著者
蒲生 昌志 岡 敏弘 中西 準子
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-8, 1996-02-29 (Released:2010-06-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

発がん性物質を含む化学物質への曝露によるリスクの尺度として,損失余命を提案した。損失余命を用いることの利点は,曝露や影響の年齢を考慮できる点,および,がん以外の影響についても推定が可能な点である。ここでは,10-5という生涯発がんリスク(生涯曝露すると10万人に1人がその曝露により過剰に発がんするリスク)を,生命表を用いて損失余命に換算する手法を説明し,推定値を求めた。発がん性物質への曝露と過剰ながん死亡との関係について,放射線発がんのデータを基にしたモデルを基準モデルとし,モデルの検証の意味で,仮定を一部変更したモデルも検討じた。10-5の発がんリスクに相当する曝露レベルに生涯曝露することの損失寿命は66分と推定された。また,同様なレベルの曝露が存在する労働に20歳から49歳の間従事することによる損失寿命は12分と推定された。さらに,平均的な日本人が1年間曝露した場合の曝露年齢での損失余命は0.83分と推定された。
著者
篠原 直秀 二俣 みな子 蒲生 昌志
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.115-124, 2009 (Released:2012-06-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

2006年の冬に,インターネットを通じて家具や家電製品等の各室内における保有量の調査を行った(回答数1035世帯)。将来的に放散量データと合わせて曝露評価を行うことを念頭に,世帯単位の保有数ではなく,用途(行為)別の部屋ごとの滞在時間や家具/家電製品の保有数を回答してもらった。保有数は,ある行為(“食べる”,“くつろぐ”,“寝る”,“趣味/勉強をする”)を行う部屋における保有率/保有数の整理を行った。“寝る”行為は,寝る時のみに使用する部屋で行われることが多かったが(65%),“くつろぐ”行為は,その他の行為も同じ部屋で行われることが多く(77%),特に“食べる”行為と同じ部屋で行われることが多かった(66%)。“食べる”時のみに使用する部屋で保有率が高いものは,テーブル(91%),いす・座いす(89%),食器棚(89%),換気扇(53%),冷蔵庫(78%),調理機器(47%~77%)があり,“くつろぐ”時のみに使用する部屋で高いものには,ソファー(58%),テレビ(89%),エアコン(80%),じゅうたん・ラグ・カーペット(68%)が挙げられる。また,“寝る”時のみに使用する部屋ではベッド(49%),洋服ダンス(68%),衣装ケース(61%)が高く,“趣味/勉強をする”時のみに使用する部屋では机(74%)といす・座いす(78%),本棚(76%),パソコン(65%)の保有率が高い。また,いくつかの家具/家電製品では,保有率に有意な地域差もみられた。これらの情報は,家具等からの放散量データと組み合わせることにより,ある家具/家電製品による化学物質への曝露濃度を推計することができ,化学物質の代替や使用量の低減効果が推定可能となる。
著者
篠原 直秀 二俣 みな子 蒲生 昌志
出版者
Society of Indoor Environment, Japan
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.115-124, 2009
被引用文献数
1

2006年の冬に,インターネットを通じて家具や家電製品等の各室内における保有量の調査を行った(回答数1035世帯)。将来的に放散量データと合わせて曝露評価を行うことを念頭に,世帯単位の保有数ではなく,用途(行為)別の部屋ごとの滞在時間や家具/家電製品の保有数を回答してもらった。保有数は,ある行為("食べる","くつろぐ","寝る","趣味/勉強をする")を行う部屋における保有率/保有数の整理を行った。"寝る"行為は,寝る時のみに使用する部屋で行われることが多かったが(65%),"くつろぐ"行為は,その他の行為も同じ部屋で行われることが多く(77%),特に"食べる"行為と同じ部屋で行われることが多かった(66%)。"食べる"時のみに使用する部屋で保有率が高いものは,テーブル(91%),いす・座いす(89%),食器棚(89%),換気扇(53%),冷蔵庫(78%),調理機器(47%~77%)があり,"くつろぐ"時のみに使用する部屋で高いものには,ソファー(58%),テレビ(89%),エアコン(80%),じゅうたん・ラグ・カーペット(68%)が挙げられる。また,"寝る"時のみに使用する部屋ではベッド(49%),洋服ダンス(68%),衣装ケース(61%)が高く,"趣味/勉強をする"時のみに使用する部屋では机(74%)といす・座いす(78%),本棚(76%),パソコン(65%)の保有率が高い。また,いくつかの家具/家電製品では,保有率に有意な地域差もみられた。これらの情報は,家具等からの放散量データと組み合わせることにより,ある家具/家電製品による化学物質への曝露濃度を推計することができ,化学物質の代替や使用量の低減効果が推定可能となる。
著者
間島 隆博 山口 勝治 山之内 博 蒲生 昌志
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.39-46, 2003
被引用文献数
2

IMO (International Maritime Organization) recognized that chronic exposure to benzene vapor in air may cause leukemia even if the concentration is very low, such as a few parts per million. Chemical tankers in Japan, however, transport various kinds of chemicals over 15 (MT/year). Not only benzene but also another chemical transported by marine vessels have adverse effects to the human health condition. In this paper, firstly the exposure concentration levels of tanker crews engaged in benzene (human carcinogen) and acrylonitrile (probable human carcinogen) transport operations are clarified by results of field measurements. Using these exposure levels, the health conditions of tanker crews are evaluated by a method with LLE (Loss of Life Expectancy). Chemicals transported by tanker in Japan contain both carcinogen and non-carcinogen. The advantage using LLE is that we can compare the degree of the adverse effects induced from exposure to carcinogens and non-carcinogens. Furthermore, taking into account of the dependency of cancer risk on the start age and the duration of the exposure, we represent a simple equation for carcinogens to yield the LLE.