著者
芦谷 政浩
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本の公営賭博では、「各馬について一番割安な方法で単勝馬券を合成し、1着・2着・3着の着順がどうなったとしても払戻金総額が馬券購入費用を上回るように馬券を買う」という裁定取引が可能である。本研究課題では、荒尾競馬場の2011年9月30日から12月23日までの175レースを分析し、「馬券の最小購入単位」や「裁定取引による馬券購入が裁定利益を減らす方向にオッズを変える効果」を考慮しても、10月20日の第5競争と11月25日の第11競争で上述の裁定取引が可能であったことを発見した。この研究成果は、J. of Sports Econ.という当該分野を代表する査読付き学術雑誌に掲載された。
著者
芦谷 政浩
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究課題では、オルタナティブ投資市場の中でも特に公営賭博市場に着目して、「市場の厚み」と効率性の関係を分析している。本年度は、昨年度までに加工を進めていた地方公営競馬のデータを分析して、論文「Sales volume and efficiency of the Japanese racetrack betting market」を執筆した。この論文では、日本の地方競馬場で2012年4月27日から7月26日までの3か月間に開催されたレースのうち、13頭以上出走のレースと払戻馬券があったレースを除外した3270レースのデータを用いて、市場の取引量と効率性の関係を検証した。馬券市場が効率的であれば、同じ払戻条件・払戻金額の馬券には同じ価格が付くはずである。そこで、「同じ払戻条件・払戻金額の馬券の間での価格差が小さいほど、馬券市場の効率性が高い」と定義して、様々な仮説を検証した。効率性を測る尺度を3種類提示し、それぞれについて回帰分析を行った結果、3種類の尺度のいずれを用いても以下の4点が成立することを発見した。(1)出走頭数が同じなら、売得金額が大きいレースほど、市場の効率性が高い。(2)売得金額が同じなら、出走頭数が少ないレースほど、市場の効率性が高い。(3)売得金額と出走頭数が同じなら、出走時刻が早いレースほど市場の効率性が高い。(4)売得金額が大きいレースほど、市場の効率性が高い。これらの結果が他の公営賭博のデータについても当てはまるのかどうかを検証することが、最終年度の研究課題である。
著者
芦谷 政浩
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

賭博市場によってバイアスの方向が正反対になる理由を、(1)賭博の対象は同じだが、売上額の規模が15倍から150倍異なり、顧客の属性も異なる2つの市場、具体的には日本の中央競馬(JRA)と地方競馬(NAR)を比較する(2)賭博の対象は異なるが、売上額の規模や顧客の属性は似通っている市場、具体的には日本の地方競馬(NAR)・競輪・競艇・オートを比較するという2つのアプローチで明らかにする。
著者
芦谷 政浩
出版者
神戸大学
雑誌
国民経済雑誌 (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.205, no.6, pp.81-91, 2012-06
著者
芦谷 政浩
出版者
神戸大学経済経営学会
雑誌
国民経済雑誌 = Journal of economics & business administration (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.221, no.4, pp.31-36, 2020-04

芦谷(2012,『国民経済雑誌』,第205巻第6 号)とAshiya(2015, Journal of Sports Economics)は荒尾競馬における裁定機会の存在を明らかにし,芦谷(2013,『国民経済雑誌』,第207巻第6 号)は佐賀競馬,芦谷(2018,『国民経済雑誌』,第217巻第4 号)は門別競馬における裁定機会の存在を明らかにした。一方,芦谷(2014,『国民経済雑誌』,第209巻第5 号)では,2012年4 月27日から7 月26日までの3 か月間に大井競馬・川崎競馬・船橋競馬・浦和競馬で行われた出走頭数が12頭以下のレース(合計500レース)を分析し,これらのレースでは裁定取引の機会が存在しなかったことを明らかにした。本稿では,2012年4 月30日から6 月28日までの2 か月間に園田競馬で行われた出走頭数が12頭以下のレース(出走取消・競走除外のあった13レースを除く合計292レース)と2012年7 月3 日から7 月26日までの1 か月間に姫路競馬で行われた出走頭数が12頭以下のレース(出走取消・競走除外のあった10レースを除く合計121レース)を分析し,これらのレースでは裁定取引の機会が存在しなかったことを明らかにする。