著者
與儀 ヤス子 藤村 響男 鈴木 幸一
出版者
日本ハンセン病学会
雑誌
日本ハンセン病学会雑誌 = Japanese journal of leprosy (ISSN:13423681)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.197-204, 2008-09-01
参考文献数
24
被引用文献数
1

1873年のらい菌発見から長い年月に渡って多くの研究者がらい菌の動物移植実験に尽力してきたが、1960年の Shepard による foot-pad 法の開発後はめざましい成果が残された。T-Rマウス、無胸腺 (ヌード) マウスのらい菌動物移植への導入、また、アルマジロ、チンパンジーやマンガベイサルの自然発症例が報告され、ハンセン病が人畜共通伝染病であることがその後のわずか十数年で確認された。増菌されたらい菌は大量菌を必要とする分野への供給に役立ち、らい菌の動物移植研究の成果はハンセン病医学に大きく貢献した。われわれがらい菌増殖用の tool として開発したコンジェニック高血圧ヌードラット (SHR. F344-Foxn1<sup><i>rnu</i></sup>) はIL-10産生能が高く、らい菌に対する感受性能が優れていた。本ヌードラット (<i>rnu/rnu</i>) に接種されたらい菌は接種部および非接種部位に肉眼的らい性腫瘤を作りながら増殖、全身化していく独特のらい菌感染像を呈すことから、ヒトL型ハンセン病患者の実験モデル動物として有用であり、同腹仔有胸腺ラット (<i>rnu/+</i>) では、らい菌感染後24時間目頃から、らい菌特異的免疫機構の成立を示唆する像が観察され、6ヶ月後には、リンパ球に幾重にも取り囲まれて、らい菌が殺菌され排除される像が観察されたことから、らい菌の宿主からの防御機構を研究する動物モデルとしてヌードラットとともに有用である。
著者
藤村 響男
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.A38-A44, 2008

ADは,免疫学的にはTh2ドミナントな疾患で,抗原に対するTh1/Th2応答の変動によって臨床経過が異なる。我々は以前,難治性AD患者が水痘や麻疹感染後にAD症状が数ヶ月にわたって改善する現象を解析し,この軽快現象は感染ウィルスを排除するために皮疹部において産生されたIL-12が,ダニ抗原応答性Th2細胞に作用しサイトカイン産生パターンがTh2タイプからTh1タイプにスイッチしたためと結論づけた(J Allergy Clin Immunol;100:274-282,1997)。これらを背景として今回,コンビ株式会社機能性食品事業部の協力を得てIL-12産生刺激能の強い乳酸菌株を選定し,動物実験と臨床試験によりアレルギー疾患に対する乳酸菌の効果を検討した。
著者
藤村 響男
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.7, no.Suppl.10, pp.A38-A44, 2008 (Released:2011-05-18)
参考文献数
10

ADは,免疫学的にはTh2ドミナントな疾患で,抗原に対するTh1/Th2応答の変動によって臨床経過が異なる。我々は以前,難治性AD患者が水痘や麻疹感染後にAD症状が数ヶ月にわたって改善する現象を解析し,この軽快現象は感染ウィルスを排除するために皮疹部において産生されたIL-12が,ダニ抗原応答性Th2細胞に作用しサイトカイン産生パターンがTh2タイプからTh1タイプにスイッチしたためと結論づけた(J Allergy Clin Immunol;100:274-282,1997)。これらを背景として今回,コンビ株式会社機能性食品事業部の協力を得てIL-12産生刺激能の強い乳酸菌株を選定し,動物実験と臨床試験によりアレルギー疾患に対する乳酸菌の効果を検討した。