著者
入江 仁 青柳 有沙 杉山 佳奈 石澤 義也 花田 裕之
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.661-664, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
10

意識障害の原因が消毒用エタノールの誤飲であった高齢者の症例を経験した。患者は92歳,女性。既往歴に認知症があり施設に入所中であった。嘔吐,意識障害,ショック状態を呈し救急搬送された。施設職員より本人の部屋にある手指消毒用エタノールの容器の蓋が外され,内容量が減った状態で枕元に置かれていたと申告があった。血中エタノール濃度は300mg/dL以上(当院測定上限)であり,誤飲による急性エタノール中毒と診断し,即日入院とした。第2病日に血中エタノール濃度は189mg/dLまで低下し,意識レベルも改善したため,第5病日に他院へ転院とした。新型コロナウイルス感染症を契機に手指消毒薬はきわめて身近な存在となったが,一般的に用いられている消毒用エタノール溶液は濃度が80%程度であり,誤飲により意識障害などの中毒症状で受診に至る可能性があることを認識しておく必要がある。また,認知症を有する高齢者が誤飲しないための対策が必要である。
著者
町野 ひろみ 野村 理 和田 簡一郎 熊谷 玄太郎 田中 直 浅利 亨 石橋 恭之 花田 裕之
出版者
弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会
雑誌
弘前医学 (ISSN:04391721)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2-4, pp.108-112, 2021 (Released:2021-03-15)
参考文献数
9

目的 : 津軽地方での外傷診療において,我々はりんご農作業に関連した頚髄損傷をしばしば経験するが,その受傷機転や臨床像には不明な点がある. 本調査の目的は,りんご農作業により生じた頚髄損傷の受傷機転と臨床経過を明らかにすることである. 対象と方法 : 2015年1 月から2019年8 月までに弘前大学医学部附属病院高度救命救急センターに搬送された,りんご農作業に関連した頚髄損傷症例を対象とした.診療録より患者の属性,発生月,受傷機転,神経学的重症度および予後についての情報を抽出した. 結果 : 同定された10例のうち9 例が男性であり, 5 月と6 月に多発した( 7 例).受傷機転は2 つに分類され,乗用草刈 機運転に関連するもの( 5 例)と梯子などからの墜落( 5 例)であった.退院時のAmerican Spinal Injury Association Impairment Scale( AIS) は,Aが1例,Bが2 例,Cが2例,Dが3例,Eが2例だった. 結語:りんご農作業に関連する頚髄損傷は5 から6 月に好発し,乗用草刈機運転,梯子上の作業中に発生していた.重 症例も観察され,予防策の構築が急務である.