を通じ、「信用スコアの社会学」を確立し、与信管理技術を代表例とする新技術の社会的影響という広範なテーマを扱える社会学理論の創造をはかる。
著者
磯 直樹
出版者
SHAKAIGAKU KENKYUKAI
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.37-53,200, 2008

In this paper I will first introduce Bourdieu's idea of field, a network, or configuration, of objective relations between positions. Then I will show how it integrates theory and empirical research. In the history of Sociology, the relationship between theory and empirical research has been a grand theme, and Bourdieu was committed to integrating the two throughout his career. I will also examine the work of Blumer, an important predecessor to Bourdieu. While both his "sensitizing concept" and his "definitive concept" have limits, Bourdieu's "open concepts" which include habitus, capital and field have more possibilities and significances than Blumer's. The field is a social sphere which has a limit around itself and each has its own rules within. For Bourdieu, the field is considered together with habitus and capital, and also as a part of his theory of practice. The concept of field enables us to analyze social phenomena for which we have lacked a theoretical framework. We can also use the concept of field to relate and integrate differentempirical research. One example can be found in the study of social difference. Bourdieu's sociology makes sense in combination with the works of other sociologists because it owes so much to them. We should ask the question "Bourdieu and what else?" rather than think in terms of a dichotomy such as "Bourdieu or not." This will lead to a productive discussion.