著者
秋田谷 英次 遠藤 八十一
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
no.35, pp.p105-115, 1978
被引用文献数
2
著者
和泉 薫 小林 俊一 秋田谷 英次 西村 浩一
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学. 物理篇. 資料集 = Data report low temperature science. Series A, Physical sciences (ISSN:03853683)
巻号頁・発行日
no.55, pp.27-45, 1996
被引用文献数
1

明治の後半からの北海道の雪崩情報を新聞から収集した。過去95年間の雪崩災害件数は666件,死者は722人におよんだ。雪崩災害の内容をみると,北海道の開拓の歴史を反映している。明治時代は海岸部の民家の被害が,昭和に入ると鉄道や鉱山が,戦後は森林伐採やダム工事,道路が,さらに近年は登山やスキー関連の事故が目立っている。
著者
清水 弘 秋田谷 英次 中川 正之 岡部 俊夫
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-8, 1973-03-31 (Released:2009-07-23)
参考文献数
5

A preliminary observation on the avalanche of the Shiai-dani valley, Kurobe Canyon, North Japan Alps, Honshu (Figs. 1 and 2), was carried out during the winter of 1971-1972.The principal subject of the preliminary observation was to figure out the magnitude of the avalanche of the Shiai-dani valley. Ten sets of penetrometer (Figs. 4 and 5) were installed around the observation site (Fig. 7) : 6 sets on the concrete wall and 4 sets on two frameworks of iron beams with an H shape in the cross section (Fig. 6).(1) From the monthly routine observations of snow accumulation, it was presumed that the amount of snow accumulation through the winter of 1971-1972 in the Kurobe Canyon was less than a half of the average.(2) During the period from February 20 to March 15, 1972, an avalanche assaulted the observation site of the Shiai-dani valley. As the result, upper beams of the iron frameworks were bent to the downhill side of the valley (Figs. 8, 9 and 13) : the directions of the bend of the both beams were almost parallel and coincided with that of the avalanche of 1938 which killed 82 workmen : the airection of the avalanche was given by arrow marks in Figs. 7 and 10.(3) The intensity of the avalanche loading in t/m2 calculated simply from the record of the penetrometers as the static loading is given in Table 1, without particular calibration.i) Fig. 7 gives the distribution of the intensity of the avalanche loading in t/m2 around the observation site. The values in the right half area of the site appeared larger than those in the left half area by twice or more. It could be presumed that the main body of the avalanche ran through the right half of the site or a little more toward the valley side of it. The largest value of the intensity of the avalanche loading (66.9 t/m2) was recorded at the point Q-S, while the smallest value (0.7 t/m2) at the point B which was at a distance of only several meters from the point Q-S, laterally to the avalanche. Moreover, the distribution of the intensity of the avalanche loading over the observation site showed some complicated features, which might have been resulted from the strong effect of the minute surface topography of this area.ii) The intensity of the avalanche loading at point S appeared larger than that at point R, of both P and Q. A supporting effect of the supporting legs of the framework could be reflected on this result; if so, the value at the point S would be closer to the real value than that at the point R.(4) The Shiai-dani valley is a very steep and deep valley with the mean inclination of 30°; it has a total length of 2 km, and a depth of about 40 m in the vicinity of the observation site even in the snow season. At a point about 100 m upstream from the observation site, the valley curves sharply to the right making an angle of about 70°. According to such topographic conditions, it was presumed that the avalanche falling down along the Shiai-dani valley collided against the steep face of the right bank side of the valley at the curve (X mark in Fig. 10), then directly assaulted the observation site without running in the valley.
著者
尾関 俊浩 秋田谷 英次
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1-10, 1995-02

サン・クラストが形成される熱収支領域及び雪質条件を明らかにすることを目的に,4融雪期にわたって野外観測を行なった。観測期間に9回15例のサン・クラスト形成を観測した。サン・クラストは 1mm程度の薄い氷板であり,その下には深さ1cm程の空洞が形成された。サン・クラスト形成時には 200から 450W/m^2の短波放射フラックスが積雪に吸収されていた。また積雪表面は長波放射と蒸発によって冷却されており,長波放射収支と顕熱,潜熱のフラックスの和は常に負の値(0〜ー140W/m^2)であった。これはサン・クラストが維持され,その下で内部融解が起こるのに適した熱収支条件であった。サン・クラストは平均4.2×10^2kg/m^3のざらめ雪が変態して形成された。さらに表層の雪はサン・クラストを形成する過程で大きな密度のざらめ雪を経なければならなかった。
著者
秋田谷 英次 成田 英器 小林 俊一 和泉 薫 対馬 勝年 石坂 雅昭 楽 鵬飛
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.51-61, 1994-03
被引用文献数
2

中国黒竜江省は冬期の降水は少なく寒冷な気候帯にある。現地で冬期間の気象観測,さらに3月には積雪調査と道路状況を視察した。その結果次の事が明かとなった。積雪が少なく寒冷なため,積雪はしもざらめ雪の発達が著しい。また,しもざらめ雪は結合力が弱いため,いったん堆積した雪が強風下で大陸性地吹雪と呼ばれる吹雪となる。この吹雪が堆積すると寒冷な気象の下で硬しもざらめ雪を形成する。近年,中国では道路交通の重要性が増したが,道路の維持管理や車の性能が冬道には不十分である。そのため,道路上の吹き溜りは量が少なくて大きな交通障害となったり,大事故の恐れがある。その対策には吹き溜り防止工,道路の維持管理および車の冬期装備を考慮しなければならない。
著者
成瀬 廉二 秋田谷 英次 西村 浩一 白岩 孝行 山口 悟 須澤 啓一 天見 正和 伊藤 陽一 根本 征樹
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 物理篇 資料集 (ISSN:03853683)
巻号頁・発行日
no.55, pp.13-26, 1996
被引用文献数
1

1996年2月下旬に,北海道内広域の58地点にて積雪調査を行った。測定項目は,積雪深,積雪水量,層位・雪質・粒径,ラム硬度,雪温である。同年冬期は,札幌を中心とした日本海側では記録的な大雪であり,一方北海道東部は平年より少雪であった。全層平均密度と全層平均ラム硬度は,積雪量が多い北海道西部で高い値を,積雪量が少なく「しもざらめ雪」が顕著な東部で低い値を示した。
著者
山田 知充 井上 治郎 川田 邦夫 和泉 薫 梶川 正弘 秋田谷 英次
出版者
北海道大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1987

降雪や積雪などの雪氷現象に関わる災害の中で, 新聞に報道されるものは社会的関心が高く, 日常生活に深い関わり持っている. 雪害は自然現象と人間社会との関わりであるから, 地域や季節および時代により雪害の内容や発生機構は変化する. 本研究では新聞記事からの雪害事例収集を統一的に行い, 雪害記載カードを作製し, これを基に雪害のデータベースを作製した. 北海道, 秋田県, 新潟県, 富山県, 石川県, 滋賀県, 京都府, 福井県, 兵庫県について, それぞれの地方新聞を用いて, 豪雪年(昭和55-56年冬期)寡雪年(昭和61-62年)の2冬期分につき約1,800件のデータベースを完成した.一方, 雪害と自然現象を対比するため, 対象地域の2冬期分のアメダスデータを磁器テープから地域別に編集し, フロッピーデスクに収録した. 雪害の発生, 規模, 内容の地域特性と自然現象を比較するため, 本年2月末, 対象地域一体の126地点にわたって積雪調査を実施した.いずれの地域も, 雪害件数の最多は道路や鉄道等の交通等の交通障害, 次いで雪が原因となった交通事故であった. 豪雪年は道路除雪が不備なため, 走行車両の減少と低速走行のため, 事故件数は減る傾向にあるが, 除雪が完備すると事故件数の増加が予想される. 豪雪年には建物の倒壊や雪処理中の人身事故が目だつ. 京都, 滋賀では列車の運行規制, 道路のチェーン規制, 北陸地方では屋根雪処理中の転落事故, 東北地方では他県での降雪による列車の遅れ(もらい雪害), 北海道では空港障害が多く, 雪害の種類や規模の地域的特徴が明らかとなった. 雪に対する防災力が地域と季節によって大きく変化するため, 雪害を発生させる降雪量は地域差が大きい. 小雪地では数mm/dayの降雪で雪害が発生するが多雪地では40mm/day程度である. 社会の進化に応じて雪害の様相も変化するため, 雪害の予測や対策のために継続した調査が必要である.
著者
秋田谷 英次 白岩 孝行 成瀬 廉二
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

平成6、7の2年間で札幌市内の雪氷路面の調査を実施し、目視による新たな路面雪氷分類を作成した。これはスタッドレスタイヤと凍結防止剤の普及に伴って頻繁に発生する様になった路面状態に対応した分類である(つるつる路面に主眼)。路面状態は積雪量・気温の気象要素と交通量、及び道路の維持管理作業によって常に変化する。2冬期の観測結果から路面状況を定量化し気象要因と比較した。その結果、車の走行にとって問題となる「光る(すべる)路面」と「こぶ氷」の発生動態が解明された。この結果は、最悪な雪氷路面が発生する前に的確な維持管理作業を開始する指針となるものである。表層雪崩の原因である弱層の調査を本州の多雪山岳域まで広げた。放射冷却に起因する「表層しもざらめ雪」と「表面霜」からなる弱層は北海道以外でも表層雪崩の大きな原因となることが明らかとなった。雪崩災害を防ぐためには登山者・スキーヤへの啓蒙が重要である。普及活動として例えば、平成8年度全国山岳遭難対策協議会(文部省、岐阜県、警察庁等の主催)に招かれ講演した。平成7年は12月末から北海道では近年にない豪雪となり、やがて本州も豪雪に見舞われた。札幌圏ではこれまでの道路管理システムでは対応できず、あらゆる交通網は大混乱を引き起こした。大都市では、これまでのハード中心の対策には限界があり、新たな交通規制、きめ細かな情報公開、住民、ユーザーと行政との責任分担などソフト面での対応が不可欠な事が明らかとなった。10年以上にわたり豪雪がなかったため、住民、行政、マスコミとあらゆる機関の自然に対する危機意識が低下したこと、地方、国などの横の連携が不十分な事も災害要因となった。
著者
秋田谷 英次 石井 吉之 成田 英器 石川 信敬 小林 俊一 鈴木 哲 早川 典生 対馬 勝年 石坂 雅昭 楽 鵬飛 張 森
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.35-50, 1995-02

1994年3月上旬,中国黒竜江省の 1500km を車で走破し積雪と道路状況を調査し,道路雪害の実態を明らかにした。北海道と比べて寒冷ではあるが雪は極端に少なく,吹雪と吹溜の発生頻度と規模は小さい。しかし,除雪作業や車の冬期用装備がされていないため,交通量が増加すれば深刻な道路雪害となることが予想される。平地の農耕地内の道路は農地からの土砂で著しく汚れた圧雪た氷板からなり,そのため滑りの危険は小さいが,凹凸がはげしい。山地森林内の道路は汚れのすくない圧雪と氷板からなり,滑りの危険が大きい。この地方の特徴である道路に沿った並木は配置が不適当なため,吹雪の面から見ると,むしろマイナスの効果が大きい。吹雪対策としては側溝と盛り土された道路,および効果的な並木の配置がある。さらに,簡単な除雪機による吹雪直後の除雪が効果的である。山地の坂道やカーブでは滑り止めの土砂散布も必要である。