著者
松本 敬司 福岡 捷二 須見 徹太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_793-I_798, 2013 (Released:2014-03-31)
参考文献数
9
被引用文献数
3

The Tanaka, Sugo, Inadoi retarding basins which are located along the Tone River have an important role on flood control in the lower Tone river. The lower Tone River has some flood control problems such as flood discharge capacity of the river. In this paper, we developed the unsteady two-dimensional analysis of flood flows using the time series data of observed water surface profiles in the Tone River including the three retarding basins. The calculation model provides a good explanation for flood storage volume in the three retarding basins of 2001 and 2007 floods. Some remarks are given to calculate correct hydrographs of flood storage volume in retarding basins.
著者
松本 敬司 中井 隆亮 福岡 捷二 須見 徹太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.I_1477-I_1482, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
11
被引用文献数
3

The Watarase retarding basin which is located in the lower Watarase River has an important role on the flood control in the Tone River. The design flood discharge of a period of about 30 years hereafter in the Tone River is 14,000m3/s at the Kurihashi of the Tone River.In this paper, the flood control functions of the Watarase retarding basin are investigated by the flood flow analysis when the peak flood discharge under various discharge hydrographs is about 14,000m3/s at the Kurihashi in the Tone River. It is shown from the calculation that the Watarase retarding basin reduces peak flood discharge and delays the peak occurrence time at the Kurihashi by storing flood discharge flowing back to the Watarase River from the Tone River. Furthermore, some remarks are given for the enhancement of flood control functions of the Watarase retarding basin.
著者
福岡 捷二 昆 敏之 岡村 誠司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B (ISSN:18806031)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.238-248, 2007 (Released:2007-08-20)
参考文献数
8
被引用文献数
7 11

鶴見川多目的遊水地は2003年6月より運用を開始された.遊水地周辺には出水時の洪水調節量を測定するための観測体制を整備している.平成16年10月の台風22号による出水は運用開始後初めての大規模な出水であり,鶴見川多目的遊水地で約115万m3もの洪水調節がなされた. この出水における鶴見川多目的遊水地の洪水調節量の確認と観測体制の検証を目的として,河道で観測された水面形の時間変化を解とした二次元不定流解析を行い,遊水地の洪水調節効果算定の新しい方法を確立した.また,今後検討すべきより弾力的な遊水地の計画と整備について本解析手法の活用について述べるとともに,遊水地を効果的,効率的に活用するための観測体制の改善案を示した.
著者
福岡 捷二 渡辺 明英 新井田 浩 佐藤 健二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.503, pp.59-68, 1994-11-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
11 7

洪水流や航行する船の造る波の河岸侵食力に対し, 河岸に生育しているオギやヨシがどの程度の河岸侵食軽減機能を有するかを現地観測によって調べている. オギやヨシの生育環境, これらの植生が河岸侵食を軽減する機構を明らかにした上で, オギやヨシを河岸保護に活用する場合, 保護機能が発揮される限界流速を理論的に算定し, これが工学上有効であることを現地観測結果によって, 明らかにしている.
著者
福岡 捷二 渡邊 明英 關 浩太郎 栗栖 大輔 時岡 利和
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.740, pp.31-44, 2003-08-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
10
被引用文献数
2

我が国の洪水流は, 洪水位上昇時の時間変化率が大きい特徴を持っている. さらに, 大河川中下流域の河道横断面形状は低水路と高水敷からなる複断面形が採用されている. このことは複断面河道における洪水流の水理現象は, 洪水ごと, 河川ごとさらには, 河川の区間ごとに異なることを示しており, 複断面河道の洪水流を深く理解することが必要である. 本文では, 複断面河道における洪水流の非定常水理現象に焦点を当て, 洪水流の水理現象のうち, 特に河道内における貯留に及ぼす河道特性と洪水流特性の影響について詳細に検討した. これより, 洪水流の非定常性, 河道の平面形, 横断形などの断面形状および下流端条件が, 洪水流の流下に与える影響を明らかにし, 洪水流の河道内「貯留」の評価を行い, 今後の治水計画の新しい方向性を示した.
著者
熱海 孝寿 福田 朝生 福岡 捷二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_619-I_624, 2021

<p> 本研究では,粒径幅の広い石礫河川の移動床現象の理解を深めるため,1オーダー異なる粒径幅を有する粒子群を用いて数値移動床実験を実施し,河床付近で跳躍運動する粒子群について分析を行い河床構造の変化を調べた.その結果,河床表層の全粒径が移動する場合,最大粒径程度の厚さの交換層で強い鉛直分級が生じ,粒径が大きいほど河床の鉛直上方に連続して位置すること,また,跳躍時の粒子運動の軌跡から,小粒径粒子が堆積層内に落下する様子や流体力によって上昇する様子が見られた.最後に本研究から明らかになった課題を示している.</p>
著者
福留 脩文 有川 崇 西山 穏 福岡 捷二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.490-503, 2010 (Released:2010-10-20)
参考文献数
14

高堰堤式落差工の存在は,多くの場合,魚類の遡上や降下を妨げ,瀬や淵の環境を失わせてきた.著者らはこの問題を改善するため,渓流に見られる天然段差をモデルに,福岡県岩岳川の河床に大小の転石を組む低い分散型落差工群を試作した.その基本形に石造アーチと,流体中の静止物体の安定理論を応用し,施工には日本の伝統的な石垣工法を用いた.完成後,洪水前後の河道状況を調査し,施工した石組み構造の変化について観察した.その結果,構造の要となる大石が安定すれば,大石間に組んだ石礫は変化しても,上流から石礫が補給されて段差は復活または新たに再現されていた.自然から学んだ河床構造と簡単な解析の設計法による試験施工の結果,分散型落差工を設置した河床は,洪水で変形しつつも安定し,瀬と淵も河床高も維持されたことを確認できた.
著者
日比野 忠史 森本 優希 福岡 捷二 植田 彰
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_1471-I_1476, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
9

感潮河川では海水の遡上とともに河口から運ばれる有機泥が高塩分下で河岸干潟に堆積している.高塩分下で堆積する有機泥は有機泥,間隙水,流水中に存在するイオンの相互作用により輸送過程における物理運動に強い影響を与えている.本論文ではヘドロ化が進んだ河岸干潟において地盤を形成する有機泥の特性量を評価するためのテクスチャーとなる物理・化学量の個々の特性および相互の関係を考察した.さらに,感潮河川で輸送・堆積する有機泥の基本となる指標とその評価法についてまとめた.提案されたテクスチャーから実河川における有機泥の輸送・堆積状態について推定し,テクスチャーの妥当性を確認した.
著者
福岡 捷二 昆 敏之 岡村 誠司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B (ISSN:18806031)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.238-248, 2007
被引用文献数
11

鶴見川多目的遊水地は2003年6月より運用を開始された.遊水地周辺には出水時の洪水調節量を測定するための観測体制を整備している.平成16年10月の台風22号による出水は運用開始後初めての大規模な出水であり,鶴見川多目的遊水地で約115万m<sup>3</sup>もの洪水調節がなされた.<br> この出水における鶴見川多目的遊水地の洪水調節量の確認と観測体制の検証を目的として,河道で観測された水面形の時間変化を解とした二次元不定流解析を行い,遊水地の洪水調節効果算定の新しい方法を確立した.また,今後検討すべきより弾力的な遊水地の計画と整備について本解析手法の活用について述べるとともに,遊水地を効果的,効率的に活用するための観測体制の改善案を示した.
著者
日比野 忠史 金城 信隆 TOUCH NARONG 福岡 捷二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_910-I_915, 2015 (Released:2015-09-04)
参考文献数
7
被引用文献数
1

過剰な有機物の流入により底棲生物(マクロベントス)が棲息できなくなった海底から堆積有機泥を採取して生態系の再生実験を現地で行った.還元化した土壌での生態系の再生は,SiO2,Al2O3,CaOを主な成分とするアルカリ剤を用いた.アルカリ剤を用いることで生態系が崩された土壌を底棲生物が棲息できる土壌に再生することができた.生態系の再生ができた土壌の有機泥性状を分析することで有機泥土壌の再生法について検討した.この結果,アルカリ剤からの陽イオンの溶出は有機物の分解により泥層内に蓄積された電子,水素イオンを処理すること(電子伝達機構の促進)により,COD,硫化物の低下等を生起させて生態系の再生を促進させていることが明らかにされた.
著者
中下 慎也 日比野 忠史 駒井 克昭 福岡 捷二 阿部 徹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B (ISSN:18806031)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.344-358, 2010 (Released:2010-11-19)
参考文献数
29

太田川放水路に形成されている干潟の特性を明らかにするために,1996年から2008年にかけて底質,水質の経年変動,生物分布および有機泥の捕捉調査を行った.さらに,生態環境の形成に果たす河川構造物の役割について検討するために,生物分布,底質,地下水質,地下水位調査を行った.調査結果より,二枚貝の棲息には地盤内の間隙の保持等,地下水流動によって起こる二次現象が重要であることを明らかにした.また,護岸前後に形成された水位差によって促進される地下水流動が地盤内の間隙への有機泥の堆積抑制等に寄与していることを明らかにし,地下水環境を考慮した河川構造物の構築により安定した多様な生態環境が形成されることを示した.